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第0話 20年過ぎれば普通死にますわ(笑)。目指せ異世界転生!


 あくる日の朝。

私はおもむろに目を覚ます。

不思議な浮遊感に包まれていると、


 真っ白で何も見えないただの空間から、

鱗ではない、青黒い粘液に包まれたような怪物が姿を現す。

私自身が米粒か何かにしか思えてしまう程巨大なソレは、

ゆっくりと私を見下ろすと、


怪物「いやー、死んじゃうって辛いですよね♪

 って、クトちゃん死んだことないんすけど♪」

私「……………………………はい?」


 やけに今どき風の口調で会話してきた。

とっても反応に困る。


怪物「でも、でもさすがに人の身でありながら、

 20年も植物人間のままで生き永らえた人なんて聞いたことがありませんね。

 神話の生物でも、そんなタフな奴はいません」

私「…………ちっとも嬉しくないんだけど」

怪物「まま、そう言わずに♪

 実は死んじゃった貴方があまりに可哀そうなので、

 人生をもう一度やり直させようと思うんですよ?」

私「怪物が人生をね?」

怪物「ま、そういう事です」

私「ふーん。でも、どーせ生まれ変われるなら…」

怪物「何か『スキル』でも付けますか?」

私「『スキル』?」

怪物「せっかく生まれ変わるんですから、

 ぱーっとやれますよ!なんでも言ってください」

私「なら、『病気で死なない身体』が欲しいかなあ」


 特に考えもせず、そんな言葉が漏れる。

ついでにちゃんと自分の意志で動かせる『2本の足』も要求する。

すると何が可笑しいのか怪物は小さく笑った。


怪物「良いですよ。では、目を閉じてください。

 また、会えるといいですね♪」

私「…正直私は会いたくないなあ」

怪物「死んだら会えますって。

 じゃあ、改めて、第二の人生にごしょうたーーーーーい!!!」


 怪物のやかましい声が落ち着き、

目を覚ましてみる。

すると、そこは先ほどの空間とは違っていた。


私「……おいおい、まじか」


 苔むした地面、同じく苔むして半端に折れ曲がった石の柱。

そして何より野鳥が何羽か飛び交う晴天の青空。

 …どうやら自分が病院越しで見ていた景色とは違うようだ。


頭の声『ザザ、聞こえますか?』

私「え、頭の中に声が?」

ミュズ『私は、かの方よりサポート係を請け負った、

 ミュズでございます。この世界の案内と、

 この世界の者たちとの通訳を担当しております。

 貴方様、マスターのために、影から手伝いますので』

私「ふむ、自動翻訳AIってところかな。

 それより、鏡、鏡」


 とそう簡単に見つかるはずもないので、

そばのガラスの前に立つ。

 そこに立っていたのは紛れもない私の…はず。

だが目の前にいる少女は…。


私「……これが私?」

ミュズ「はい」


 整った顔立ち、

背丈も胸もないが、すらっとした、バランスの良い体つき。

そして風に吹かれ、ふわりと浮く薄水色の髪。

人間とは根本的に違うのか、両手は手のひらから手首まで、薄い青色に染まっていた。


私「ふふ、あはは、あーっはっはっはっはっは!!!

 ついに手に入れた!健康的な体!自由に動く両足!

 夢にまで見た2つが同時に手に入ったぁ!!!」

ミュズ「マスターは人間ではなく、

 『マシニクルヒューマン』へと転生したのです。

 またの説明は追々行います」


 ミュズは淡々と告げてくるが、そんなことは耳に入らなかった。

今は自由に動く、この体を手に入れた。

その事実がとても嬉しかった。

やっとだ、20年も待ったのだ。

不思議と笑みがこぼれる。

 そして一つの提案が頭をよぎる。


私「そうだ、私はこれからは、『リカム』と名乗ることにするわ。

 良いでしょ、案内役さん?」

ミュズ「はい、マスターリカム」

私「さあ、これからのことは」


 これから考えることにしよう!

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