遅刻ちこk
ジェロノは国境となる河を前に悩んでいた。
先人の教え通りこのまま数日ここに留まり、撤退すればいいのか?
それとも…、
さらに言えば、越境という偉業に対して齎される情報は、彼にとって全て有利な情報ばかりだった。
こんなことがあって良いの?
家柄に恵まれ、不自由なく暮らしてきた彼でさえ疑う程のシチュエーションが、逆に彼の警戒心を呼びおこしていた。
しかし越境、越境さえすればソレアと一つになる事が出来る。
対岸に険しい眼差しを向ける彼の脳内には景色とは別の、彼女との情事が繰り広げられていく。
「閣下!」
ピンク色の物思いに耽っていた所を呼び戻したのは部下の呼びかけだった。
これからここに到着して四度目となる越境会議がい粉われるのだが、過去三度の部下の結論は全て越境すべき。
という決壊に終わっている。
ただ今回は、自分の最も信頼し、かつジェロノ家の繁栄に最も貢献した重臣が参加するとあって彼も心強かった。
今回の件で、周囲では自分が決断力に欠けるのではないか?
そんな話が出てきているらしい。
でもそれは違うだろ。たかが一兵卒と総大将だと立場が違うんだぞ?たかが一兵卒ごときに俺の苦労が解るのか?かたが一兵卒が生意気な!
三度目の会議が終わった後に決断を保留した彼の耳に入った言葉が感情を逆なでる。
なので。
今回こそは。
その為に最も信頼する者も呼び寄せたのだ。今回こそ決断する。
「撤退すべきです」
意見を求められた彼の発言はジェロノも予想外だった。個人的には彼の賛成によって絶対的な安心感と共に決断しようと思っていたのだが、それがまさかの…、
「動き出しましたぁ」
見張りが声を上げる。
ようやくジェロノ軍が越境に向けて動き出したようだ。
「大丈夫よ、とおっしゃっていたとお伝えください、とのことです」
セラーゼの発言として伝えられた言葉にミジンは感動していた。
セラーゼ様が直接私に伝言を!?
ソラロンタス軍が布陣して五日目、ようやく動き出した敵を見て再び感動に震える。
セラーゼ様のおっしゃる通りだった。
しかしこちらも動き出さなければならない。
思いの数だけ鳥肌の浮き出る二の腕をさすりながら部下に問う。
「こちらは?準備、整ってるな!」
敵の予定より遅い行動に強めの言葉がを放つ、が…、
「そ、それがまだ…」
「まだ?ん?え?なんで?」
あんなに時間があったのに?ホントに?




