この世界の事
「.............!!」
誰かが俺に声をかけているが何を言っているかはわからなかった。
「.............しろ!!」
何となく日本語を言っている事はわかってきた。
少しずつ意識が覚醒してきて目を覚ますと
「大丈夫か?しっかりしろ」
やっと何を言っているのかを理解出来たのだ。
「気がついたか」
と声をした方を向くとだいたい30後半ぐらいのおじさんがいた。
俺にずっと声をかけていたのだろうか。
「あ、大丈夫です」
「覚えているか?お前さんはここで倒れていたことを」
予想外の事を言われ
『え?俺意識失ってたの?』
そう思っていると
「それにしても見た事の無い服装だな。何処から来たのか?」
おじさんが俺の服をじっと見て聞いてくる。
『しまった。駄女神に会ってからずっと高校の制服のままだ』
俺はすぐに何とかこの場を乗り切る為の言い訳を考え
「実は俺遠い遠い国からやってきたんだ。その遠くの国の服なんだよ」
すぐに思いついた事を言うとおじさんの顔は
「遠い国.............グアアラムから来たのか?」
少し考えてから俺に聞いてきた。
「俺旅人なんでそこまでわからなくて」
更に追加して言うと
「旅人か.......なら仕方ないな」
とおじさんは納得したらしく
「お前さん、その服だと変に目立つから俺が服を買ってやるよ」
どうやら服を買ってくれるらしいのだ。
「いや、俺金が.............」
あると言いかけたが
『この世界多分円単位じゃないから使えないじゃん』
と思い
「やっべ、今金ねぇんだった」
慌てて言うと
「色々旅で使ってしまったんだろう?今は俺に甘えな」
おじさんが優しい声色で言う。
「すみません」
そう謝ると
「気にするな」
と言い街に向かう。
街に向かう途中
「そういえば名前をまだ言ってなかったな。俺はアレクだ」
おじさんが自分の名前を言う。
「俺は遠山通だ」
自分の名前を言うと
「トオヤマトオル?聞いた事ないな」
アレクさんの頭に?をいくつも立っていた。
「遠い山に通るっていう字です」
言うと
「なんだそれ?」
更に頭に?を立ててしまったみたいだ。
「なんか混乱させてしまってすみません」
頭を下げて謝ると
「気にしないでくれ」
アレクさんは許してくれた。
なんか申し訳ないなぁ。
ここはマーリンタウン。
街並みはイギリスとかみたいな感じで織物や加工物が盛んな街みたいだ。
街は人や獣耳の獣人?で賑わっていて服屋や生活雑貨や酒屋も多い。
『ここは自営業とかが多いのか』
そう考えていると
「ここが俺の行きつけの店だ」
とアレクさんが俺に声をかける。
アレクさんが指を指す所には沢山の服が並んでいた。
アレクさんがその店に向かうと
「あら、アレクさんいらっしゃい」
アレクさんが来てるのに近づいてるのに気がついたみたいでおばさんがいらっしゃいと言う。
「元気そうだな」
「アレクさんもね。服は前買いにきたけど何かな?」
おばさんが聞くとアレクさんは俺に向かって指を指して
「あの旅人の服を買いに来たんだ」
と言うと俺は頭を下げて
「どうも」
頭を下げて言う。
「貴方が旅人ね。それにしても見た事無い服を着てるねぇ」
おばさんは俺の制服をじっと見つめる。
「少し触れてもいいかい?」
と聞いてきたので
「え?あ、はい」
そう答えるとおばさんの俺の胸の辺りに触れる。
するとおばさんは驚いた表示になり
「あんたの服魔素が組み込まれてないね」
そう言う。俺は
「魔素?なんだそれ?」
聞くとアレクさんは更に驚き
「魔素も知らないということは異能者の事も知らないな?」
俺は
「魔素の事も異能者の事も知らない」
そう答えると
「魔素は言わばエネルギーみたいな物だ。服に練りこめば耐久性も上がるし空気にも含まれてるんだ」
アレクさんが説明した後におばさんが
「異能者は10人に1人産まれて能力を使う事が出来るんだよ。例えば炎を出せたり私見たいに魔素を見たりする事が出来たりするんだよ」
と説明する。
「そうなのか」
納得すると
「どんな服にしたいんだい?」
おばさんに聞かれる。
『やべ、服買いに来たことを忘れてた』
と思い出し
「あまり目立たないのがいいな」
要望を言うと
「わかった。少しお待ち」
おばさんは言い店に並んでいる服を選び初める。
「俺も探しますよ」
と言い探そうとすると
「この人は服選びのセンスがあるから信じて待ちな」
アレクさんが俺に言う。
「これでいいかい?」
おばさんが出てきて服を持ってくる。
青色の半袖シャツの服に茶色の半ズボンの1セットを持ってきた。
「着てみてもいいか?」
と聞くとおばさんは
「構わないよ」
言い着衣室に案内してもらい着替える。
『制服は.............機会がある時でいいか。なんか重要な時でいいか』
着替えながら考えおばさんに渡された服を着替え終え出ると
「似合ってるじゃないか」
「やっぱり私の目に間違いは無かったわ」
アレクさんとおばさんは賞賛の声を上げる。
「後黄色のシャツと緑のシャツもセットでつけとくよ」
おばさんが言うと
「いいのか?」
聞くと
「金の事は気にするな」
アレクさんが言う。
ここでなんか断るのもなんか失礼な気がしたので
「ありがとうございます」
お礼を言うと
「値段は5000マリね」
おばさんが言う。
『マリって日本円にするといくらなんだ?』
考えていると
「丁度な」
アレクさんが5000マリ?渡すと
「丁度ね。ありがとうね」
おばさんが言い
「またな」
とアレクさんがおばさんに言い店を出る。
俺も
「ありがとうございました」
とお礼を言い店を出る。
店を出て
「すみません。お金出してもらって」
アレクさんに言うと
「気にすんなって」
そう言うと
「あっ」
「おっと」
どうやら俺は誰かにぶつかってしまった。
「あっ.......すみません」
と銀髪の女性の人は謝る。
「あぁ、俺も悪かった」
俺も謝ると銀髪の女性の人は前へ歩き出す。
「トオル、気をつけないとダメだぞ」
アレクさんに注意された。
「すみません。あれ?」
素直に謝った後に俺は下に何かが落ちていたのに気づき拾う。
「なんだこれ?バッチ?」
丸いバッチみたいのを拾う。
「これは.............なんと!!」
とアレクさんは驚いた。
「知ってるのか?」
聞くと
「知ってるも何もこれは王の資格のバッチなんだぞ!!まさか、あの女の人か?まさか、王女マリンかもしれない」
アレクさんは早口で説明する。
俺は困ってるかもしれないと思い王女マリンが歩いていった方へ走っていく。
「おい、待て!!」
アレクさんが声をかけるが俺は無視して行く。
『なんとしてでも渡さないと』
と思い走っていった。
吸血鬼です。
2話を投稿致しましたので読んでいただけると嬉しいです。