こどもの日
井野嶽幌と双子の姉の桜は、買い物でスーパーに来ていた。
桜と幌がたおる棚に差し掛かったその時、桜がその棚を何気に見た。
「あ、そっか。今日は「こどもの日」だったね」
「そうそう。だからこうやって、ちまきが売られているわけだ」
パックに入って山積みになっているちまきを見て、幌が言った。
「そうだよ。こどもの日は、菖蒲の葉で餅をつつんだちまきだよ」
「そういや、なんで菖蒲なんだろう。竹とか笹とかあるだろうに…」
ちまきを一パック、買い物かごの中にいれながら、桜の疑問に幌が答えた。
「菖蒲というのは、尚武と掛けてあるんだ。男子の日になったのは、尚武、つまりは武勇を重んじるということで、縁起物とされたんだ。だいたい鎌倉時代あたりからの風習らしいよ」
「へえ、ということはかなり長い歴史があるんだ」
桜が驚いたように言う。
「まあね、元は中国だっていう話もあるし、いろんな説があるわけだよ」
そう言いながら、買っている幌がいた。
どうやら、お腹が空いているらしい。
桜も、それをみて、さらに一パック追加していた。