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神殺しは銃で死ぬ  作者: 尾根末彦
第6章 百鬼夜行
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百鬼は追随する

 トラックのコンテナの中に酒呑童子の封印はあった。 

 ただの木でできた桶であるように見せてその実、とても強い異能が込められているとわかる。 

 もしこの中にあるものが溢れたら、どうなるかはわからない。


 

 それを守るのは釧灘大和、岩倉風雅、岩倉道長の三名。

 三人は顔を見合わせ、話始める。


「確かに、こうして見ると強大な力を感じるな」

「当然、鬼にカテゴライズされる中でこいつ程の力のあるやつは存在しない」


 大和の感想に道長が答え、風雅も補足する。


「現れたら、それこそルシファーの分体以上の力を発揮するはずさ」


 風雅は自分で言って恐ろしくなったのか、大和に念押しする。


「戦いになったら、周りにも気を配ってくれよ? 大和の攻撃の余波を食らったら、並みの異能者は吹っ飛んじまう」

「わかってるさ」


 そう言いつつ、大和は道長の方をじっと見る。


「道長さん、ですか? 俺、内閣情報調査室の斎藤香澄さんから、あなたから指導を受けるよう言われてまして」


 言った後で、大和が少しの緊張を覚えた。

 道長はじっと大和を値踏みし、顎に手をやって考えていた。


「何か?」

「いや、優秀だなと思っただけだ。立ち振る舞い、所作、そして気の置き方、その歳でたどり着ける最高峰だろう」


 あまりのべた褒めに大和も呆気にとられていたが、それ以上に風雅は口を間抜けに空け驚いていた。 

 父親が人を褒めるのが珍しいのだろうか。


「ただ、それはあくまで武人としてだ、神殺しとしては戦ってみないと分からないな。一度臨戦態勢をとってみろ」


 そう言われ、大和は黒炎を纏いながら刀を構える。


「ふむ、やはり出力は弱いが、確かに武装型だな。そして成程、まだ造形が甘いな」

「造形?」


 道長の問に大和はオウム返しに繰り返してしまう。


「そう、造形を見れば、その神殺しがどれだけその武装を頼りにしているかが分かる。君、素手でも強いだろう?」

「まあ、人並みには」

「だからこそ、君は自覚せねばならん。何故君は敵と戦うのに必要なものとして刀を選んだ? その原点を思い出せ。

 君は意志を持って、その刀で、この魑魅魍魎が絶えず襲ってくる世界で存在を証明しようとしたはずだ」



 大和は心の中で復唱する。

 自分を思い出す。

 あの時、そうあの時だ。


 5歳の頃、俺は師匠、水上龍誠(みながみたつまさ)に助けられた。

 あの人が振るう日本刀で助けられた。

 思えばその時に、俺の心の形は決まったのだろう。


 目の前に突然現れる怪物達。

 それを師匠のようにと思って斬り捨てた時、世界が変わった。

 そうだ、俺は自分でこの刀を選んだった。


 そう思い至った時、怪物の気配が大和の知覚範囲に飛び込んでくる。


「コンテナを開けてください! 悪魔……いや妖怪が!」


「もう指示は出している。」


 トラックのコンテナが開き、視界が開ける。

 すると、炎を纏った何かが高速で自分達の車を追っていた。 


「あれは、火車だな」


 風雅がギターを構えようとするが、その時二つの閃光が火車を切り裂いた。

 大和の刀から発せられた黒い炎が、赤い炎ごと真っ二つに斬り裂いたのだ

 風雅はあんぐりと口を開け、大和を見る。


「やはり、異能者と戦うために次元を落としているな。まあこんな簡単にいけばいいが」

「いっぱい来るぞ」


 先ほどと同じ火車が、まるで炎の波のように襲ってくる。


「ああ、総員に告ぐ、巻き込まれぬよう散会しろ、釧灘大和の間合いに入るな。死ぬぞ」


 道長の指示に。周りの車は一斉に距離を取る。


「山まであと何分だ?」

「20分位だ。大和!」

「何だ?」

「その刀」


 刀に目線をやると、その意匠に優美な波紋が付いていた。それににこりと笑う。

 ああ、あの日みた日本刀にも、鮮やかな波紋模様がついていたっけ。

 何故か可笑しくなり、斬撃を飛ばしながら火車を殲滅していく。

 その速度を持った連撃は今までに必要だった溜めを短縮し、連発を可能にした。


「大和君、火車の相手を変わろう。風雅とあのデカブツを仕留めてくれ」

「ああ、さっきからいるあれですか、了解です」

「え、何……うええええええ!!」


 風雅が呻いてしまうのも無理はなかった。

 それは、気色悪い人面がいくつも付いた、大百足であった。

 大きさだけであれば、水分の神よりも大きい。


 それが田畑を突っ切ってやって来る。


「早くやれ、被害が出る前に」


 道長の言葉に首を横にぶんぶん振る。


「行くぞ風雅」


 乗り気な大和に背を押され、観念したように叫ぶ。


「もう分かりましたよ! 行きます!」


 風雅はギターを構えると、大きく息を吸い込んだ。


感想ブックマーク評価大変励みになります!


プロローグの改訂をしました。

活動報告に挙げましたので、興味ある方はご一読お願いします。

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