技巧
サルハの動きにかろうじて反応するラノアに出来たのは、かろうじて顔を上げ、少年を睨みつけることぐらいだろう。
これは実際技を放った本人が体験者のレビューを基に推測した結果だが、やはり彼女もその程度しか動くことは出来なかった。
自分の慢心で窮地に立たされた彼女は後悔する。
活路を見出す為に顔を上げたその瞳には、幼いが意欲に満ちた少年が自分に向かってくる姿が映し出されていた。
僕が!
サルハは自分も出来るんだ!
と言うのを見せたかったのかもしれない。
いや、見せたかったんだろう。
憧れと嫉妬、同じ研修を受けたとはいえ、他の二人は自分より遥かに経験を積んでいて技巧、技術に関しては太刀打ちすることができない。
それなら、どこで?
好奇心と多感さに満ちた少年に決断させるには十分なシチュエーションが今回の事件。
彼にとっては十分すぎる見せ場だろう。
躊躇なく行動する少年に危うさを感じてミオラが言葉をかけようとするのだが…。
顔を上げたラノアの目の前に飛び出す少年を見て、彼の恐れを知らない行動力を少しだけ羨ましく思っていた。
だけど、そう言った事には向いてない子なのかも?
そう言った感想もそこそこに、眼前に迫る少年の瞳を見つめた彼女はこの事態を切りぬける為の技を使う。




