それでね 前編
緊急の要件。
魔物の暴走、その背後に潜むであろう「はじまりの村」とそれに加担するペリニシア内部の裏切り者。
手掛かりはあまりにも少なく、かろうじて掴んだ手掛かりも数日後には消えてしまう。
そんな組織に対して
「片っ端から疑ってかかれ」
をコンセプトに大々的な捜査を行たのが当時の担当者で、自分たちの権力こそが絶対だと信じ強引な捜査を行っていく、のだがこの件に関しては残念ながら上手くいかなかったようだ。
強く責めれば、自分こそが犯罪者ですと名乗り出てくるはず。
この予想をもとに、手当たり次第に住人を締め上げていくのだが、非関係者の予想通り。
というか当事者の予想は大きく外れ、悪い奴は影を潜めるのだと思い知らされた。
最終的に大規模な捜査をするほど敵は姿を潜め、無関係な一般市民の被害だけが増えていく。
民衆からの不満は募るばかりだ。当然だが前任者は成果を出せず退くことになり、その強引な捜査が原因で複数の領地で国に対すになったる不満を育てる原因になっていった。
この事件は後々にも影響し引き継いだ者に対する容喙は後任者の枷となり彼らを苦しめた。その結果、後任は短期間のうちに辞任していくことになる。
「新たな情報が入りました」
ロジンの報告書に目を通していたザレルが顔を上げる。
彼に知らされたのは、残念ながら職務とは関係のない報告だった。ただ、関係なかったとしても、彼にとって最も興味の惹かれる報告だったことは間違いない。
「宬掌館という建物が見つかりました」
これを聞いたザレルは読みかけの書類を閉じ
「ほう、それで?」
と続きを促す。
彼の話によれば、ここからそう遠くない小さな村にその家屋があるという。
ただ残念なことにそこはほんの数日前に閉鎖され、今は無人のようだ。しかし、彼の話はそこで終わらなかった。
その店に通っていた常連客を数人突き止め、話を聞いているらしい。
それで、その話というのは…、




