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第二十話7月21日ダンジョン三日目1


 ダンジョン探索三日目、割と慣れて来た気がする。

『ステータス』獲得目的で、入口付近でたむろする学生や、ある意味新社会人wの集団を横目に、ゴブリン出現エリアへと足を進める……



 この左回り(ゴブリン)エリアは、右周りのエリアに比べ何故か(・・・)人気がないようで、ほとんど人とすれ違う事はない。(なんでだろうな?……)

道すがらダンジョンバットやスライム、時には素手ゴブリンを撫で切りにしていく。 (研ぎ直したオニキリカスタム 最っっ高っっ!)

『技巧』が上昇したお陰か、拙いながらも刃筋を立てて斬る事が出来、苦戦する事が少なくなった。



 俺は少し物音のする、やや広めのルームの中を覗く様に伺う。

物音の主はゴブリン二匹。

武装はかなりしっかり目で、手斧とショートソード。

前回の、剣鉈装備の強ゴブリンクラスと思われるものが二匹、かぁ… 

一昨日より確実に成長しているとはいえ、二体同時に戦えるとは思えない。



 どうも作為的な嫌がらせを感じる。 気のせいならいいんだが…。



「ようやくタイマンで、ゴブリン一匹を倒せるようになったと思ったら、強ゴブリン二匹同時とは、運の無い……」



 これがスキルの言う障碍なのだろうか?


 一度引き返し、槍でも手に入れてからこようかとも考えたが、そんな調子ではいつまでたっても桃華の薬は手に入らない。


 俺は覚悟を決めて刀を抜く。


 一匹を一撃で殺すよりも重症を与え、ペア相手に精神的ハンディキャップを負わせる方が得策だな……


 ゴブリンは知能が高く連携を取ると聞いたことがあるので、ゲーム知識も生かせるかもしれない。


 出来るだけ足音を立てない様に距離を詰め、上段からの一刀。

不意を突いた一刀目で、強ゴブリンAの右腕を肩から切り落とし、俺の襲撃に気が付いた強ゴブリンBの反撃を、左下方向からの逆袈裟斬りで受け流(パリィ)し上に弾き上げる。



「ゴブ!」



 ショートソードを受け流(パリィ)しされ、上に弾き上げられた強ゴブリンBは、驚きとも戸惑いとも取れるような声を発し、後方へ腕を切り落とされた強ゴブリンAの腕を引き寄せるように後方へ引っ張ると、追撃の右方向からの横なぎを間一髪避けた。



「ちっ!」



 余計な追撃はせずに剣を中段に構える。



「流石は強ゴブリン。判断力がノーマルより鋭い……多分ノーマルなら、今の攻撃で二匹とも殺せてるイメージなんだけどなぁ~」



 ――――とは言っても初のペアは強ゴブリン二匹。

今ので仕留められるほど、弱い相手だとは思っていない。

 


「じゃぁ行くぜ?」



 言葉が伝わっているハズは無いのに、俺は宣言する。

――――今からお前達を殺すと――――。


 俺は剣を八相に構えたまま臆せず走り、斬りこむ。



「ゴブ!」



 ショートソードを持った強ゴブリンBは、右腕を斬り落とされた強ゴブリンAに向けて何かを訴えた。


 十分な速度の乗った右上からの袈裟斬りが、強ゴブリンBを襲う。


 強ゴブリンBはショートソードを横に倒すようにして、俺の攻撃を受ける。

 否。ショートソードの腹でオニキリカスタムの刃を受け流(パリィ)し、反らしたのだ。



「ゴブ――――!」



刹那。


 強ゴブリンBが叫んだ。


 頭を振り背後を見ると、満身創痍と言った様子で、脂汗を浮かべた強ゴブリンAが手斧を全力投擲していたのだ。


(ま、不味い、避けるか防がないと!)


 地面にオニキリカスタムの切っ先が当たった瞬間。

一か八かの賭けに出る事にした。

 

 俺にはステータス『幸運』があるんだ。今までだって、ウ〇娘で一天井と少しで、完凸させたことがあるんだ! 自分(の運)を信じろ!


 ――――と自己暗示をかけて、《《刀の刃をあえて寝かせて、右横方向に向けてバットのようにスイングする》》。


 当然、スイング方向に居るのは、ショートソードを不格好に構えた強ゴブリンBだ。

強ゴブリンBをボールのように飛ばして後、投げられた手斧を迎撃する事を選んだ。

最悪、昨日20万も出して買った防具がお亡くなりにはなるが、俺に当たっても激痛と打撲程度ですむだろう。

だが、腰布装備のゴブリンなら、どこに当たっても致命傷と言う訳だ。


 俺の『《《幸運》》』のお陰か、投げた手斧はBの背中に命中する。

ぼとりと重たく水っぽい音と共に、強ゴブリンBが地面に崩れ落ちる。



「ゴブ!」



 強ゴブリンAが何か鳴いたがどうでもいい。


 

 気を抜くことなく強ゴブリンAに近づくと、一昨日同様に首を落とす。

 続いて強ゴブリンBの首も念のため落として置く。



「思いのほか疲れなかったな……」



 強ゴブリン二体なんてどうなるかと肝を冷やしたが、思いのほか何とかなって良かった。



「やっぱり強ゴブリンの魔石は、ノーマルよりも色味が深いな……」



 解体用ナイフで心臓付近の魔石を抉り出し、道中で狩ったゴブリンの魔石と比較しながらウエストポーチに仕舞い、一応武器も回収する事にした。



 「普通ではエンカウントしない強化個体が出たきがするなぁ

魔石も色濃いし、経験値も多分多いんだろうな実感はないけど。

ゲームみたいに宝箱でも落ちれば、分かりやすいんだけど……」



 流石にそうはいかないようだ。



「やれやれ……苦労には見あってないな……まぁでも稼がないといけないし、張り切って行こう」



 段々と通路の壁が、鶴嘴つるはしで削ったばかりと思えるほどにボコボコとした造りになって来た。


入口付近のスライムエリアと壁の質感が違うな…もしかして壁でエリア分けされてる?




 


 読んでいただき、ありがとうございました!


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 続きが読みたい! 


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