第七十七話一人目の仲間薙刀使いの巴1
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弾丸旅行? 翌日の8月3日。
俺は丁度、立花銀雪に出会った当日ダンジョンで助けた女の子と師匠同席で会う事になっていた。
相手の女の子……中原巴さんの希望で、俺に取っての|藍沢さんとの待ち合わせ場所《 特 異 点 》でもあるセイレーンコーヒーに来ていた。
三人とも御盆の上に置かれた。ながったるい呪文のようなカフェラテを紙製のストローで吸っている。
「紹介します。こちらがスリーフットレーベンズ所属の立花銀雪さんで俺に戦い方を教えてくれています」
立花さんはいつものように、いかにもギャルと言った風体の女性だった。
少し大きめのゆったりとしたシルエットがかわいく、トップスにゆとりがあるので随分と着痩せして見える。
ホテルに泊まった時に寝間着姿を見たが、アレはかなり大きかった。
「どうも、君がコータローが助けったって女の子か」
「こちらが、中原巴さん立花さんとお会いする前にダンジョン内で助けた方です」
その容姿はアイドルと見紛うほどで、そのキリっとした目元にはキツそうな性格が想像されるものの華があり、一本芯の通った氷のような美しさに思わず目が離せなくなる。
薄着だからこそ隠すことが出来ないボディラインは蠱惑的ですらあり、控えめながらしっかりと主張した、お椀型の双丘が形作られている。
相変わらずいいおっぱいだ。
「……どうも、中原ですテレビで見ました。立花さんもあの後の対処に協力してくれたとか……その節はありがとうございました」
「いいのよ。遊びで来たら事件が起きただけだし……アナタもいい感じがするわね……良ければ戦い方を教えてあげましょうか?」
「いえ。モンスターとの戦い方なら教わりたいですが、武器の扱いは習っておりますので……」
「武道と武芸は違うから……それに探索者の身体能力ありきだと基礎は生きても技までは生きないよ?」
「……そうかもしれません」
「中原さんお礼がしたいとの事ですけど……俺は手の届く範囲内で無理をしただけです。俺は言葉を頂けるだけで十分です」
「いえ、そう言う訳にはいきません。父からもお礼をと言い含められておりますので……それに自分で言うのもなんですが……お嬢様ですのでお金の心配はしないでください」
「良かったじゃない。コータロー新調する武器屋防具の足しになるわよ? 何を迷っているの?」
……遠慮すると言う日本の文化が合わないんだろうなこの人は……
「確かに懐は寒いですけど……お金の為に人を助けたみたいで気が引けるといいますか……」
「はぁ」大きなため息を付くと、立花さんはこう言った。
「医者や消防士、薬剤師だって、お金を貰って人を助けているのよ? 感謝を示すのは言動よ? 言は貰ったんだから後は動が付いて来たって不思議ではないでしょう?」
確かに……消防士などは命を張って人を助けお金を得ている。医者だって患者を助けてお金を得ている。感謝の言葉だけでは人は食っていけないからだ。
「立花さんの資本主義的な意見に同意するのは、いささか趣味が悪い気がするのですが……概ね同意見です。感謝の言葉だけでは人は動けません、だから気持ちを形にして渡すと言うだけです……それに友人達の本質も分かりましたし……」
中原さんの表情に影が落ちた。
言葉通りに受け取れば、友人にまさか見捨てられるとは思っていなかったんだろう。話を聞く限りお金は持っているようなので、初めての裏切りとか人間関係における挫折のような物を今回経験したのだろう……その心中は察するに余りある。
「見捨てられた事が堪えているようね。概要はコータローから聞いているわ。パーティーメンバーから置き去りにされたんですてね」
「そんな事は……」と一瞬言い淀むも、短く「はい」と肯定した。
「探索者制度が出来た最初期なんかは、ダンジョンに入ったけど怖くなって仲間を見捨てて逃げた。なんて事は日常茶飯事だったんだけど……何時からか日本ダンジョン協会は、徒党を組んでダンジョンに入る事を推奨し、個人から危機意識を奪ったのよ……」
「……」
「別に中原さんを責めている訳ではないのよ? コータローとアタシが異常なだけ、あなたは正常よ? 命のやり取りをするんだもの異常者の方が向いているのよ、こういう斬った張ったな荒事は……」
「それでも続けたいなら、今度は信頼できるパーティーメンバーを見つけなさい。但し、一人でも戦える術を得たうえでね」
「私は!」
中原さんはバン! と勢い良くテーブルに手を突いた。ガシャりと大きな音が鳴り、店内の差すような視線が俺の背に刺さる。
「ごめんなさい。」短い謝罪の言葉を口にすると、静かに椅子に座った。
「ワガママを言ってもいいですか?」
羞恥心のせいなのかは分からないが、大きな切れ長の瞳を潤ませてこう続けた。
やっぱりめちゃめちゃかわいい。
「私とパーティーを組んでいただけないでしょうか?」
俺と立花さんは顔を見合わせた。
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