一章の③ 始まりは情熱的に
「始まりは情熱的に」
同時刻。
ネオ東京、ネオ新宿区場末のアパート102号室。
表札もなく、ほんとに人が住んでいるのか、不思議なほど生命反応のない、部屋の前で"ボイルド生肉"はタバコを揉み消す。
勿論、本名ではない。
日本人としての名前があるが、占領時に棄てた。
運よく、祖父がアメリカ人であったこともあり、今も警察官として仕事が出来ている。
後退しだした前髪を気にしつつ、左手に持つ小さな袋を下げ。
ボイルドは、ドアノブを掴む。
ガチャ。
いつも通り鍵はかかっていない。
六畳一間の畳み張りの部屋。
はだか電球に光をつけると、
部屋には小さな木製のテーブル。
その上に、山盛りの吸殻の刺さる灰皿がひとつ。
部屋の隅には、コンビニの袋や、カップ麺の食べ残しが散乱している。
その傍らに、 上半身裸で眠る男がいる。
ボイルド「起きろ、エウリピデス。」
上裸の男は、言葉に反応し、カッと目を開けて、
エウリピデス「さっきまで仕事だったんだ。眠らせてくれ、疲れてるんだ。」
エウリピデスは、身を起こし眠そうな目を擦りながらポケットからCOOLの箱を取り出す。
ボイルドも、一帳羅のトレンチコートのポケットから、ラッキーストライク。
ボイルドが、自分のタバコに火をつけると、エウリピデスは、
ボイルドの加えるタバコに自分のタバコの先をつけ、火をともす。
ボイルド「すぐに帰る。」
ゴミの置かれていない場所を見つけ、胡座をかくボイルド。
テーブルの上に持ってきた袋を置く。
ボイルド「飯食ったか?」
エウリピデス「適当に済ませた。」
ボイルド「朝にか?」
エウリピデス「ああ、朝にだ。」
エウリピデスは、欠伸をかきながらタバコを蒸かす。
ボイルド「いい仕事だったか?」
エウリピデス「まぁまぁだよ。」
ボイルド「今度は続きそうか?」
エウリピデス「悪魔に魂を売り続けるなら。」
ボイルド「警察も変わらんさ。」
エウリピデス「俺を雇ってくれるのかい?」
エウリピデスが、冗談めいて訊ねる。
ボイルド「馬鹿言うな。
4次大戦終わってから、初めてのクリスマス前だ。猫の手を借りたいほど強盗、スリ、性犯罪が頻発してる。
若い女が、家に入り用なのと一緒で、若い男は、ウチではいつでも入り用だ。
だがな、エウリピデス。分別と役割をしっかりわきまえなきゃ仕事の価値。ひいては、そいつのもつ歴史ってもんが狂っちまうんだ。
若い兵隊が官僚になり、官僚が大臣になり、法律が不文律化されて兵隊の武器になる。
歴史が過去から今になる。
その時、人はどうするか?」
エウリピデスは、また始まったとばかりに寝転ぶ。
ボイルド「やめちまうんだよ、何でもかんでも。考えたって、なんも変わらねぇ。
テレビの中のロミオとジュリエットの昂りに思いを馳せて、自慰行為。
今の時代、強姦より和姦のほうが難しいのさ。」
ボイルドは、自嘲気味に語り終えると、灰をおとす。
真剣に聞き流していたエウリピデスは、身体を起こし、
エウリピデス「何いってんのか、8割以上わからねえな。」
ボイルド「感じろ、わかる必要なんてない。それが大人になるってことだ。」
エウリピデス「あんたには、感謝してるよ。だから、何か俺に返させてくれよ。
キツキツな制服に、ダサイぶかぶかハット。ブルーカラーに熱い茶をぶっかけられて、真っ赤なルージュの女上司にケツ触られて、ニコニコ笑って酔っ払いとジャンキーの下の面倒見てやるよ。」
エウリピデスは、部屋に転がる白い液体の入ったペットボトルを取り、中身を飲み干す。
ボイルド「自可逆的だな、その創造力を違うところで使えれば・・・」
エウリピデス「決して困らせるつもりはないんだボイルド。だから、多少まっとうにコンビニ店員して、真面目にやってたんだ・・・昨日まで。」
ボイルドが身を起こす。
ボイルド「昨日まで? 昨日までだ? ・・・まさか・・・また、クビになったのか!?」
エウリピデス「焼けちまったんだよ。店がいきなり、仕方ないだろ。」
ボイルドが、ヘラヘラ語るエウリピデスの肩を乱暴に掴む。
ボイルド「いきなり燃える炎なんない! 情熱も、愛情も、火種があるから華開くんだ!」
エウリピデス「ガソリン撒いて強盗する"キムチ"が悪いんだよ。
今のご時世。よく火を通さなきゃ生の野菜は御法度だ。
キムチにわく虫どもは、自分もろとも殺しちまう。赤と炎が大好きだ。嘘だと思って、試しに火をつけてみたら・・・ボッ! 燃えちまったよ! ハッハッハッハハ!」
ボイルド「燃えちまった? 燃えちまったたと!? あの仕事見つけるだけでも、どれだけ苦労したと思ってる!
