第六十話7月29日立花さんとご飯2
「立花さんも言いにくい秘密を話してくれたので、俺も秘密を明かしましょう」
「改まって何よ。急成長の秘密でも教えてくれるの? 《魔法》や《スキル》の開示はリスクでしかないわよ?」
そう言うと結露したジョッキに口を付け、ゴクゴクと喉を鳴らしてビールを飲み、「今なら冗談だったと思ってあげるから撤回しなさい」と、言外に言われてしまう。
「《ステータスオープン》」
スワイプするようにして虚空に浮いたウインドウを一回転させ、立花さんに俺のステータスを見せる。
「嘘でしょ……」
彼女の双眸には驚愕の色が見えた。
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加藤光太郎
Lv.1 → 1(2へ昇華中)
力:S → SSS → ?
耐久:A → SSS → ?
技巧:S → SSS → ?
敏捷:A → SS → ?
魔力:C → S → ?
幸運:I → H → ?
《魔法》
【皇武神の加護】
・『南無八幡大菩薩』
・詠唱する事で金属に『鏖殺』の特権を与える。
・『性質の強化』と、呪いに分類される頭を割るような激痛を相手に与える。
《スキル》
【禍転じて福と為す】
・障碍を打ち破った場合。相応の報酬が与えられ、獲得する経験が上昇する。
・障碍が与えられる。また全てのモンスターの戦闘能力が上昇する。
・モンスターの落とすアイテムの質が良くなる。またステータス幸運を表示する。
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「『ステータス』の限界突破……それに『ステータス』項目の追加効果を内包した運命干渉系の《スキル》をレベルアップなしで所持していたのね。
それに何この《魔法》……『鏖殺』の特権、『性質の強化』、『呪いに分類される頭を割るような激痛』って複合 《魔法》にしても効果盛りすぎよ!」
そう言うとツマミを頬張りビールを呷る。
「でも、全モンスターの戦闘能力上昇と障碍と表現されているイレギュラーモンスターとの戦闘が多すぎてこれでもギリギリですよ」
「いやこんだけブッ飛んだ『ステータス』じゃなければ、そりゃ格上の魔人を倒せないだろうけどさぁ~コレは酷いわ」
そう言うとキムチを頬張りビールを飲む。
「何でソロで潜ってるのか聞こうと思ってたけど、こういう事だったのね。これは流石にパーティー組めないわ。厄介過ぎるしね……」
「ですよね……」
「まぁ、こんなおあつらえ向きの《スキル》を持っているんだ。アタシが仲介しなくても御上から声が掛かりそうなモノだけどね」
「そうですか……何か少し怠いんですよね。強敵との戦闘のせいでしょうか?」
「講習受けたでしょ? それはレベルアップの症状の一つで重い風邪に似た症状が現れるのよ。主に大量の経験を処理する際の変化が大きいから酷く疲れたように感じるらしいんだよね……一つ忠告しておいてあげる。
数日はダンジョンに潜らない方が良いわ、レベルアップ後はテンションがおかしくなる奴が多いのよ……それが原因で死ぬ奴も多いのよ。それに……いえ何でもないわ……」
そう言った立花さんのは虚ろで、何かを思い出しているようだった。
レベルアップ後に何かあったのだろうか?
そんな事を話しているうちに皿に乗せられたタンが、運ばれてくる。
金属製のトングを使って網の上に円形のタンを一枚一枚丁寧に並べていく……
「ゴホン。知っているとは思うけど、先輩として師匠として説明してあげる。レベルアップ後は『ステータス』が一度初期値までリセットされるんだけど、別に今まで積み上げてきた能力が消滅するわけではないわ。基礎値として蓄積反映され一目でわからなくなるだけよ。それにレベルが上がれば《魔法》や《スキル》《ステイタスの項目》が増えたりと恩恵は大きんだ。」
「『ステイタスの項目』と言うと、俺の幸運のような物でしょうか?」
そう言うと取り皿に肉を置く。
「その通り、あ、タンありがとう。喜ばれるのはモノ作り系かな? 《錬金術》とか《鍛冶》、《調合》とか……」
そう言うと、塩ベースのタレをかけてハフハフしながらタンを頬ぼった。実に美味しそうだ。
「戦闘系はないんですか?」
「もちろんあるよ? でも戦闘の補助に留まる事が多いかな……特大の秘密を教えてくれた事だし、より一層、指導に熱を入れてあげるよ。死なれても目覚めが悪いしね……今晩から明日にかけて酷い熱に苦しむだろうけど頑張ってね」
「楽にする方法とかってないんですか?」
「私は酒飲んで寝る事かな……未成年の頃は睡眠薬飲んで寝るとかそれぐらいしかないかな。人の分を焼いてばかりいないでコータローも食べなさいホラ男の子でしょ?」
そう言うと雑にトングでタンを掴んでドバドバと肉を取り皿に置いた。
「ちょ! 立花さん流石に雑過ぎませんか?」
「いいのいいの、いい肉でもお腹いっぱいの時に食べれば、普通の肉と変わらないんだから、美味しく食べれば何でもいいのよ」
そんな事を話していると、予約席の方では宴会が始まったようでなんと俺の好きなアイドル声優、月壬麻那花さんの打ち上げのようだった。
「隣、賑わってるわね。それに可愛い声の子がいっぱい。Yo〇Tuberか歌手かしら?」
「多分声優さんだと思います。聞き覚えがあるので……」
「声優好きなんだ。幸運の効果かしら……」
「【禍転じて福と為す】の効果である障碍を打ち破った場合。相応の報酬が与えられる。なら正直割りに合わないって感じがしますけど、芸能人と間接的に同じ空間に居れるのは得した気分になりますね……」
「そんなものかしら……それを言うならアタシも有名人だけどね」
「そう言えばそうでした」
俺は忘れていたとばかりの態度を取る。
「も~酷いなぁ」
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