違和感
ナウゼの回想がほどよく終わる。
その絶妙なタイミングで三人は目的地へとたどり着いた。
今では常連となったその店に。
「ん?」
行きつけの店に人だかりができている。今までこんなことは無かったのに。
そんな思いからか、思わず声を出してしまう。
しかし彼の心の中では、やっぱりな。という思いが支配していた。
自分が見つけた「穴場」的なこの店が、世間に注目されないわけがない。
ようやく時代が自分に追い付いてきたのだろう。そんなナウゼの反応に一瞬だが顔を見合わせたサニールとフロロだったが、この時は何も言わず互いに思いを巡らせていた。
そんな中、店舗の前に集まっている者たちに対してひと際明るい声でナウゼが問いかける。
「よぅ!どうしたんだぃ?」
軽く手を上げながら。
すちゃっ!
彼の行為を擬音化するなら恐らくはこれが最適だっただろう。
しかし店の前に集まった者たちの反応に対するナウゼの反応は、既存の恐らく既存の効果音で表現するのは困難だっただろう。
「夜逃げしたらしいよ」
「え?」
「は?」
サニールとフロロが驚きの声を上げ、動揺した二人の脳裏にある言葉が浮かんだ。
「人は窮地に立たされた時こそ真価が問われる」
のだという。
この言葉の真偽を確かめるために、二人の視線がその言葉を発した人物に向かった。
強い視線を感じる。
自分は感嘆符混じりの反応で自分のターンを回避した手下たちとは違う。
こんな状況でも!
そんな思いが彼のハードルを上ていく、この相乗効果として沈黙を長引かせ、より注目を集める結果となってしまう。
このままではいけない。
意を決したナウゼがついに口を開く。
「…」
んふぅ~。
ダメだった。




