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3 乙女の純愛

 あたしの名前は、鬼瓦 権三。

 なんでこの名前?

 そしてこの体?

 って思うけど、神様はきっとあたしの魂を入れる体を間違えたんだわ。


 あたしはそれでも、一応、男のふりして生きてきたけど・・・。でも・・・。

 あの人を見かけてしまってからは・・・。

 あたしはあたしの気持ちに嘘がつけなくなってしまったの。


 あの人・・・。

 そう。

 同じ病院に勤める優秀な外科医、1年先輩の早乙女 翔平先生。

 その涼しげな目。

 優しげな口元。

 そしてあたしと並んでも遜色のない、スラリとした背丈。(あたしはスラリとしてないけど)

 そ、いわゆるイケメンなの。

 そして、見惚れるような手術のできる超優秀な外科医なの。


 だから、毎年バレンタインになるとチョコレートがいっぱい集まるのよ。

 当然よね。

 あたしは、そんな早乙女先生と()()という位置を保とうと、努力し続けたわ。


 でも・・・。

 でも・・・。

 やっぱり自分の心はごまかせない。


 あたしはついに意を決して、今年のバレンタインデーに早乙女センパイに手作りのチョコレートを差し上げることにしたの。

 受け取ってくれるだけでいい。

 だってこんな見目なんだもの、あたし。

 多くは望まない。受け取ってくれるだけでいいの。


 でも・・・。

 早乙女センパイは受け取ってくれなかった。


 すごく困った表情で

「ごめん。」とだけ言われてしまった・・・・。


 あたし、病院を飛び出しちゃった。

 いい大人がすることじゃないわよね。


 いっそ川に飛び込んで生まれ変わったら、女の子の体になれるかしら?

 でも、20kmの遠泳を余裕でこなせるあたしが溺れるなんて無理よね?

 そんなことを考えていた時に、あたしは桜子先生に会ったの。

 動物も人間も、分け隔てなく接してくれる優しい桜子先生に——。


 そんなふうにして『ひだまり動物病院』に勤めることになったあたしは、あれから半年経ったある日、元の白井許東(しらいもとひがし)病院の院長先生から1本の電話をもらったの。


 それは衝撃の電話だったわ。

 あたしの大切な早乙女センパイがステージ3だっていうの。

 あたしの抜けた穴を埋めようと、自分の体のことを後回しにして日夜働いていらっしゃったらしいわ。

 なんてこと!

 あたしのせいで!


「あの難しい手術ができるのは、早乙女くんか鬼瓦くんだけ。早乙女くんが患者である以上、つまり、君しかいない。早乙女くんは、うちにはなくてはならない外科医なんだ。あ、キミもそうだよ(ついで)。頼む! 白井許東病院を助けると思って来てくれないか。」


 そんなこと!

 言われるまでもない。

 あたしにとって、世界でただ一人の愛する人!


 戻らなきゃ。

 あたしの命に換えても、翔平センパイを救わなくては!




次回、強引にハピエンにもっていきます。。(`ω´)

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