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Life is a game  作者: ニライカナイ
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第1話 スタートライン

第1話 スタートライン


「ふぁ~~ よく寝た~~」


今日も良く晴れた朝、眩しいくらいの朝日で目が覚めた。

僕の名前はザリア

21歳 大学生の一人暮らし

高校を卒業して実家を離れ、アルバイトをしながら生計を立てているごく平凡な大学生だ。


自己紹介はさておき、今日はすごく目覚めがよかった。

どれ程かと言うと、生まれたばかりのようで(覚えてはいないが)昨日までの記憶が全くなかった、、、う~ん、、マジ思い出せない、、、


そんなことは気にせず、朝食のパンを口に入れて野菜ジュースを片手に、いつものように家を出た。

「やべっ ギリギリだ!」

今日は1日のスケジュールがパンパンに詰まっているのだ。


あっ!「おはよー」

横断歩道で信号待ちをしている幼なじみのフィロスを見つけた。こいつとは幼稚園からの付き合いで、なかなかのイケメンだ。

「そうだフィロス!昨日の面接どうだった?あのAI企業受けたんだろ?」

そう、、、僕らは就職活動の真っ只中にいる。

「ああ、、なかなか感触はよかったよ、、でも、、、面接官がロボットで少しびっくりしたよ、、」


「えーーー!!ロボットーー!!」思わず大きな声が出た。

フィロスが受けた企業は、AI国でも指折りの大企業だ!

フィロスは子どもの頃から機械が好きで、将来はエンジニアになってAI国の最新技術チームに入るのを夢みている。


この世界は「AI(エーアイ)国」「REAL(リアル)国」「ZOO(ズー)国」の3か国にわかれている。僕が住んでいるのはREAL国だ。

AI国はその名の通り最新のIT先進国である。


「俺さぁ、、、AI国に行ったことないんだけど、どんな国だった?」僕は生まれてから今まで、REAL国から出たことがない。

もっと言えば、この人間の国「REAL」では、他国に行くこともなければ、お互いの国を干渉する事もないのだ。


「そーだなぁ~、、、一言で言えば、、、ぜーんぶロボットかな?駅のホームには人間はいたけど、改札を一歩出たら全部ロボットが案内してくれた。そこからは人間に会うことはなかったよ、、、同じものと言えば「空」かな?笑笑」フィロスは教えてくれた。

どうやらAI国に、ほとんど人間は住んでいないという話しは本当のようだ。


「あっ!信号渡らないと!」

2人は話に夢中になっていて、ザリスが気づいた時には横断歩道の青信号が点滅していた。

渡らないと面接に遅れる、、、ザリスが歩き出そうとすると

「おはよー」後ろから声がした。

振り返ると、親友のアミとドルークだ。


「おはよー」

振り返ってはみたものの、、、信号渡りたい、、、

フィロスは渡るの諦めたみたいだし、俺も諦めるとするか、、


諦めついでにアミとドルーグの紹介をしよう。

アミも幼なじみで、来年の春にはREALの先進医療病院に就職が決まっている。

小さいときからの夢だった「医者」になるのだ。

性格は明るく、誰とでも仲良くなれるマドンナ的な存在で、実は僕の片想いの女の子だ。


ドルークは高校からの親友で、ZOO国の動物自然保護機関に就職するために、高校1年生の時から動物園でアルバイトを続けている。動物医療や動物保護、自然環境の保護など幅広く勉強をしている。

性格は優しく、動物や自然がとにかく好きな男の子だ。


まぁ、、、言うなれば3人とも優等生ってやつで、、、俺とは比べようがない、、、まぁ、、、そんなことも慣れてしまえば全く気にならない、、、今日この頃だ、、、


僕たちは、毎日このスクランブル交差点の信号待ちで顔を合わせる。今日もいつもと変わらない1日が始まるのか、、、


空を見上げると、どこまでも続く青く澄んだ空が広がっている。とても清々しく、何もかもがリセットされたような気分だ。

みんなやりたいことがあり、将来について本気で考えている。


「俺は何がしたいんだろう、、、アルバイトを続けてゆっくり考えようかなぁ、、、それとも前に進むべきか、、、神様教えて下さい、、、」


って、神頼みしたところで何も変わらないのは自分ではわかっているのだが、、、


「、、、すすむ、、」


ん? いま何か聞こえた? 空から、、、


「、、リア、、、ザリア!!」


「えっ!」 フィロスの声でふと我にかえった。


「信号青だよ!じゃあな!!」

「私はこっちだから!」

「ザリアまた明日!」


みんなは、スクランブル交差点をそれぞれの行き先に向かって歩きだしていた、、、


「おう!!じゃあな!!」


僕だけ取り残されたような、、、今日も結局一人だ、、、


そんなことより今日は、3か国の企業に選考を登録した日だ。しかも、初めての面接なのに、、、厳密には、、、スケジュール管理が出来ていなく、選考のスケジュールを重ねてしまっていたのだ。


とりあえずやりたいことは無いが!!手当たり次第、選考を受けると決めたのだ!!!


