悲しき過去 その前に
鬼神を封じた国ソラロンタス。
その国の地方紙にこんな広告が載せられていた。
特報、ペリニシアの著名研究家が、ついに我が国の謎に迫る!
初代国王によって封じられた鬼たちの真実が明らかに!?
今までの常識が覆る?
彼らだって、最初からそんな連中ではなかった!
当時のソラロンタス事情を研究をしているアトウダ氏、渾身の特集!
果たして執念の調査の結果は?
三日後発売に向けて、編集佳境!
そんな状況で、まさかの真意実発覚に編集部は対応できるのか!?
刊行を記念してアトウダ氏が母国ペリニシアでベストセラーを記録した「召喚される男女の見分け方」や「召喚される食生活 魔王城編」も同時発売予定!!(絶賛翻訳中です、ご期待ください!)
地方情報誌に目を通したビストがパリングに尋ねる。
「これってステマ?なのかな?」
「緩んだ民衆に真実を浸透させる為の手段です。民衆というものはとにかく権威と煽りに弱いもので」
「う、うん…。そう、なのかもしれないけど、ルビには気を付けてね」
やんわりと諭すように言ってはみたものの、伝わっていないのだろう。
そのアトなんとかいう研究科に感化されたのか、口を次いで出てくるのは彼の話ばかり。
彼は著名な研究家でぇ、この世界における不慊於心を良しとせずぅ、研鑽を重ねている人物ですよぉ。
そんな彼自身編集がする月刊「マー」翻訳版を弊社から刊行するのは、光栄云々。
熱く語れるのはすべて引用でしかない部下の存在のが、目の前にいるのにまるで失われてしまったよううに感じる。
こんな状態で、我々は再び現世へと戻り、魔物を一層することができるのか?
思いの尽きないパリングを下がらせてほんの少し静かな時間を取り戻したビストは、今聞いたことを報告するため目に重い腰を上げた。
その昔、彼らは「䰠」と呼ばれ敬われていた。
そう、魔物が来るまでは。




