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義人の月  作者: 柚須 佳
6/6

AH

 五月末日、私がいつものように散歩に出掛けようとすると、突然家のブザーが鳴った。

 私がドアを開けると、そこには紺色のスーツを着た中年の男が立っていた。

 男は無言で一礼すると……

「この度は、人口天国の研究にご協力いただき、誠にありがとうございました。来月からは、別の方が対象になりましたので、あなたの調査は昨日で終了しました」とだけ言って、帰っていった。


「なあ、人口天国ってなんだよ?」

 私は嬉しそうに散歩を待つ犬に問いかけていた。

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