おかしい、これは…。
開かれた口から今にも言葉が―。
その寸前で、外部からの侵入者が格子を蹴破り騒々しく侵入する。
これに対してジェロノは、一瞬だが身を固くする。恐らくは無意識なのだろうが臆病な本性が反応したのかもしれない。
ただ、一瞬後には侵入者へ攻撃する体制をとっていた。
「?」
ところが侵入者は素早く反転したかと思うと侵入口から姿を消した。予想外の出来事の連続に戸惑うジェロノを残して彼から生み出された者たちはゆっくりとこの世を侵し始めていく。
めんどくさいことになったな。
当初、彼の所属する神聖団体からの指示はあくまで観察だったのだが。ほんの数分前、それは急変した。
「ジェロノを抹殺し、迅速に事態を収拾せよ」
いきなりこの世ならざる物が出現する、という展開に戸惑っている中でこの指令?
どの段階でこんなことになったのか、どういった経緯で決断されたのかなどの説明は一切ないのはいつもの事だが、今回はあまりにもひど過ぎる。
…といった所で今更か。
まあ、仕方ない。とりあえずはこの混乱を利用してジェロノを始末しておこうか。もしかして、だけど元栓が閉まれば後は案外かんたんだった、なんてことになるかもしれんからな。
信頼出来る部下を持つ上司ってホント羨ましいぜ。なんてことを考えながら元栓の部屋へ一気に侵入した。
混乱したジェロノの部屋には護衛もなく、標的は呆然と立ち尽くしている。この絶好の機会に自分の幸運とその手段を選んだ自分を自画自賛しつつ即座にその場から撤退した。
現場を離れ、こみ上げる物を吐瀉するのだが、あの場所に蟠っていた臭氛が纏わりついているようで、二度とあの場所に戻ろうとは思わなかった。
仕方なく放たれた害悪を地道に始末することにした彼の前で見たことのある人物が戦っている。
あの型は、六章空壁?
なじみの店の店主がなんで?




