見知らぬ訪問者
砦を包囲されてから既に六日、兵士たちの士気は失われ、彼らの希望となる切り札も既に尽きていた。
こんな状況下でさえ、ジェロノはまだ現実を受け入れられていないのか、頻繁に部下を招集しては戦況を確認する。
だが、残念なことにその頻度が増加と反比例して参加する配下の数は減っていた。
原因?
それは…。
逃亡や投降ではない、とだけ。
「面会を求めている者がいます」
こんな状況に?いったい何者なんだ?
ジェロノを含めた数少ない幹部が突然の訪問者に警戒を強める。
「しゅ?しょ?宬?掌館?」
とか言ってますが、いかが致しましょう?
報告をしたのは、こんな場合でも自分の役割を忠実にこなそうとする一兵卒だった。
今は苦境に立たされている。だが、自分や同僚が最善を尽くせば必ず事態は好転するはず。
祖国ソラロンタスを信じて行動する、今、自分に出来る最善で最高の事だ。
思えば、窮地にありながらそれでも祖国と上官に対するゆるぎない心を持つ彼らのおかげで今日まで持ちこたえたのかもしれない。
果たしてこの訪問者は、窮地を打開するきっかけとなるのだろうか?
「お通ししますか?」
報告を受けて、一応。形式的な問いかけをする側近にも苛立ちを覚えたソラロンタスはつい
「そんな者に会っている時間は無い!」
と語尾を強めて言い放つ。
そして後悔。
追い詰められた状況での発言に思いのほか感情がこもってしまったことに、自分自身の余裕の無さをさらけ出したような気がして少し落ち込んだ。
こうなったらもう…。
…でも、もしかしたら援軍が?
「残念だが」
この窮地を救うべく、店をたたんでここまで来た彼が聞いたのはこの言葉だった。
「い、いや、で」
「残念だが、お会いにならない」
さっきより少し強めの言葉で制止する。
これ以上は無駄か。
そう察した彼は、おとなしくその場を去ることにした。
ただ、彼は心の中で
「面倒なことになりそうだな」
と呟いていた。




