表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
羽虫の友人  作者: 山野 新一
1/1

彼がいたことは私の人生にとってとても重要だった。

新しい門出の日。その日には、その日にふさわしくない風が吹いていた。

「あー、くそ。ついてないな、ホント。」

小さな背中は、リズミカルに弾んでいる。朝からの季節外れの豪雨が、彼、大崎千博の背に、よれもほつれもない濃紺のブレザーを張り付かせていた。

 今は四月のはじめのほう。彼の家の周辺では、牛糞のにおいと陽のにおいが充ち始める時期である。しかし彼は今、自分の故郷の薫りを嗅いではいない。

「少し、早すぎたかな、はは。」

誰に聞かせるでもなく彼はつぶやく。周りに人の気はなく、本当に聞くものなどいない。

「よしっ。」

彼はほほを抓り、爪を噛んだ後走り出す。油臭く光る道を。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