いやそんなところじゃない。警察の俺の紹介だから、犯罪歴も信頼もこじつけてやったのに!
お前はいつまでガキなんだ! 大きな声出して、酒びたりで叫ぶ独房のチンピラたちも、理想郷を語るトシは、とうに過ぎ去ったろ!」
ガクガク揺らされる力に、任せるエウリピデス。
エウリピデス「だから、悪かったよー。でも仕方ないだろ? あのまま金渡してたら、おれが代わりに払わされるんだよ。
一番悪いのは、おれか?
銃も持たない強盗か?
従業員一人守れない規則か?
警察のせいにはしないどくよ、気の毒だ!」
笑いながら、ほざくエウリピデスの口を閉じようと、手を握り、拳を構えるボイルド。
ボイルドの携帯が鳴る。
エウリピデスを突飛ばし、携帯に出る。
ボイルド「ボイルド生肉警部だ。
ああ、わかってる。あと10分で戻る。昼飯が当たっちまったんだ。ああ・・・すぐに向かう。」
電話を切り、テーブルに置いた袋を掴むボイルド。
ボイルド「・・・今、何歳だ。エウリピデス?」
エウリピデス「あ? 20くらいだろ。」
ボイルド「ちょうど20だ。」
袋をエウリピデスに放り投げ、肩を切らせて部屋を出ていくボイルド。
エウリピデスは、ボイルドが去るのをただ、見つめるだけだった。
エウリピデスは、投げられた袋を地面に置き、立ち上がる。
大股に部屋を横切り、ドアを蹴飛ばす。
息を切らせて、ドアにもたれ掛かり、タバコに火をつける。
エウリピデス「世界が果てしなく広がるように、おれの心も、果てしない膨張を続ける。広がるキャパシティが、心の安寧を手助けする。
暖かな日差しの昼、夕暮れ。
きまって陰りが差し出し、夜はやってくる。
世界はたくさんあるが、一人が持てる心は一つだけ。おれの心も一つだけ!」
エウリピデスは、ドアを叩く。
自分の心を叩くように、何度も何度も・・・
エウリピデス「そう! ひとつの器に、果てしないリビドーは収まることを知らず、流れる水は、溢れ出していく。それは、それで幸せなこと。
心を満たし、溢れだした水は乾いた他人の心を癒してあげればいいと母は言った!
でも! 終焉は誰も教えてくれなかった!
いつまで続ければいいのでしょうか!?
