ひとりじゃない(不幸、まとめ)
暗雲は天空を覆い、地上をから光を奪った雲が更に厚みを増していく。分厚い雲に覆われた雲の中を光の筋が交差や並走をしていた。まるで雲の中を泳ぎ回るように…。
ひざを屈し、地面を見つめるジャステイウスの顔は怒りに強張っている。原因はもちろんのクフェナの仕打ちだ。
確かに彼女は年配で経験も豊富だが、それでも自分は彼女にとっては兄弟子だ、という気持ちと、部下の前で無様を晒され、立場を傷つけられたという思いが彼の顔を赤黒く染めていく。
ここまでされたらいかに妹弟子とはいえ、アットホームと調子に乗るのは違うことだと教えてやらなければならなくなった。
相手は4,いや、一人抜けて三人か。こちらは二十人以上。せっかく仕込んだ前菜の分も含めてきっちり解らせてやろう。
部下たちに攻撃の合図を送る為、彼はお尾を引く痛みに耐えながら顔を上げた。
良くない曇気だ。
主、ジャスティウスの醜態を目の当たりにした部下たちは動くことが出来ずに硬直していた。ただし、かれらの心はゆっくりと、そして徐々に激しく揺れ動いていく。
そして時は来た。主がゆっくりと顔を上げたのだ。
表情を読み取った部が達が次々に行動を起こす、彼らがいた場所には残像が残っているだけだった。
恐るべき手練れたち。最初の標的は?
それはクフェナ、や他二名ではなくジャスティウス本人のようだ。
理由は彼自身にあった。顔を上げた瞬間の、あまりにも悲壮感漂う表情に部下たちの心は一気に離れてしまった。
部下にとっての「主」は一人に限定されない。勝者であり強者こそが彼らにとっての主であり正義なのだ。
あっ!
ジャスティウスは心の中で叫んだ。
だが、もう遅い。
下手を打った挙句に弱気な態度を示せば当然こうなるだろう。
初めからそういう話だったし、理解もしていたはずだ。それでもやってしまったのは、単なる自分の心の甘さ。そうはいってもなんだかんだ助けてくれるかもしれない。といった幻想に捕らわれていた。
しかし、命を懸けた自己責任の世界で言い訳は通用しない。
既に数人は完全に気配が消えている。今までは自分が他人ろ見限り、踏みつけ、利用してきが側だったのが、今回、初めて窮地に立たされた。ここで結果を見せなければ終わる。
思わずこぼれたのは軽い舌打ちだった。
何が原因でこうなったか?
とは考えず、これから目の前にいる三人をあしらわなければならない面倒さが彼の気持ちを重くしていた。
まだ痛みが完全に消えない脇腹にも不満を感じつつ、三人の様子を観察すると、Y-1581くらいか?
などと、窮地とは思えないほど軽くアタリをつけて静かに立ち上がる。




