不安な展開
一方その頃。
と再三に渡っていたにもかかわらず、物語はその時から少し外れた時間から始まるようだ。
昨晩の記憶はほぼ無い。ナウゼが断片的に覚えているのは?そう、確か一緒に飲んでいた老人が何かを言っていたような気がする。
たしか…。懲らしめるのとかなんとか…。
聞き覚えのあるフレーズに戸惑う彼が困惑を動揺で覆い隠しながらできたのは、ただ事の成り行きを見守る事だけだった。
この時の激しい立ち回りは、後に別冊付録として日の目を見るかもしれないので、詳細はその時にでも。
昨夜の記憶がいまいち脳裏に蘇らないナウゼのだが、酔っていたとはいえ、それなりに失礼な対応をしたのは間違いない。それはなぜか?
知らぬ間に今行動を共にする周囲の警護の様子が全てを物語っていたからだ。
それでもザレルと共に行動する理由がわからない彼は、複雑な思いで旅をする。店長を求めて。
でも、もうやめたい。
国家の重鎮との旅は安全で快適。そんなことを思っていた時期がナウゼにもあった。ただそれは自分の妄想の中だけの話なのだと身に染みて体感する。
頻発する暗殺騒ぎ。そのたびに盾や壁として利用され、命を落としかける状況下で上機嫌なのはザレルだけなのだ、それでも彼らと行動を共にする理由。いや、しなければいけない理由は、自分が離脱した後に残された部下がそんな仕打ちを受けるのか?さらに離脱した自分にどんな仕打ちが待っているのか?という恐怖があるからだ。
今は我慢するしかない。
部下との雑談の中でザレルには期間と呼ばれる時期があることが分かった。彼はその期間、テーマを持った目的に沿った行動をするらしい。なんでも今回のテーマは宬掌館なのだとか。
場末の個人商店にどんな価値があるのだろう?
町一番と言われた自分には国単位を動かす者の考えを知ることは出来ない。いや、もしかしてこれを機会に国家運営の在り方を学ぶべきなのかもしれない。
ほぼ、強制のナウゼの旅が今始まる。