終わりを告げるのは、神か? アポロンか? アフロディテーテか? 他人を愛することを忘れて、おれの愛情は、信頼という容易で物質的価値のある家族への眼差しへと変化していった。
それが、いまのおれ。
それが、おれの愛の形なんだ、ボイルド警部・・・」
ドアの向こうには誰もいないのはわかっている。
それでも溢れる感情を抑えきれないエウリピデスは、喚き、物に当たり散らす。
無造作に散らかした部屋のなかに残るボイルドが放り投げた袋を残して、
エウリピデスは、袋を掴む。
中には、四角い小さな箱。
箱の蓋を開けると、そこには
小さいケーキが入っていた。
苺と、チョコレートのプレートが飾られた小さなショートケーキ。
プレートには『Happybirthday Dear...』
エウリピデスは、そのケーキを大事に、大事に手で包み、テーブルにそっと置く。
刺さった蝋燭2本。
それにライターで、火をつける。
灯った蝋燭を見つめ、自然と流れた涙を擦り、
火を吹き消す。
刹那、爆発音。
エウリピデスは、ハッと立ちあがると、
頭上から、なにかが落下する。
突き破られた、屋根の破片。
頭に受けた、エウリピデスは倒れる。
屋根を突き破ったモノは、エウリピデスの部屋の中心。
ささやかなバースデーケーキの上に突き刺さった。
エウリピデスが頭を押さえて、状況を確認する。
女だ。
女が、空からふってきた。
テカテカな、黄色い防護スーツに身を包む女。
愛嬌のある美しい女。ピチピチのスーツ越しにそのスタイルの良さも伺える。
女は、自らの身体をはたき、後ろに転がるエウリピデスに気づくとニッコリと頬笑む。
空からの来訪者を迎えた、102号室の外では、二人?の影。
全身を真っ黒なボディスーツに身を包み、顔に赤い字で"家"と書かれた女。
同じく、真っ黒い、顔に赤い字で"犬"と書かれた男が、部屋の前で何やらやり取りをしている。
家「ここで間違えないか?」
犬「間違えない、臭う、臭う。甘ったるくて禁断の匂い・・・林檎の香りだ。」
家「間違えない、見える、見える。この表札、紛れもない・・・木材だ!」
ドアに耳をつけ様子を伺う二人の怪しい者。
犬「それはそうだ! 愛するものまで、犠牲にして知恵をつけた哀れな女。鉄を与えるのは拷問の時。そいつが落ちた家は正しくここだ!」
犬は、自信満々にそう語る。
家「知恵だ! 知恵が全ての元凶だ。哀れな兵器が夢を見た。それも! 自分が子を宿す夢だ!」
家もそれにつづく。
犬「それこそ、最悪! いったい誰との子を夢見たか!? 悪業のなかの悪業。カルマの中のカルマ。"母親"の言うことに間違いないのだ!」
家「全ては海から始まり、泳いで、泳いで2万マイル。
海底よりも深いところ、そこに君臨する"母親"の言うことに、例え意見があろうとも、口が裂けても言えるものか!」
家と、犬は一昔前の戦隊モノのポーズをとる。
家・犬「「間違っている! 電子ウサギは月の夢を見る!
人間型に、それも女に創ってしまった以上! それは、王子の夢を見るものだ!
"母親"の間違えも、家族が目をつぶってやるものだ!」」
ポーズを決めた、二人はドアスコープから中を見る。
外からの騒ぎが気になるがエウリピデスは、それよりも部屋の天井を破って落ちてきた女を見る。
エウリピデス「最近のアンデリ(アンドロイドデリバリーヘルス)は、趣向を凝らしてるのか?」
エウリピデスは、女が空けた穴を眺め。
エウリピデス「親方! 空から女の子が! ・・・墜落した・・・ゴホッ、ゴホッ!」
エウリピデス、咳き込む。
女「プッシュー!」
エウリピデス「・・・」
女は、口で拙い機械音を鳴らしながらカクカクと動く、
エウリピデス「おい、アンドロイド。」
女「私は、江崎グリコ。"母親"にはドールと呼ばれていました。」
エウリピデスは、頭を押さえ立ちあがり、グリコをマジマジとみる。
おもむろに、グリコの、胸を揉む。
エウリピデス「どこまで、オッケーだ?」
グリコ「グリコ・・・パンチ!」
グリコが、グーでエウリピデスの左ほほを殴り付ける。
エウリピデスは、ぶっ飛び、壁にあたる。
エウリピデス「いってぇ! おい!
ヘルスドール! 最低のサービスだ!
