27話 黒い世界
暗い…暗い…黒い。ここはどこだ?なぜ視界が真っ黒なんだ?それに声も出せない。何も見えない。何も感じない。あぁ、そうか俺死んだのか。とうとう死んでしまったか。死んだら何も残らないってどうやら本当のことらしい。
3人を止めようとして、3人の攻撃を食らって結局こうなってしまった。こうなる前にまだ死ねないと誓ったはずなんだけど現実は非情だな…でも、ほんとに暗いなここ…でもさっきより思考は冴えてきた。
思考が冴えてきたからなのか、意識もしっかりとし先程までは何も感じなかったが、体をしっかりと知覚できるようになり、今自分はプカプカ浮いている状態だと認識する。
いろんなことがあったな…だが、それも楽しかった。本当に楽しかったんだ。リズとノアとユピネに大きな傷作ってしまったかもしれない。でも、自分たちを責めないでほしい。俺が自分でやったことなのだから。
だから、皆には俺のいない世界でも笑っていてほしい。最後に短い時間だったけど皆と再開できてよかった。
この黒く先が見えない暗い場所で何をすればいいのだろうか。とりあえず進んでみるか?
そうして俺はこの先の見えない場所を泳ぐようにして進み出す。
ほんとに何も無いな。この先に果たして何かあるのだろうか…まっ、考えても仕方ないな。
泳ぐ、泳ぐ、泳ぐ。暗く黒い終わりの見えない場所を進み続ける。
あれはなんだ?そして黒くない何かをみつける。それは黒くはあるが赤と青と緑と…いろんな色が混ざった黒であり、何かの形をしている。それは鎖で無理やり抑え込まれたかのような姿をしており、どこか可哀想に思える。
しかし、その何かに近づくたびに頭が割れるような感覚がする。ズキズキと痛む。何なんだこれは。近づけば近づくほど嫌な感じがする。本能がこの何かに近づくなと警鐘を鳴らしてる。
〘それにこれ以上近づいてもいいのか?〙銀鈴が笑ったような心地の良い声が聞こえてきた。無理やり声のする方を向けられる。
ここは黒い場所のはずなのに黒い影が差し込みシルエットは認識できるが顔も姿も見えない。それなのにそれが見える。言葉では説明つかない不思議な感じがする。はっきり言って異質だ。
だが、それが女性だというのはシルエットでわかる。さらに先ほどの心地の良い声でそれが美しい女性なのだろうと想像できてしまう。しかし、彼女は誰だろう。どうしてここにいるのだろう。と疑問がたくさんわいてくる。
〘我が誰かだって?まぁ、そんなのどうでも良いではないか。少し話そうかレノン・ラスクール。〙どうして俺の名を!?だが、今そんな事を考えるのは意味ないのだろうと直感する。〘よく分かっているではないか。〙……どうやら思考が読めるらしい。
一番聞きたいことを尋ねることにするか。
「俺は死んだのか?」そうこれが一番聞きたいことだ
〘いや、お主は死んでない。〙そうなのか…じゃあ、ここはどこなんだ?〘ここはお主の心象世界いわゆる精神世界?といったほうがいいかの?〙
心象世界…かつまりこれは俺の心の中てことね。でも、なんでこんな暗いのだろうか。それに俺はどうして、ここにいるのだろうか。そしてあの何かは何だろうか…
〘ふむ、お主あれが気になるのか……あれはお主が封印した記憶だ。〙封印した記憶?そんなものあるわけ……
あ。もしかして
〘そうお主が想像してる通り、お主の幼少期の記憶じゃな。あ奴らに出会う前の。〙
俺は皆の中で一番最初に出会ったソフィアと会う1年前からの記憶がない。つまり年で言うと5歳までの記憶がないのだ。なぜ今まで気づかなかったのだろう。
〘それはお主が無意識に記憶を思い出さないようにしていたのだ〙そうだったのか…目の前の巨大な何かを見つめる。これが俺の昔の記憶。なら――
〘愚かな真似はよせ。まだお主がこれに触れるのは早い。〙早い?何を言ってるのだろうか。そんなはずないと思うが。
だが、今になり気になることがもう一つできた。どうして、俺は迷った時にピンポイントで彼女達に出会えたのだろうか。
〘それは運命じゃ。〙運命?〘そう運命じゃ。本来であれば出生も全く違い出会うはずのないお主達が出会ったのは運命じゃ。〙どういうことだろうか?俺達は本来出会ってなかった?でも――
〘おかしいと思わないか?記憶がある頃のお主は幼少の頃気づいたら道に迷っていて〙確かに言われればそうだ。おかしい。俺の方向感覚は一般的なはずなのに
〘納得できないようじゃの?だが、お主らは出会うべきして導かれたのじゃ〙そう…なのか?まあ、そうなのだろう。
〘そして、まだある。あのダンジョンじゃ〙ノアと出会ったダンジョンのことか?
〘そうじゃ。王都から直々に調査の依頼が来るのはおかしいと思わないか?〙確かに。通常なら騎士団を使えばいい話だし調査は王都の騎士団がしている。
〘それにダンジョン内でで、道中モンスターが全くでなかったのにボス倒した途端オーバーフロー起こすのもおかしくないか?〙言われればそうだ。なぜ道中モンスターがほとんどいなかったのだろうか。
〘おまけに二重ダンジョンであり、ピンポイントに転移罠があるのもおかしくないか?〙そうなのだ。本来なら気づくであろう転移罠を気づかないのはおかしい
〘そして、転移先に赤灼竜がいた。どうじゃ?おかしくないか?偶然にしては出来過ぎである。それもユシェルハルルテノアと出会うために因果が狂ったと言えよう。〙そうだ…おかしいのだ。俺はまだしもベレスまでもがどうして気づかなかった。それすらももしかして…
彼女は口元がニヤリとしたのは見えないが明らかにニヤリとさせるのが分かる。
〘そうじゃ。〙そして、疑問がもう一つできた。
〘「なぜお前がこのことを知ってるのか?」であろう〙
趣味が悪いな…わざわざ被せてくることなんてないだろうに…
〘我がそなたたちを導き、運命を操った張本人だと言ったら?〙なに!?お前が…お前が俺を皆を…そうさせたのか!?
〘ふふふ、そうじゃよ。〙許せない。皆をあそこまで傷つけて俺は色んな人にたくさんの心配をかけた。何より許せないのが俺は傷つくのはいいが皆をあそこまで傷つけたことだ。
〘たいそう、ご立腹のところ悪いがもう一つリズ達が争いお主がここに来たのも…運命じゃ〙なっ!?…
あまりの衝撃に絶句する。じゃあお前が、お前がリズ達が争うように仕向けたということか!
〘苦労したぞ…全員をあの場に集める必要があったからの〙くっ、俺のせいで。皆を傷つけてしまった…
〘…らんの…〙何を言ったんだ?〘気にするでない。〙
お前は絶対に許さない。俺ならまだしも…皆の人生を狂わせて。絶対に――。言い終わる前に彼女が言葉を重ねる。
〘だから、我を殺しに来てね。愛しの―――〙
は?何を言ってるんだ。愛しのって一体…?それに最後に何を言おうとしてたんだ?
くっ、まだ聞けてないが全身がふわりとした感覚で…視界がし、ろ、く…
美しき声を持つ彼女は一体!?
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