神様からの指示もあったし、、、たぶん、、、

とりあえず急いで進むこととしよう!!


「今日がいいスタートラインになるように!いってきます!」


俺は一歩を踏み出した、、、

この先に起こる未来を知るはずもなく、、、



通勤するサラリーマンの波をすり抜け、俺は足早に目的地へと進む。まずは今日のスケジュールを確認するとしよう。

鞄をごそごそしながらメモ帳を取り出す。


「えーっと、、、9時からREAL企業の面接で、、、そのあとは11時からAI企業の面接、、、お昼食べて、、14時からZOO企業の面接で、、、帰りが16時頃かぁ、、、はぁー(ため息)」


自分で決めたスケジュールとはいえ、、、辛い 、、、


この先の角を曲がるとREAL企業のビルだ。

腕時計を見ると8時45分、、

受付に行き、エレベーターで15階まで上がる、、、

ギリギリ間に合う時間だ、、、

ほっとしたのもつかの間


「すみませんお兄さん!」 後ろから声を掛けられた。

振り返ると男の人が困った表情でこちらに歩いてきた。

歳は俺とさほど変わらない若い男の人だった。

「はい?」と返事はしたものの、、、

面接の時間が迫っていて気は焦っていた。


「すみません、自分の携帯電話をどこかに落としてしまって、、、すぐ終わるので携帯電話を貸して頂けませんか?」

どうやらこの男の人は、俺の携帯電話を借りたいらしい、、


面接に遅れるしどうしよう、、、

携帯電話を貸す?貸さない?この二択は俺の良心を悩ます、、しかし!面接には遅れたくないので、、、

「ごめんなさい!急いでいるので!」と俺は足早に先を急いだのだった。


本当に困っているみたいだったなぁ、、、やっぱり貸したら良かったかなぁ、、、今さら戻ってもなぁ、、、

後悔の念に駆られながら、REAL企業の受付へと着いた。


気を取り直してエレベーターで15階の面接会場に向かう。

エレベーターはガラス張りで、青く広がる空がなんともいえず気持ちがいい。

ずっとこのままエレベーターに乗っていたい気分だ。

ひとりぼーっと外を眺めて現実逃避を楽しんでいると「ピンポーン」エレベーターの止まる音で現実世界に戻ってきた。

そうだ、、、今から面接なんだ、、、帰りたい、、、

そんな気持ちに、もちろんエレベーターのドアは答えてくれる事はなく、ゆっくりとドアは開いた。


えーっと、、、面接会場はどこだろう、、、

ふと腕時計に目をやると時間は8時55分

ギリギリ間に合いそうだ、、、よかった、、、

顔をあげると、面接会場の案内板が見えてきた。


間に合った!ドアには張り紙がされていた。

【REAL企業 面接会場 部屋の中でお待ち下さい。※面接票をご用意下さい。】


鞄から面接票を取り出し、深呼吸をして息を整えた。

そして、ゆっくりとドアを開けた。


「おはようございます」

受付の女性の人が軽く会釈をし出迎えてくれた。

俺も「おはようございます」と挨拶をして、面接票を手渡した。

「こちらへどうぞ」と受付の女性に待合い席へと案内された。

部屋は広い会議室がパーテーションで仕切られていた。

どうやら向こう側で面接をしているようだ。


「番号をお呼びしますので、こちらでお待ち下さい」

と、【受付番号②】と書かれた紙を手渡された。

そして、受付の女性はニコッと微笑み戻っていった。

俺は案内された席に座った。待っているのは俺一人だった。

パーテーションの向こうから、微かに話し声が聞こえてくる。

どうやら面接をしているようだ。

次は俺の番かな、、、そう思うと緊張が込み上げてきた。

俺は下を向き、面接で話す内容をブツブツと呪文を唱えるように復習していた。


「ありがとうございました」

声がした方を見ると、スーツ姿の男の人が受付の女性に会釈をして部屋を出ていった。

次は俺の番かな、、、心音が一気に速くなるのが分かった。

ガチャ、、部屋のドアが開いた。

白いYシャツを着た男の人が部屋に入ってきた。

受付の人と挨拶を交わし、そのまま足早に面接の部屋へと入って行った。


今の人、面接官?遅刻したのかな、、、俺もギリギリだったし、、、もっと時間に余裕を持たないとなぁ~、、、

「はぁ~」と思わずため息が出てしまった。

反省に浸る時間もつかの間、、、

「受付番号2番の方、お入り下さい。」

とうとう自分の番だ、、、手汗がすごい、、、

当たって砕けろ!とはよく言ったもんだ、、、


コンコンコンッ パーテーションのドアをノックした。

「どうぞ」ドアの向こうから声がした。

「しっ、失礼いたします」緊張で声がうわずってしまった。

手汗でドアノブも滑りそうだ、、、

ドアノブをしっかりと握り、ドアを押し開けた。


部屋に入ると、面接官と思われる人が三人座っている。

俺には目を合わす余裕などなかった、、、

「失礼いたします!」さっきのリベンジと言わんばかりに大きな声で、、、第一印象は大事なのだ!

