【プロットタイプ】アイスを食べるもの
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。
これは読者様の問題ではなく、私の問題。
詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。
注意事項2
夏だから、夏らしい事をします。
瑠衣と行動を共にしない純喫茶で、私は一人、メニューを捲る。
今日は何時もと違う日だった。何時もと違う事をして、何時もと違う物を買って、何時もと違う物を食べた。勿論、何時も傍に居る同居人も居ない。
だからこそ、何時もと違う物を頼もうと思った。
珈琲も紅茶も幾度となく飲んできた。メニューにあるケーキも味を思い返せる程に食べて来た。今日はもっと別のもの。普段の私が頼まないもの、そう考えて頁を捲ると、気になった物が一つ。
円柱状のグラスに、冷やし珈琲。真上には丸こいアイスクリームが乗っている。所謂、珈琲フロートと呼ばれる物だった。私の中では夏の風物詩である。
此処では何時も王道を頼もうと決めていたので、目に入る事はなかった。だから何時も、陶器に入った珈琲を啜っていた。
だがまぁ、今日は魔が差した。良いじゃないか。たまには。王道から少し外れた物を飲んだって。
「すみません。珈琲フロート一つ」
それから数分後、差し出されたのは写真通りの品だった。真っ黒な夜を模した珈琲の上に、溶けた月の様なアイスが寛いでいる。それは次第に綿になり、雲へと変化していく。
刺さったストローに口を付けて、味を確かめる。
冷やしにしたせいか、珈琲の苦味はそこまで強くない。遠くの、霧のように微かに感じる程度に収まっている。拍子抜けしてしまった。思ったよりもずっと淡い。
次にグラスの縁に刺さった独特のスプーンで、アイスを掬って口に入れる。するとアイスの余さを引き立てる様に、珈琲の苦味が鼻から抜けていく。ミルクを入れた物よりも遥かに甘く、優しい一品。
此処でのメインは珈琲では無いのだと知った。夜の様な珈琲では無く、月のようなアイスクリームであるのだと。
だったらこの、遠くから感じる珈琲の苦味に対しても、合点が行ってしまう。納得してしまったのだ。
「今日さ、ブラン行ったんだよ。珈琲フロート頼んだの」
瑠衣からの土産であるクランチを頬張りながら、私は話をする。
「あれは珈琲を飲むものじゃなくて、アイスを食べるものだ」
彼処のアイスの味が忘れられない。甘くて、淡い苦味が、今も忘れられない。
「珍しい」
「珍しいことしたかったんだよ」
今日は変則の日です。
あんまり何時ものルーティーンじゃない過ごし方。
だからこういう日は何時もと違うことするって決めてます。
純喫茶ブラン(仮名)では必ず熱い珈琲飲むんです。
初めて飲んだ時感動して、これ以上の感動は他には無いと思っていたから。
だから珈琲フロート頼むこと自体、初めてです。
珈琲は氷入れてるから、そこまで強く出ない。
遠くの方に苦味があり、言われて見て『あー苦いかも……』ってぐらい。
私的には熱い方が好みです。
でも乗っかったアイスが美味しいんですよ。
ほろ苦いけれど、アイスの甘さが非常に引き立つ。
口の中は、ほんのり甘いけれど、鼻から抜ける珈琲の香りがそれを引き立たせてる感じ。
そう考えると珈琲は珍しく脇役なのかもなと思って飲んでました。
珈琲フロートの珈琲は激甘な物が好きなので、また別の店に行きます。
でもあの珈琲掛けアイスが食べたい。