いますぐ、その"母親"というヤツをここに呼べ! ・・・ゴホッ、ゴホッ!」
エウリピデスは、頬を押さえ咳き込む。
グリコ「それは、無理ですよ。私、廃棄されちゃいましたから。現在フリーです。」
ブイサインをエウリピデスにするグリコ。
つまり。こいつは、職場放棄して、勝手に人の家に落ちてきたというのか?
ふざけるな。
エウリピデス「ならば、その廃棄した者を呼べ!
それがダメならお前の開発者、名付け親、設計担当から、ネジの製造会社まで、全部呼べ!
知り合いの警察官に頼んで、高級弁護士、陪審員買収。全員訴えて、勝訴して! 最終的におれは、おれ自身を訴える! それで全てを帳消しにして、この穴の空いた部屋の天井をふさいでしまう!
結果、最後に残るのは廃棄された人形と、穴の塞がった六畳一間の木造部屋だ! ゴホッ!」
手を広げ、咳をするエウリピデス。
グリコは、首をかしげ、
グリコ「あまり、よくわからなかったのですが、つまりこの部屋を元に戻したいのですね?」
エウリピデス「ゴホッ、ゴホッ!」
エウリピデスも、首をかしげる。
喉の調子が悪い。
エウリピデス「そうだ。 因果もろとも塞いでしまい、この部屋から何も出さない、何も入らない!」
グリコ「それは、無理ですね、もう大分汚染されちゃったみたいです。」
グリコは、エウリピデスをのぞく。
エウリピデス「汚染? 何に汚染されたと言うんだ!? ・・・・・・そうか! 汚染されている、おれは時間に汚染されているのかもしれない!」
グリコは、絶句する。
グリコ「わかるんですか!?」
エウリピデス「わかるさ!
この怠惰! 日々を暴力と情欲に蝕まれて、無償の愛を向けられても、おれには返すべき言葉も見つからない・・・天使と悪魔が人には巣くうというが、おれの身体には一匹の肥えた羊が住み着くばかり。
メエー、メエー啼いて貪り喰い、夜にならずと、寝るばかり。」
エウリピデスは、自らに絶望を感じ塞ぎこむ。
グリコ「よく喋るんだね。お人形さんみたい。」
グリコが、期待と好奇心の目をエウリピデスにむける。
エウリピデス「ほんとうだ・・・自分でも不思議に思う。死刑間近の死刑囚のような高揚感。初めて恋をしたような・・・」
グリコ「恋・・・love・・・そう! じゃあ、一緒に逃げよう!」
グリコは"恋"という言葉に食い付き、エウリピデスに手を差し出す。
エウリピデスは、流れでその手を掴んでしまう。
更に、咳き込むエウリピデス。
エウリピデス「・・・ゴホッ・・・逃げる? 逃げるか・・・それもいいかもしれない・・・でも何処に逃げると言うんだ!?
