荒ぶる大波
お手本のように絡んできたのは、先ほどご婦人が話していた何とかの大波という集団から向かってきた青年達だった。
歪んだ笑みを湛えながらこちらに向かってくるを見て、ルディス達はほんの少し期待をしてしまう。
もしかして、思ってたより…?
ところが。
先頭を歩いていた男が軽く手を上げて仲間を制し、一人だけこちらに向かってくる。
なぜだ?彼の行動がルディス達を困惑させた。仮に全員で襲ってきても自分たちに敵うとは思えない、なのになぜ?あえて単独で向かってくる意味はなんだ?
まさか、罠、なのか?
二人の緊張が周囲を固めるスタッフにも伝わり、辺りは緊張に包まれる。
これだから思い付きってやつは好きになれない。
しかしチームザレルの思いが一致したところで事態が好転するわけもなく、ここは警戒しながら相手の出方を見ることにした。
荒ぶる大波。
リーダーの青年はこの名前に満足していた。荒々しく全てを飲み込む大波とそれを率いる自分に絶対的な男っぽさを感じていたからだ。
実際は少数を大人数で襲うことからつけられた、と言うことを知らない彼は今日もご満悦だった。
そんな彼が今夜の獲物に選んだのは、さえない二人組の優男、今夜はこの二人が標的だ。
あのおせっかいなおばちゃんが話しかけていたくらいだから、間違いないだろう。
「おいおっさん、何見てんだよ」
大波が弱者を飲み込む時のルーティーンはこの一言から始まる。
ここから、時は動き出す。
各々が雰囲気を作って立ち上がり、リーダーの後に続くと彼らの正面には二人の男が立っているのが見えた。恐らくこんな経験は初めてなのだろう、彼らの困惑した表情に、つい、にやにやがこぼれてしまう。
しかしそこでリーダーの制止が入り、いつもの口上を言う為に単身、獲物の元へと向かっていく。
残された四人は自信満々のリーダーの背中を見ながら、これから楽しい略奪が始まる期待で、心の底から歪んだ笑みを浮かべていた。




