反発
ソロランタス軍に対して国軍の出兵を拒んだコベセル。
彼の言い分では、ソラロンタスの動きに連動してはじまりの村が魔物を操り、各地で反乱を起こすのだという。
さらには、その混乱に乗じてシートリフが貿易を遮断し、民衆を扇動して暴動を誘発する計画があるのだとか。
この未曽有の危機を前に、国軍の長として観光気分のソラロンタスのために一兵卒たりとも動かすことはできない。
「そんなことを言ってるのね」
デルムの報告を聞いたセラーゼが呆れたように小さくため息をつく。
二人が別れてから今まで、何の成長もしていないんだ。こぼれた息に混じっていたのは、彼に対して残っていた僅かな希望だったのかもしれない。
溜息の後に残ったのは、つかの間の静寂。
デルムはあえて発言を控え、セラーゼが口を開くのを待つ。今、自分が何かを言ってしまえば、彼女の発言の選択肢に制限がかかるかもしれないからだ。
助言や提案は、時として本音を隠す手段になってしまう。ここは本当の自分ではなく、求められている自分を演じることが優先だ。それができなければ本心に近づくことが難しくなる。大事なのは自分自身ではなく、相手にどう見られている、という自分だ。
「そう、それでどうなの?」
待っていた答えがこれか。
実際、コベセルの言い分に対する信憑性は全くなかった。はじまりの村やシートリフの動きは自分が知る限り存在しない。満を持して出した答えがこれだった。
「恐らくは、スネているだけかと…」
「盛ってる、そういうこと?」
悪戯っぽく聞き返す彼女の笑顔に、一瞬ドキッとする。
「盛って…?そ・そぅ、大袈裟な表現ですね」
テレながらも、知りえた情報を包み隠さず報告しする。それが少し長くなったのは、彼女の御宿のせいだったのかもしれない。
全てを話し終え、満足した部屋を出たデルムが部屋を出ると、入れ違いに待っていたコゾロナがいた。
彼女はデルムを見ると
「あら、お疲れ様」
と言って入室した。




