予告
森を走るモバーが見出した光明の正体はヤクダイが持つ紋章の輝き。
これは運命なのだろう。
か?
いや、何かに縋りたい彼にとっては、ある種の運命と言える輝きだった、はずなのだが。
この後、彼は運命の乱数に翻弄され、命を落とすことになる。
そして本人はそのことを知るはずもない。
今はただ、単純に。
光源へ向かう。
その足どりはまるで吸い寄せられるようだった。
後に彼は、当時の心情をそのように語っている。
過去イチ。
ヤクダイが感じた〇〇の激しさ。それはまさに、下り最速、と言っても過言ではない。
加えて、それに伴う解放感。それに引きずられるように低下する警戒心、が運悪くモバーの接近を許してしまう。
彼の接近は四時の方向。
気が付くことが出来れば、この状態でも対応が出来る距離まではあと少し。
正直、驚いた。
光を奪われた世界で見出した小さな光。
一縷の望みを託した彼の目に現れたのは、輝く臀部。しかも近づくほどにその威力を増している。
しかも彼女は無防備な状態を晒している。
これは…。
彼女の様子にモバーの心が疼いた。
同時に彼の左手、正確に言えばその親指が自身の頬骨の辺りを軽く触る。
朧閃輝
右目から立ち昇るのは、例のカッコいいアレ。
瞳から鬼火のように揺らめく輝火は彼にとって、今回初披露の技だった。
だが今の状態では対象者に対は何の反応も出来ないだろう。だって、見えてないんだから。
その瞬間、彼は時計と逆回りにヤクダイの正面へと回り込もうと動いた。
位置的にその方が速く彼女の正面に出られるからだ。
「 !」
あっ!
フォントでは表示できないほど小さな叫び。
右目から流れ出た残光が左目に入ったことで、一瞬視力が奪われたのが原因だった。
初めての技が及ぼす弊害が彼を襲う。
しかし彼は諦めない。気をとしなおして時計回りに彼女の正面へ向かった。
そして次回。
彼らの運命はどうなってしまうのか?




