序章
むかし、むかし、あるところに一人のおじさんが住んでいました。
おじさんは人に裏切られた事が原因で、山奥のお城に引き篭もっていました。
お城での生活は、なんでも一人でしなければならないので大変でしたが多くの動物たちにとの生活が楽しくて、気にはなりませんでした。
そんなある日のことです。
お城の近くに魔物が現れるようになりました。
動物たちは皆、怯えています。
おじさんが森で薪拾いをしていると、一匹の魔物とであいます。
恐ろしさのあまり動けないおじさんに近付く魔物は、よく見ると悲しそうな顔をしています。
おじさんは思いきって声をかけます。
「もしかしてきみは、悪い魔物じゃないの?」
それを聞いた魔物が涙を流しはじめました。
可哀相に思ったおじさんは魔物を城に連れて帰ります。
感謝をした魔物は一生懸命話しますが、言葉が通じません。
そこでおじさんはある魔法を使います。
すると、魔物の言葉が解るようになりました。
魔物は言います。
「私はもともと人間だったのです」
この言葉におじさんは過去の自分を重ね合わせ、魔物たちを救おうと決意します。
それからおじさんは、村を彷徨う魔物たちを探して保護していきました。
そんな日々を続ける事で、村人からも感謝されるようになっていきます。
ところが、ある日を境に評判が一変します。
悪い魔王が人々を苦しめている、と。