当てのない旅こそ無謀なことだ・・・ゴホッ!」
グリコの手が離れる。
急に冷たい目付きでエウリピデスを見る。
グリコ「人間って不公平よね。
だから、私も不公平な星の下へ産まれてしまったのね。墜落する場所も選べない、まさに天命に任せる。」
グリコは、そういい放ち、部屋を出ようと足を向ける。
エウリピデスは、それを何故か許せず。
止めようとグリコの手を掴む。
エウリピデス「ゴホッ・・・ゴホッ! 待て!」
咳き込み涙目で、グリコを引き留める。
グリコは、振り返り、握られた手を見る。
満面の笑みと好奇をもち、
グリコ「そのあとは!?」
エウリピデス「あと?」
期待に満ちた目が、エウリピデスを見つめる。
エウリピデスは、何故自分が手をつかんだのか理解できないでいた。
見つめあう二人。
その空間を壊す声が外から聞こえるのにエウリピデスは気づく。
犬「もう、限界だ! 入っちまおう!」
家「焦るな! いま、いいとこなんだ!」
犬「これ以上、待つと"母親"に何と言われるか・・・!」
家「いま、その言葉を言うな! インドに行ったら、日本語を聞きたくないだろう!? それと一緒だ。」
犬「犬は海を渡らない!」
家「家は世界を旅するのさ! お前も家と、一緒なら何処へでも行けるさ!」
"家"の周をグルグル廻る"犬"
エウリピデスは、息を潜め、ドアに近寄り、内側からスコープを覗く。
"家"は、ドアスコープを覗く。
家「ほら! お前が騒ぐから二人がどこかに、消えちまった!」
犬「消えるわけないだろう! 姿を隠すには、影か、穴か。
ここにはドアしかないから、何処に隠れるというんだ!」
家「でも・・・部屋が真っ暗になっちまっ・・・たっ!」
エウリピデスがドアを勢いよく開く、覗いていた"家"は、頭を強くうちもがく。
エウリピデス「・・・誰だおまえら?」
その声にピタリと動きを止める二人。
身を寄せあい、ヒソヒソと話す。
犬「ど、どうする?」
家「作戦変更だ!」
家は姿勢を正し、息を整える。
家「すいません、この辺に何か落ちてきませんでしたか?」
エウリピデスは、グリコを見る。
何やら身を震わせている。
エウリピデス「何も落ちてないよ。」
ドアを閉めようとするが、"家"が足を挟んで、それを防ぐ。
家「いや、必ず! だって、スゴい音でしたもの!」
エウリピデスは、再度グリコを見る。
エウリピデス「寝てたから、気づかなかった、じゃ!」
エウリピデスがドアノブに力を込めようとすると、
"家"はいきなり、ドアをこじ開ける。
家「核ミサイルを返せっていってんだ!」
犬「いきなり強気だな。」
家「作戦変更だ! ほら! やっぱいるじゃないか!」
グリコを見た"家"は、息を巻く。
グリコ「・・・もー! せっかく、いいところだったのに!」
グリコは、何やら怒り外へ出てくる。
それを見た、"家"と"犬"は弾かれたように、物陰に隠れる。
犬「ち、近寄るな!」
家「ごめんなさい! ごめんなさい! 爆発するならせめて、海底でお願いします! 爆死させるなら深海魚を!
目玉もないのであまり、グロテスクにはなりません!」
グリコ「いま!」
グリコが、一喝。
グリコ「ものすごい運命じゃなかった!?」
エウリピデス「は?」
家・犬「「え?」」
グリコは、胸に手を当て、
グリコ「男は、いささか現代的ではある。
無気力で刹那的。
女性は勿論、私。美人だから良しとしよう。
そのぶん出会いは!
積極的で、劇的!!」
グリコは、嬉しさのあまりクルクル廻る。
それを冷めた目でみるエウリピデス。
エウリピデス「偶然だろ。」
グリコ「偶然を運命と捉えるかは、物事の捉え方の違いだけである!」
エウリピデス「なにそれ? 名言?」
グリコ「そう!
女が、降ってきて限られた寿命のなか、貴方と私が逃避行を始める!
名言もいいたくなるよ!」
エウリピデス「限られた寿命? お前、何言って・・・ゴボッ、ゴホッ!」
エウリピデスが、口を押さえて咳き込む。
家「お。お前、汚染されちまったな!」
犬「ヤバイ、俺たちも逃げなきゃ!」
家「でも、核ミサイル『江崎グリコ』を! それを回収するのを、"母親"に命じられた!」
エウリピデス「核ミサイル?」
エウリピデスが、グリコを見る。
盛大に咳き込み、口を押さえるエウリピデス。
その手には、真っ赤な吐血。
犬「非核三原則!
もたず! つくらず! もちこませず!」
家「それを破る者は!
住まず! 住ませず! 住み込ませず!」
犬「革命とはそういうものだ!」
グリコは、エウリピデスに駆け寄り背中を撫でる。
エウリピデスは、身体を震わせ血のついた手を見つめ、
グリコ「私の生きる意味・・・」
グリコは、エウリピデスを後ろから抱き締める。
エウリピデス「なんじゃこりゃあああああ!!!」
週一で投稿したい心持ちです・・・