真実は
魔物に対抗する手段を持たないレミエルたちは、怪我人が避難するまでの時間稼ぎが精一杯だ。
遅れてやってきた冒険者達も、魔物を倒すことができずにいた。
ようやく林を出て部隊に合流したと思ったら、魔物が暴れている。しかもその最前線にいるのは部下のラノアだ。
驚きながらも慌てて応援に向う。
「大丈夫かっ!?」
叫びつつ駆け寄るロジンに気がついた彼女が反応する。
「先輩!邪魔です!危ないから退がって!」
えぇ…。
少なからず傷ついたロジンだが立場上退がるわけにもいかない、しかし邪魔と言われて進めもしない、困った彼は動けずにいた。
その背後ではジコンが魔物へと走っている。
牽制しながら撤収の機会を探っていたシアリスが、それに気づいてダイアへ合図する。
ちょうどロジンを追い抜いた所で、ダイアたちは魔物に背を向け走り出す。
魔物の注意を引く囮役と撤収を兼ねていた。と後に彼らは語っているが、単純に敵わないので逃げただけ、とも言われていて真実はわからない。
結果的に魔物の注意をひき、そのスキを突いてロジンが斬りつける。
他の者では傷も付けられなかった表皮を傷つけられ、ジコンに対して怒りを向けた魔物が襲いかかる。
本能のままに繰り出す攻撃を容易く躱した彼は容赦なく斬りつけ、呆気なく始末した。
あのあと部隊を撤収し、町役場の一室に主だった者たちが集まっていた。
ハトマンとレミエル、今回の騒動の原因はこの二人にある。そう告げたのは、彼らの行いを見ていたロジンだ。
彼は隊主に、二人を解任し領主へ引き渡すように進言するのだが、ハトマンらによって真実が漏れる事を恐れ承諾をしない。
それなら、とロジンが自分の権限で逮捕しようとするが、それを制止する者がいた。
「お待ちなさいロジンさん、今回の事は事故。そう、不幸な事故だったんですよ。この件は私に任せて貰えませんか?」
ザレルがそう言ってロジンを見る。
その時ようやくザレルが何者かを思い出した。
国の忠臣である七光りの一つ黃仄輝の本家筋で内務省に携わる者だと。
これでは逮捕しても覆されてしまうだろう。そう悟ったロジンは従うしかなかった。
結局この件は不幸な事故として処理されハトマンらが殺した者たちも魔物による被害として処理される。
そして突然魔物になったアモックは、現場に居合わせた「はじまりの村」との関係が疑われ、報酬金は支払われないことになった。
こうして一部の真実は消え、史実には残らない。




