自画自賛
自画自賛。
ジェロノを越境させ、計画通りに砦へと誘い込むことに成功した。
ここまでは、まぁ、概ね順調。
と言って良いだろう。
「南地区より増援要請です!」
「…、そうか…、で?」
この状況で、追い詰められているのは部下だけではない。
希望したわけでもなく、立候補したわけでもない任務に立ち向かう彼の心情は複雑だったが、確実なのはそれが今自分に与えられたすべてだということだ。
そんな彼の問いに対する答えは?
この問いに対して、正解者はこの場にはいなかったようで、深く思い沈黙がその場を支配する。
予定通りなら、圧倒的な力で敵を制圧していたはずなのだが?
「東地区よりいち…、いや、二名応援に行かせるように」
凡策を超え、愚策の領域へと踏みこんだ指示。
当時、判断ミスと批判され、彼自身も後に、今思えば正解だったとは断言できないと言っていた言葉に周囲の反応は冷やかだった。
「しかしそれでは!」
決断の後、かずかずの批判的意見が彼を覆う。
そんなことは本人も十分に理解している。
ただ、ここで彼が思ったのは、実際は全体を見ている自分と自分の管轄だけを見れば良い部下の立場の違いの強さだ。
しかし、そんな中でも彼は、この戦い。
自分じゃなきゃ、失敗していただろう、とも考えていたのだった。




