7話 幼女と一緒におやすみなさい
「さて、今日は寝るぞ」
「え? まだ十時じゃん?」
十時に寝るなんて早すぎるっしょ。
「お主、今は小学生なのだぞ?」
「ああ、そういやそうだった」
小学生の時の十時って言ったら、もう起きていない時間だ。
「寝室に案内する」
☆
寝室に、ロリーヌと二人で来たわけだが。
「布団一つが置いてあるだけ、だと!?」
ある程度広い部屋のど真ん中に、ポツンと布団が一つあるだけ。
「どうすんのこれ?」
「小学生二人入るくらいのスペースはあるだろう?」
「こんな狭い布団に、ロリっ娘と二人で!?」
今日何度目か分からない驚きをする。いや、ほんと今日だけで何個サプライズがあるんだよ!! サプライズのバーゲンセールかよ!!
「お主、電気は点けて寝る派か? それとも、消して寝る派か?」
「いや、どっちでも寝れる派かな」
「そうか。なら電気を消すぞ」
「ああ」
パチッと電源を落とす音がした後、室内は窓から入る僅かな光だけとなった。
「おやすみなさい」
そう言って、ロリーヌは布団の中へと入った。
「じゃあ俺も」
結構狭いが、なんとか二人入ることができた。
ロリーヌは俺とは反対側の壁の方を向いて横になっていた。可愛い顔を視ながら寝ることは、残念ながら出来そうにない。
「すぴー」
しばらくして、ロリーヌの寝息が聞こえてきた。
寝るの早いなこいつ。
俺はというと、全く眠くない。
普段俺は深夜アニメを見るべく遅くまで起きていたので、こんな時間に眠れるはずもない。
「テレビでも見るかぁ……」
リビングに確かテレビがあった気がする。
布団から体を出し、ロリーヌを起こさないようにリビングへと移動をした。
そして、テレビのリモコンを手に取ると、電源ボタンを押した。
一通り、チャンネルを回してみる。が。
「つまらんな……」
どのチャンネルも、微妙なバラエティしかやっていない。
しかも、知らない芸能人ばかり。
「うーん」
ゲームも携帯も漫画もPCも無いので、テレビ以外に時間を潰すものがない。
「仕方ない、眠くないけど無理やり寝るか」
これからずっとこの時間に布団に入ることになるのだし、この時間に眠れるように習慣をつけていくしかない。
再び寝床へと戻ってきた。ロリーヌは相変わらず爆睡している。寝顔も可愛い。
「いいこと思い付いた」
せっかくロリーヌが寝ているんだ。何かしないなんてもったいない。
「俺、ファーストキスまだなんだよね」
だから、ここで初めてのチュウをさせていただく。
ゆっくりと、起こさないように口を近づけていく。
もう少し、もう少し。
そして、唇がもうくっつくところまで来た瞬間。
俺はあることに気づいた。
「寝てる女の子とキスして、ファーストキスを捨てたことになるのか?」
これがファーストキスに含まれるのなら、赤ん坊の頃に母親が俺にキスしていたのも、ファーストキスに含まれるんではないか?
「あああああ! 分からん!」
ファーストキスってどこからがファーストキスなんだよ! 風俗でセックスしても童貞から素人童貞になるのと同じように、これも似たようなものなんじゃいの? 素人キスなんじゃないの?
で、でもまあ、たとえこれがファーストキスと呼べるようなものではなくても、しない理由はないよな。
「よし!」
しよう、キス。
「何がよしなんだ?」
「ギクッ!」
「むぅ。どうせ私が寝ている間にどうせフ●ラでもさせようとしていたのだろう? バカなことは考えずに、さっさと寝ろ」
いや、そこまで考えてないです……。
結局、ロリーヌは一度目が覚めたら眠くなくなったと言いだし、俺が寝るまで再び眠ってはくれなかったのだった。