悪の組織の秘密
悪の組織に囚われたヤクダイ。アジトの一室でダイアとルトラという二人と話していた。
「言いたいことはわかったわ、でも…」
なんと言っていいのか、敵の組織に属する者たちの事を信用すべき?
お伽噺と思っていたのは今の王国が作り上げた都合の良い話で、本当は魔王退治に関わった7人の仲間こそが魔物を生み出したなんて。
じゃあ、なぜ魔物を倒すの?そもそも魔物を生み出した意味って何?
うつむいたままの彼女にルトラは言った。
「残念だけど、信じるか信じないか、は貴女次第じゃないの。」
ヤクダイに宿っていた神の力は、組織の手によって既に失われている。そればかりか、彼らの使う魔王の力を施されていたのだ。既に帰る場所を奪われた彼女にダイアが問う。
「貴女には、三つの選択肢が用意されています。一つ目は、処分を覚悟でもとの場所に戻ること。次に、この国を捨てて、新たな地で暮らすこと。最後に、我々と共に戦うことです」
ヤクダイは悩む。最初と最後の選択をすれば、命を失う確率は高い。それも、元仲間だった者たちに命を奪われるだろう。しかし、残りの一つも命の保証がある訳ではない。最後の選択以外は、魔力の使い方を教えてもらえないのだから。
ただ、他国には自分と同じ境遇の人達がいて、そこを紹介してもらえるらしい。また、一緒に戦うというもの色々あって、ルトラのように後方支援に従事している者も多いようだ。
ヤクダイの仕事柄、悪の組織から帰還した者の話は聞いたことがない。実際はあったとしても、公にできない事情があるのかもしれない。そう考えると選ぶのは2か3だが、問題はこの話がどこまで信用できるのか?
「2つ目の、他の国へ行って静かに暮らすわ。せっかく拾った命だもの」
ヤクダイはそう答えてダイアを見る。
数日後、ヤクダイは護衛とともに他国へと旅立っていった。彼女の安全を守るため、その後の彼女の行方はダイアたちにも知らされることはない。
部屋に戻ったダイアが書類整理にかかろうとした時、訪問者を告げるノックの音がした。
彼は立ち上がり、扉を開けるといつものようにこう言った。
「エストさん、またですか!?」




