営業と子育て
「口がうまいと営業に向いてる」なんて言われることがあるけれど、数年だけ営業職を経験した私は、聞き上手のほうが営業に向いていると思っている。
聞き上手な人は、相手が興味を持っていることに気づける。
たとえ話し方がたどたどしくても、その話はちゃんと相手に届く。
もちろん、落語家さんのように話術を磨いた人は別かもしれないけれど、基本的に人は、興味のない話は聞いているようで聞いていないと私は思っている。
親切も同じで、相手が本当に必要としていればありがたく感じてもらえるけれど、そうでなければ「おせっかい」と受け取られることもある。
とくに子どもは、その反応がはっきりしている。
興味があると目をキラキラさせて耳を傾けるし、興味がなければすぐに飽きる。
営業時代の私は、赤っ恥もたくさんかいた。
でも、そのぶん学びも多かった。
「話すのが好き」だけでは営業成績は伸びない。
相手の関心に焦点を合わせることの大切さを、身をもって知った。
子育ても、それによく似ていると思う。
「子どもだから」といって、みんなが同じことで喜ぶわけじゃない。
それぞれ、興味のあること、聞いてほしいこと、話したいタイミングも違う。
うちの息子は、小さい頃からこだわりが強かった。
どんな言葉を、いつ、どうかけるか。
それを間違えると、息子の耳には届かない。
不登校になってからは、さらに難しくなった。
不機嫌な状態が続いていたから、良かれと思ってかけた言葉は「おせっかい」と受け取られ、興味があると思って伝えた話も「必要ない」と拒まれた。
営業と同じで、いつも成果が出るわけではない。
そのたびに試行錯誤して、次のアプローチを考える。
それでも、息子自身が少しずつ変わってきたこともあって、今は言葉がちゃんと届いていると実感することが増えた。
仕事で失敗したときに謝るのと同じように、子育てでも謝る場面はある。
相手が子どもだからといって、親が失敗しないわけでも、謝らなくていいわけでもない。
当たり前のようで、意外と見落とされがちなことかもしれない。




