第七十八話一人目の仲間薙刀使いの巴2
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「加藤さんは先月の18日に探索者になったばかりですよね? 幾ら強いとは言っても、武道の経験が無ければあそこまで巧く戦えないハズです。恐怖も感じるハズです。足手纏いにならないように頑張るので、私とパーティーを組んで頂けないでしょうか?」
「コータロー5日前にLv2に成ったばかりよ? あなたの『ステータス』を教えてくれない? 絶対に秘密にするから……」
「ええええええええええええええええええええええ!? 12日でLv2ですか?」
「声が大きいわよ」
「それに比べれば私なんてまだ……」
「いいから見せて見なさい」
「す、『ステータスオープン』」
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中原巴
Lv.1
力:Ⅾ
耐久:Ⅾ
技巧:D
敏捷:E
魔力:I
《魔法》
《スキル》
【戦車】
・一対複数あるいは複数対複数の時に全能力が上昇し『力』と『耐久』が向上する。
・一対一の場合には『敏捷』と『技巧』が向上する。
【怪力】
・体力を消費し『技巧』が低下する代わりに『力』を強化する。
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「良く伸びている方だと思うわ。武器は何?」
「薙刀です」
「薙刀なのに円盾や大盾を装備してるのならわかるんだけど……タンク見たいな『ステータス』とスキルしているわね……随分無茶した様子ね」
「はい……元々パーティーで潜る日以外もストレス発散を兼ねて潜っていたので……それと武道の経験者は私だけだったので前衛は基本的に私が……」
「それで攻撃を受けていたって訳ね……」
「いいでしょう――――「俺の体質の事を話した方が良いと思うんですけど……」」
俺は何も話さないでパーティーメンバーを迎えるほど人間が腐ってはいない。
立花さんの瞳には「本当にいいの?」と書いてあるようだった。
君の《スキル》のせいで死傷者が出たかも知れないのに? それを自白するなんて物好きね。と言いたげな視線を向けると短く「そう……」と肯定とも否定ともとれる言葉を告げた。
「体質……ですか?」
「より正確に言うなら自動発動型《スキル》だよ」
「そんな情報を私に言ってもいいんですか?」
「中原さんはある意味被害者だしね。知る権利はあると思うよ……」
「それってどういう意味ですか?」
「こう言う事だよ……『ステータスオープン』」
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《スキル》
【禍転じて福と為す】
・障碍を打ち破った場合。相応の報酬が与えられ、獲得する経験が上昇する。
・障碍が与えられる。また全てのモンスターの戦闘能力が上昇する。
・モンスターの落とすアイテムの質が良くなる。またステータス幸運を表示する。
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「なるほど爆発的なレベルアップのからくりは、『自身よりも数段上の強敵との命のやり取り』と『経験値の上昇』が原因だったんですね。
そしてこれが《《どこまでの範囲に障碍とモンスターの戦闘能力が上昇が及ぶのか》》? 分からないから私を被害者と表現したと言う訳ですね……」
淡々と事実を述べる中原さんの様子は、一見冷静に見える。
「私はアナタを恨みません。事実原因は特定出来ていないんですから……今分かっている事は私はアナタに救われ、友人だと思っていたパーティーメンバーに捨てられただけですから……アナタの体質を知っても私はよりアナタを信頼しました。
こんな誤解されそうな……どれだけの範囲で障碍を呼び込むか分からない。それにオンオフも出来ない不便な《スキル》があっても信頼して、話してくれた事を嬉しく思います」
「だったら……」
「俺の気持ちが分かるだろう? 《スキル》が呼び込んだ障碍のせいで、後が残る傷や障害……最悪の場合死んでしまっては責任が取れないからパーティーは組めない」と言おうとする俺を遮ってこう言った。
「――――だから何ですか? 探索者は自らの命を天秤に乗せて高い収入を得ています。事前に強敵と戦うと分かっているんです、いつ来るか分からないよりはマシでしょう?」
「それに楽して稼ごうなんて腑抜けた奴は探索者には向いてません。それこそサラーリーマンの方が分相応でしょう」
「コータロー、トモエちゃんもこう言ってる事だしさパーティー組んじゃいなよ。合わなければ解散で良いんだしさ……」
「確かにそうですけど……」
「じゃぁダンジョンに行ってきなよ」
立花さんは思いついたと言わんばかりに、唐突な提案をしてきた。
「ダンジョンですか?」
「そうダンジョン、男女の仲と一緒で実際に試して見ないと分からない所もあるし……お試しで潜って見るといいよ。
それにコータローはレベル2で今持っている武器は、買い取ったばかりの短剣なんだし……変な癖を付けないように適正以下の所で冒険しないと後で後悔するよ?」
「そうですね……今回発注した刀は諸刃造の直刀ではないですから……斬り返しの時に手首を返すクセが抜けると大変ですから……」
「武器が折れていたんですね……確か使っていたのはオニキリのカスタムモデルでしたよね?」
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