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思考の余端
コベセルにとって人生で初めての修羅場だった。
確かにセラーゼの(自分に対する)あの時の対応、実は自分に対しての愛情があったから?
そんな風に思えるほど現場は悲惨な報告であふれている。単なる恒例行事だと思っていたイベントがいつの間にか国家を揺るがす大惨事に発展したのは何故?
自分断りもなく出征したアデイロと貴族院の兵士が自分に向けた視線が、自分を見下しているように感じたからなのか?
普段なら。
そう、普段なら仲の悪いアデイロの言葉は軽く受け流していたはず。
しかし今回は、セラーゼが彼を…。
今となっては無意味なことだとはわかっているのだが、それでも考えずにはいられない。
彼女は俺の事をどう思っているのか?
と。
ここで終わりのない思考の迷宮を彷徨う彼を救ったのは、斥候による報告だ。
彼は思う。確かに彼らによって現実的ではない夢想からは逃れることができたかもしれない。
でも、それによってもっと悲惨な現実と向き合わなければならなくなった。
そこにまた新たな一報が入る。
「アデイロ様が撤収されたそうです」
「は?」




