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星のお姫様  作者: しろちゃん
4/5

お嬢様とお姉様

私には一つ年上の姉様がいます。まぁ、年上と言っても年が近いから同じ学年の同じクラス、双子と間違われることもしばしば。


だけど、姉様は食べる事しか考えてない私とは違い、大人っぽくオシャレが好きで社交的。学園でも人気者で、何時も周りには人だかりが出来るぐらいだ。まさに私と比べるて月とすっぽん並みのコミュ力を持っていると言っても過言ではない。


しかし、そんな素敵な姉様にも一つだけ大きな欠点があった。それは……


「それでね、白馬に乗ったあの人が私を助けに来てくれるの」


「へー、そうなんだ」


この、夢見がちな性格である。この人、周りからは普段の振るまいからか、同年代より大人びた淑女としての評価を獲ているのだが。それはとんでもない勘違いで、どちらかと言うと想像力が逞しい子供を思わせる性格なのだ。


姉様、お願いですから白馬の王子様が私を迎えに来てくれるの、とか学園では言わないで下さいね。イメージが駄々下がりになると思うので。


「姉様、そろそろ寝ない?」


「えー、もう少しいいでしょ」


そう言いながら両手を握ってくる姉様に、しょうがないな、もう少しだけだからね、と言ってしまう甘い私。この人の話は昔から止めらなくて、律儀に聴いちゃうんだよねぇ。


「この前も授業中に危なくなった所を助けて下さって」


しかし姉様の口から出てくるのはハンサムボーイの事ばかりだ。どこが良いのか私にはさっぱりのだが、やっぱり姉様が言う白馬の王子様のイメージとピッタリなのだろうか?


そう言えば、子供の頃は全くと言っていいほど興味が無かったので気付かなかったが、昔から姉様はハンサムボーイの事ばかり話してた気がする。と言うことは、やはり姉様はあの男にそういう感情を向けているのだろう。


しかも昔からか、ドラマチックだな、おい


「そんなに好きなら告白したらいいじゃない」


「こ、告白!?そ、そんなの出来るわけないわ!!それにそういう風になるには、タイミングとシチュエーションが大切で………」


おっと、藪をつついちゃったか。これは、いかに告白までの流れが重大かの話を永遠と聴かされるパターンだ。と、言うより姉様の場合は適当に告白するどけでも成功率高いと思いますよ?貴方、性格はともかく学園の中ではグランドプリンセス候補とか呼ばれてますよね?


「そう言えば、貴方は気になる殿方は居ないの?」


「私?居るわけないじゃない」


当然、という感じに言い切った私に、姉様はほんの少しだけ困った顔を見せる。何故そんな顔をするのだろうか?私が色気より食い気な性格なのは、この人が一番分かっている筈なのだけれど


「貴方は昔から変わらないわね」


「姉様もでしょ」


「はぁ、お兄様も大変ねぇ」


どうして溜め息を吐きながらここで兄様の話題が出てくるのか、謎である。


「そう言えば、兄様には好きな人居るの?」


「お兄様に?」


ふと、会話の流れから素朴な疑問が浮かんだので、聴いてみることにした。あの無愛想な兄様に好きな人がいるのか、もしかしたら姉様なら知っているのかもしれない。


ふふふ、あわよくばそれを弱味にして日々の食事のボリュームを少しだけ上げて貰おう。


「うーん、聞いたことが無いわね。そもそも、あの仕事人間に好きな人が出来るとは思えないわ」


「ね、姉様も結構言うときは言うよね」


でも、姉様の言うと通りだ。兄様は私と姉様の執事をやっているだけあって、何をやっても完璧に仕事をこなすのだが、その為に自分のプライベートな時間を確保できないらしい。


だから、もしも好きな人が出来ても、仕事を優先して恋愛の事を二の次三の次にする可能性が………


「でもお兄様なら、心配しなくても恋愛も完璧にこなして見せるって言いそうな気がするわ」


「あぁ確かに、ドヤ顔で言うかも」


「何を言うんだ」


「「!?」」


二人揃ってベッドの上で飛び上がり、扉の方を見ると、そこには噂の兄様が


「そんなか事より、早く寝ろよ二人とも。明日も早いんだから」


「「は、はーい」」


二人して返事をし、パタンと閉められた扉にホッと息を吐く。話を聴かれてなくて良かった。


「ま、まぁお兄様ったら。レディの部屋にノックも無しに入ってくるなんて、相変わらず失礼な方ですわ」


なんて姉様は閉められた扉に向かって言っている。姉様は昔から私より厳しく兄様にしつけられて来たからか、兄様に良い印象を抱いていないらしく、たまにこうやって文句を言うことがある。


まぁ………


「全く、あの調子じゃお兄様は一生独身で寂しく過ごすになりそうね」


ガチャ


「っ!?」


「いい加減に寝ろ。それと、お前と違って恋愛もしっかりこなしてるから心配無用だ」


「は、はひ」


このように、本人の前ではビビってしまって全くと言っていいほど文句を言うことが出来ないらしい。


「あぁそうだ、西方の王子様がお前に面会したいんだとよ。どうする?」


「え?断るけど」


「だろうな、そう言うと思って断っておいた。それじゃあお休み」


私にそう言った後、パタンと閉められる扉


ちょっと兄様、もしかして私達の恋愛の事も貴方の仕事の内に入ってたりしませんよね?

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