U~Mぅ
とある宿屋。
偶然出会った老人に武勇伝を語っていたのは、真実を失った男ナウゼだった。
出会ったばかりの老人に勧められるまま、酒杯を重ね、自分自身を赤裸々に語った彼がこう問いかけた。
「好きなことで生きていく、って大変ですよね?」
何度目だろう?
酔っている本人だけではなく、聞いている老人でさえ覚えていない。
それでもまた、彼の物語は繰り返されていた。
俺はただ、勇者になりたかっただけなんですよ。
この一言が、彼の物語の序章となる。
幼いころから勇者に憧れ、勇者を目標に生きてきた彼は幼少期に、同じ志を持つ仲間に出会うことができた。
しかし彼を取り巻く家庭環境や世情が彼の夢を阻み、多くの挫折を味わうこのになる。
そんな時、ある出会いが彼に再び希望を持たせるのだが、全財産を投資し、なおかつママの貯金までつぎ込んだ店が、ある日何の前触れもなく閉店していた。
マジか?
苦悩するナウゼに追い打ちをかけるような出来事が続く。
旧友たちとの別れだ。
「そろそろ私たちの事ちゃんと考えてほしい…。って彼女が言うんだよね、だからもう、ごっこ遊びは…」
「俺は…、ほら、親の後を次いでそろそろちゃんとしようかなぁ、なんてな、ははっ…」
どんな困難があろうとも。
彼らの言葉を聞くまでは、寸前までそう思っていた。
思ってたんだ。
語っていた後勢いよく杯を開けたナウゼは言う。
「わかんないとは思います、ケドね!好きなことで生きていく。って、ツラぃです!」
混じりっけなしの本音だろう。
だが、それでは終わらない。さらに続けて彼は言う。
「好きなことで生きていく、って大変ですよね?」
そしてまた、勇者になりたかった男の物語が始まるのだ。




