そう言われてしまえば
「油断があった、ということでしょうね」
エストを見る二人の目に輝きが増えたように見えたのは、二人に対する噂のせいだったのかもしれない。
彼らは他人の失敗を暴いて出世する。という踏み台方式によって組織内部での評価を上げ、同時に同僚達の評判も下げていった。
エストの答えを待っている二人の耳は、小刻みに震えている。
「そう…かもしれません」
「かも?いま、かも?っておっしゃいましたか?え?本気ですか?おかしいでしょ!」
補佐のソラソが間髪入れずに言い放ち、思わず腰を浮かせたが、カナンがそれをゆっくりと制止し
「わかります。その時の状況は恐らく相当緊迫していたんでしょう。それは、まあ、わかります」
この辺りは直情的な反応をする補佐官のソラソとは違い、しっかりと対象者の意見を聞こう、という姿勢を見せるカナンの対応に立会人は感心する。
しかし、エストの反応は少し違った。
二人のやり取りを見て、表面上は懐柔されたように装っていたが、内心では
こいつら、デキてると確信した。
「あ!すまないが、席を外してくれるかな」
審問時に不適切な言動がなされないよう内密で話したい時に出るのだが、立ち会人には今の段階でその言葉が出るのは理解できなかったが、おとなしく退出した。
すると、扉が閉まるのと同時にソラソが
「あなたは思ったより聡明な方のようですね」
「私たちはそんな方を探していたんです」
後を次いでカナンが言う。
これは…?
さっきは感覚的にデキてるとは感じていたが、今は?
といっても、デキてると感じたのは実際、そういった関係の話ではない。
職務に対しての出来上がりのような感じがさっきは感じられたのだが、今は?
「…」
答えを探しているエストの表情を見たソラソが少し笑いながら
「例えばその答えが正解だ!?って、誰が決めるんです?」




