通じ合わない思い 通じ合う心
自由を奪われたラノアは内心驚いていた。
こんな、明らかに格下に見えた連中に動きを封じられるなんて…。
それと同時に、思わず自嘲の笑みがこぼれそうになるのは、過去の経験に重ね合わせたからなのかもしれない。
実際、彼女にはこれまでも何度かこんなことはあった。明らかに格下だと思っていた相手の手痛い反撃を受けて、無駄な被害を受けたり余計な対策をしなければならなかったり。
そのせいで幾度となく窮地に立たされたが、幸運にも切り抜けることが出来ていた。
今回は?
彼女の体の自由を阻害する影を観察しながら三人の様子を伺う。
すると、影自体の抑止力はそれほど強くないように感じることだ。ただ、この感覚が危険だろう。
後方の先輩は恐らく何の役にも立たないだろうから、自分が活路を開かなければならない。
焦りは禁物、状況を把握して相手の隙をつく。
後はその瞬間を待つだけ…。
私が何とかするから先輩はおとなしくしててね!
そう考えながら感覚を研ぎ澄ませる。
あと一回、次で決める!
ラノアを守ってやる。
目の前には動揺するエストが警戒心を高めているようだが、次で決める!
こいつを倒してお前を助けるから待ってろよ!
後は奴らに何か動きがあれば…。
痛む脇腹を抑えながら、こんな姿を見られるなんて情けない。
そんなことを考えていたエストがロジンの目を見て気を引き締めるのだが、同時に後方のラノアの雰囲気の変化したことにも意識をしていた。
いや、ここはまずこいつから制圧してその後に…。
頼むからそれまで大人しくしててくれよ。
次は油断しない、こいつが動いた瞬間に決めてやる。
制圧できる!
ここで良いところを見せて認めてもらうんだ!
「待って!」
ミオラが叫ぼうとするが間に合わず、サルハが動き出す。
この瞬間彼らの心は一つになる。
『今だ!』




