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神殺しは銃で死ぬ  作者: 尾根末彦
第2章 牛鬼
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疾病

 井上宅のマンションの一室で、二人は食事を取っていた。

 結局、あの後は半グレ達を逮捕したり、ボウガンの矢を処理したりと色々なことがあった。

 幸い彼らは牛鬼のことも何も覚えておらず、余罪もたっぷりあったのでしばらくは刑務所の中だろう。


 結局そんなこんなで釧灘(くしなだ)宅にはまだ警察がごった返しており、眠れる状況でないのでお泊りとあいなった。

 雄大(たかひろ)さんはまだ眠っている。

 当然元気だが、今は疲れているのだろう。


「牛鬼って、本気だったと思うか?」


 勇美が釧灘大和に尋ねる。


「何というか、手負いだったって感じだな」

「だよねえ」


 牛鬼は何かに追い立てられて名古屋に来た。

 牛鬼を痛めつけるほどの存在というと、何であろうか。

 神様か、あるいは大悪魔か。


「とにかく、これで俺達も一角の霊能者って訳だ」


 卵焼きを食べながら、大和は言った。


「そうね。誰か来るかな」

「霊能者か、俺は井上以外の霊能者とは噂でしか聞いたことがない」

「私だって、従兄さんの話と、東京にいた時の知り合い位だ」

「東京の知り合い?」


「ああ、私らより二つ年上で、藤堂興元(とうどうおきもと)さんって言うんだ」

「それって、アマテラスが言っていた」

「ああ、藤堂興元(とうどうおきもと)綽名(あだな)をキョウゲン。関東守護の霊能者だよ」



 牛鬼は不死身の妖怪である。

 元々は疫病が形作ったものであり、その能力は、人間に憑りつくことで、その人間にいつでも移動できるものである。

 

 留置所にて、男達がうめいていた。そこに一人だけ立つ男、牛鬼に使われていた男達の一人がいる。

 男は格子に向かうと、それをあっさりと紙細工のようにこじ開けた。

 そのまま出ていこうとする牛鬼を、鳴り響いた音が止める。


 シャン、シャン。


「ああ、やっぱいたか牛鬼。良いざまだな」


 そこにいたのは、明るく染められた髪、ピアスと指輪といった装飾と、それとは決して合わない袈裟装束を纏った男だった。

 顔立ちは鋭く、悪くないものの人相が悪い、高校生位の少年だった。


 装束と金の錫杖が無ければ坊主とは思うまい。

 そういう少年だった。


「藤堂興元、よろしくな」


 牛鬼は、その場から逃げ出そうとするが、何より遅すぎた。

 興元の錫杖の青い炎が巻き起こり、牛鬼を文字通り消滅させる。


「……弱った牛鬼を仕留めきることもできないか。先が思いやられるな」

「そういわないのキョウゲン、同じ神殺しでしょう」


 そう言う藤堂興元に、語り掛ける女がいる。

 藍色に染められた髪の白人女性だった。

 挑発的に開けられた胸元と人好きのよさそうな笑顔を持つ女性だった。

 年齢は、興元よりもいくらか年上に見える。


「キルケ、よええ霊能者ならいない方がいい」

「あら、日本のプリーストは人の弱さを許さないの?」

「俺は見ての通り、生臭坊主(なまぐさぼうず)だからな」

「また、難しい日本語、ええとなま何ボウズ?」


 そう言ってむくれる彼女だが、その日本語は十分卓越した部類に入るだろう。


「まあいい、アマテラスの頼みだからな」

「あら、これからの仕事のお手伝いをしてもらうのね」

「ああ、金星教団の支部を潰すのを手伝ってもらうか」

 



「いやあ、おっかねえおっかねえ」


 とあるビルの最上階、ある神性が佇んでいた。

 シルクハットのような形をした兜に竪琴を手に持った美麗な男だった。

 霊能者の知覚能力すら回避するハデスの隠れ兜を持った神。


「邪魔になるなら殺すだけだが、やりあわねえならそっちの方がいい」


 ギリシャ神話の伝令神、詐欺と商いの神、ギリシャ神話のトリックスター、医学をつかさどる者。


 その名をヘルメスと呼ぶ。

  

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