冒険者
ダイアが冒険者組合の受付で参加料の支払い登録済ませた後は、併設されている教会支部で加護を受けるためにまた金を払う。
加護、といっても紙に文字が記されているお守りが貰えるだけなので、助祭が常駐している訳ではない。いい値段を取る割にはおざなりな対応だ。
手続きを終えるた者たちは皆、奥の扉へと進んで行く。
彼も後に続き、扉の係員にさっきのお守りを見せると奥へ進む。
待機をするための建物は体育館ほどの大きさで、既に数人が思い思いの場所に荷物を置いてくつろいでいる。見知った顔は無いようだ。
それ以外にも荷物がある所を見ると、屋外にもいるらしい。ダイアは裏に出る扉から外に出てみることにした。
扉を開けると何やら騒がしい。数カ所でモメているようだ。けれどこれもよくある風景と言うやつで、とりあえずその一つに近寄ってみた。
「俺が誰か知ってんのか!」
大声で叫びながら胸ぐらを掴んでいる若い男と、その後ろに二人ほど取り巻きのようなのがいた。そんな四人を囲む人だかりは、彼らを肴に酒を飲もうと集まったらしく、誰も止める様子がない。
胸ぐらを掴まれた男の無反応ぶりに業を煮やしたのだろう。
鼻息も荒く取り巻きを見て、アゴをクイッと傾ける。すると手下が
「こちらの方は、あのはじまりの村始まって以来の豪傑、ナウゼ様!そして我々が一番の子分、サニールとフロロだ!」
満を持して放つ口上に、一番なのに二人いるじゃねえか!とツッコミが入ると、サニールが得意げに「同率一位なんだよ」と誇らしげに告げ、満足げな笑みを浮かべた。
なぜか納得した野次馬の視線がナウゼに戻ると、膝をついて呻いている。どうやら紹介の途中でスネを蹴られ、痛みで悶絶しているようだ。
戦意喪失した彼を見て興ざめし人だかりは、悪態をつきながら散っていった。
サニールとフロロもナウゼを連れて撤収し、そこに残ったのはダイアと彼の見知った顔、シアリスだけになった。
「知ってる奴?だったら悪い事したな」
その問いに首を振るダイアが、移転してしばらく経つから新しく入ったのかも?
と答えると、シアリスは
「そうかもしれんな、それか、またどこかではじまったのかも?」
そう言って少しだけイヤな顔をするのだった。




