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匂いのない獣たちへ  作者: 犬口 単
3/3

・クレス=進藤という研究者

わたしは、無名の研究者である。

ある大学の研究で、時間の歪みの研究を行っていたが、時間が足りず、卒論を中途半端に書くほかなかった苦い思い出がある。

私はこの研究を成功させたい。

卒業から約十年、私は原子構造や中性子の核から時間概念などを調べる研究を行い、そこから時間の歪みを特定してタイムリープができる可能性があると発見した。

正確には、電子や中性子が乱れるほど高速で原子を動かしつつ、その上分子構造を保ったまま光速を超えれば可能と判明した。

量子のもつれ、超弦理論、回転エネルギー、重力場、など、いろいろなものが関係している。

擬似ブラックホールなども重要だが、一番大事なのはやはり速度である。

物質の再構築で過去にさかのぼるよう時間を逆行するなども考えたが、再構築には膨大なエネルギーを使用するほか、無駄な質量を持たせてしまう可能性が高いため、分子構造を…


とまぁ、難しい話はさておいて、簡単に言えば、私はタイムリープ…つまり、時間遡行についての研究を行っている。

人類の夢であり、あらゆる可能性を孕み、人類進化も見込めるすばらしい研究だ。

しかしそれは、公にできないものだ。

歴史改変、事象改変、さまざまな危険がある。

そもそも時間を遡行し、別時代に来た瞬間、バタフライエフェクトが始まる。

空気の乱れ、二酸化炭素の増減、酸素の増減、石や草の位置移動、足跡や痕跡の在留、動物や人間の増減、または行動パターンの変化。

そう、そこに存在するだけで、それらの変化の可能性があり、その影響で未来が大幅に変わることがある。

小石が一ミリ動いただけで、未来ではあった筈の集落が大岩や川によって消滅しそれにより悲惨な結末が…何てことも簡単に起こりうる。

ゆえに、限られた人類にのみこの研究の存在が知られている。

時間遡行。その体験を行わせるのが私の夢。

そのために、課題がたくさんある。


考えればきりがない、膨大な夢物語。

膨らむ、理想に基づいて

わたしはクレス=進藤(しんどう)と名乗ることにした。

cres=cendo(クレッシェンド)といえばわかるだろう。

音楽用語で音の強さが徐々に大きくなることを表す記号のこと。

私の夢の増大、私自身を表すのにぴったりだ。

≦で進藤が震動であり、しかし…と、熱くなりすぎたな。

これは私の悪い癖だ。大目に見てくれるとうれしい。


それよりも、私は困っている。


私は被験体を探しているのだ。

年齢は高校生、思春期のほうが感情が読みやすいためこの条件だ。

二人ほど欲しい。できれば悩みが多く、人生に興味が薄れ、しかしやることのない青少年が望ましい。

一人は自分を、もう一人は世間を苦手とすることがいいな。

そして何よりも、


()()()()()()()()()()()()()()()()()を持ち、()()()()()()()()

もしくは

()()()()()()()()()()()()()を持ち、()()()()()()()()()()()


そのどちらかを持っていればなおよい。

ああ、わかっている。

倫理的観点から、これは許されるものじゃない。


でも仕方ない。

これが、私の最終実験だから。

そして、時間遡行を体験したものが帰ってこられるか、

そもそも存在や世間に影響が出るか、

それとも


時間遡行から帰ってこれるのか。


その実験を、私ははじめようと思う。

まずは古竜土(こりゅうど)くんに被験者を探してもらおうか。


実験結果は、また

どこかで記そうと思う。

※研究内容などは、すべてフィクションです。絶対にまねしないでください。成功しません、たぶん 


犬口

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