思わぬ事態
ハトマンの案内した狩場で魔物を狩る。
魔物といっても、レミエルによって強制的に変態させられた一般市民だ。
魔物の体内から珠玉を取り出すのは部下に任せて、二人はぜリンの下へと向った。
本隊に近づくにつれ、微かに悲鳴や怒号が聞こえてくる。
二人は顔を見合わせ、先を急いだ。
この時、レミエルは考える。
この付近では、まだ魔物が出ることがないはず。まさか内乱?一瞬そんな考えが過ぎった。そういえば聞いたことがある。
ハトマンとぜリンの間にできた心の溝の話し。側近の中でも古参の彼が、国益に背く汚れ仕事をさせられているのはそのせいだ、というあれ。
となれば、今回の魔王城の件はハトマンにとって、絶好の機会だったのかもしれない。
ハトマンが離れている間に本隊が襲われる。その後、自分と共に戻れば疑われない。
もし考えている通りなら、このまま一緒にはいられない。逃げるか?
いや、待て。領地の警察に所属しているあの二人!
奴等は自分がハトマンと持場を離れたのを見ている。自分がこのまま姿を消せば、一人だけ罪を被るかも知れない。
負の思考によって逃げるに逃げられず、進むことも躊躇われるレミエルの足取りが重くなっていく。
いったい何事が起こったのか?
隊主の下へ急がねば!
気の逸るハトマンがレミエルの遅れにきづいた。
なんだ、コイツは!?本隊で何かが起こっているというのに…。
まさか!?
この事を知っていたのか?そういえば今回は何か怪しかった。
付き合いがあるとはいえ、信頼の薄いレミエルにあの仕事を任せたのは何故だ?
領地の警察だという二人が同行を求めて来たのも気にかかる。そういえば、隊列を離れる時に、振り返って合図をしていなかったか?繋がっている?
「はじまりの村」なのか?
あ!!
そもそも奴等の目的は隊主なのか!?
ハトマンもまた、心まで蝕もうとする自分の思考に侵されていく。
耐えられなくなったハトマンが半ば叫ぶように言った。
「何をしている!遅れるな!」
そして二人は互いに思いを秘めたたま、ようやく林を抜けたのだった。




