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あれから数日、レミエルは王都にある聖堂の一つで努めを果たしていた。
彼が久しぶりに戻ったと聞いて、昔からの知り合いが多く訪れているようだ。
「本当にまあ、立派になったねぇ。昔はあんなに悪かった子が」
彼の悪友デイロンの母デイナが、会うといつも当時のことを懐かしそうに語ってくる。
それは彼が学校に通っていた頃の事だ。
レミエルの両親は裕福だったがあまり干渉せず、彼には小遣いを渡して好きにさせていた。実際に興味が無かったのかもしれない。
その寂しさを紛らわせるように、気の合った仲間と連むようになる。
彼はよく土産を持って仲間の家を泊まり歩いていた。しかしそんなに金が続くはずもなく、金に困ると家から盗むようになった。
これには両親も憤慨し、罰として金を渡さなくなってしまう。金に困ったレミエルは仕方なく、悪事にてをそめていく。
恐喝や窃盗、被害者はどんどん増えていった。さすがにそれだけ被害が増えれば、運悪く捕まってしまうこともある。
そんな時は決まって、親に泣きつく。
あとは大人しくうつむいてさえいれば良かった。大したことじゃない。
所詮は子供のやったことだし、ほんの小さな過ちを大事にして、その子の将来を潰すなんて許される訳がないのだから。
そんな彼にもある日、転機が訪れた。
その日は真夜中にデイロンと馬を盗んで駆け回っていた、そこにたまたま通りかかった男を、面白半分に跳ね飛ばす。苦しむ姿を見て嘲笑ってやろう。
そんな遊びのつもりが、ピクリとも動かない。興ざめした二人は、その場を走り去った。
後になってその人物が亡くなったと聞き、恐ろしくなったレミエルは出頭をする。
幸いにも目撃者が居らず、デイロンの証言もあって不慮の事故と判断され、大した罪には問われなかった。
この事件で心に傷を負ったレミエルを支えるためにやって来たのが、教補のサミオンだ。
彼もレミエルと似た境遇で、過去に悪事を働いた経験があり、親身になって更生させようとしてくれた。
そのお陰で更生できたレミエルが、今では立派な教補となって皆に親しまれ、過去から立ち直ったと称賛されるまでになった。




