其之十一
山賊たちは既に待ち構えていた。激しい怒号と共にどちらも一斉に襲い掛かる。飛び散る汗、飛び散る血潮、大勢の男達が力と力でぶつかり合う。
「ゾタ! 俺たちが雑魚どもを食い止める、まっすぐにライトハウスを目指せ!」
そう言うとマスターは山賊の群れに飛び込んでいった。噂どおり、かなりの腕の持ち主だ。次々に敵をなぎ倒していく。
「行くぞ、二人とも。突っきるぞ」
「ええ」
みんなが戦っている姿を尻目に、まっすぐ走り進んだ。先頭集団がうまく敵をかき分けてくれていて、文字通り一直線に突き進む事ができた。私たちに襲いかかってくる山賊もいたが、すぐさま後ろで戦っていた人たちが助けに入った。
「よし、このまま行けば俺たちはフルパワーで戦える」
タラノがいう。それに相槌を打った。
だいぶ奥のほうまで進んできた。枝や葉が陽を遮り、辺りはかなり薄暗い。山賊達の姿が見えない。待ち構えていた集団から、いつの間にか抜けていたようだ。
「ルディコ! 気配を感じないか?」
意識を集中して気配を探る。
「何人か、この先にいるわ! さっきみたいに大勢じゃない!」
あと少し、あと少しで気配の感じるところまでつく。
「……! ゾタ、横!」
何かいる、そう思い叫んだ。ゾタめがけ、先の鋭くとがった槍が飛んできた。
間一髪、前に飛び込み、それを避けた。槍の飛んできた方を見渡す。
「だれだ! でてこい!」
茶色く長い髪の男が木の陰から出てきた。鋭く切れ目で、細めの体つきをしている。手には二メートルほどの三又の槍を持っている。
「コラナスか……」
どうやら二人は知っているようだ。
「タラノ、ルディコ、先に行け! こいつは俺が相手する、囲まれたら厄介だ、はやくいけ!」
「で、でも」
「ルディコ、ゾタに任すんだ!」
そういうと、タラノは私の腕を掴んで強引に引っ張った。そして掴んだまま走り出す。
「ゾタはあんな奴に負けはしない、俺たちは先を目指すんだ」
確かにゾタの強さは認めている。だが、悪い予感がしてならない。