俺は深々と頭を下げた。

床のカーペットは無機質で暗い灰色をしていた。

待っている時は気づかなかったが、俺の不安を連想させるピッタリな色だと落ち着きさえ感じたのだった。


浅く深呼吸をしてから、ゆっくりと顔をあげた、、、

「どうぞ、お座り下さい」

女性の面接官から椅子に座るよう促された。

「失礼いたします」

椅子に座り、少し上目遣いになりながら顔をあげた。


面接官の顔を確認する間もなく、白いYシャツを着た男の人から先に質問が飛んできた。

「では、学校名とお名前をお願いします」

俺はその面接官の方に体を向けて真っ直ぐと目を合わせた、、

やっぱりさっき遅れてきた人だ、、、


「はい! 学校は、、、(あれ?この人、、、)」

面接官も気づいた、、、

「ん?君はさっき下で会った、、、」

そう、、、この男の人は、さっき携帯電話を貸すのを断った人だ、、、

そして今、この面接官の前には、携帯電話を貸してくれなかった俺が座っている、、、


頭が真っ白になり、俺はうつむいてしまった。

しばらく沈黙の時間が流れた、、、10秒位だと思うが、俺にはすごく長い時間に感じられた。


黙り込んでしまった俺に、その男の人は話を切り出した。

「続けましょうか、、、」

「もう一度、学校名とお名前をお願いします。」


そこから俺の記憶はなかった、、、覚えているのは、ずっと後悔の念に駆られながらも、自分に言い訳を繰り返していた。

「この面接に遅れそうだったから、、、仕方なかった」

そう自分に言い聞かせて、気持ちを落ち着かそうとしていた。

こうして俺の初めての面接は終わった。


「ありがとうございました、、、」

俺は足早にドアへと急いだ、、深々と一礼をして部屋を出た。

そこからの足取りは重い、、、何とかエレベーターまで辿り着いたのだったが、俺は自分にこう問いかけた、、、


最悪なスタートだけれども、、、

「今日は最後まで面接をやりきる!」

それとも、、、

「残りの面接をキャンセルして帰る」


この二択も究極の選択に思える、、、俺だけかな、、、

すぐには決まりそうにない、、、

エレベーターの中で考えよう、、、


「ピンポーン」

エレベーターのドアがゆっくりと開いた。

目の前に飛び込んできたのは、どこまでも続く青い空だった。

黒い鳥が一羽飛んでいる、、、どうやらツバメのようだ、、

気持ちよさそうだなぁ、、俺と代わってくれないかなぁ、、


ぼーっとツバメを見ていたら

「ピンポーン」

あっ!着いた、、、結局どうするか決まらなかった、、、

外に出るまでに決めよう、、、俺って優柔不断だなぁ、、


ロビーは行き交う人の流れで、忙しく時間が流れていた。

みんな携帯電話で話しながら歩いているせいか、ロビーはざわざわとしていて、朝の忙しさを増しているようにさえ感じる。

俺は出口の扉に向かって、真っ直ぐに歩きだした。

どうしようかなぁ、、、「はぁ~」思わずため息がでた。


優柔不断な俺は、扉の前に立っている。

時間は、、10時かぁ、、早く決断しなければ、、、

「、、ませーん、、」

「すみませーん!」

ん?後ろから声がする、、、

俺ではないか、、、今日はもう振り向かないでおこう、、、


よし!決めたっ!

俺は扉を開けて歩きだした。

「眩しい!」

照りつける日差しは、反射的に俺の目を閉じさせた。

一瞬で暗闇の世界へと連れていかれた。

だがすぐに、一筋の光が差し込んできたのだった。



ちゅん、ちゅんちゅん

すずめが鳴いている、、、


「ふぁ~~ よく寝た~~」


頭がボーッとする、、、目覚めはイマイチだ、、、

俺はいつものようにパンを口にほうり込み、野菜ジュースを片手に家を出た。

「やべっ ギリギリだ!」



今日から俺の就活が始まる、、、

緊張はするけど、当たって砕けろ!で頑張ろう!

それにしても、気持ちか良いほどよく晴れている。

今日はいいスタートラインに立てそうだなぁ、、、


第1話終わり


第2話 ライフ デシジョン へ続く

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