3話 小学生の「せんせいさようなら」の挨拶は本当に可愛い
おちんちんという名前があまりに恥ずかしくて、結局まともに自己紹介することができなかった。
自己紹介失敗ってのは、結構今後の学校生活に響きそうだが、果たしてどうなることやら。
「今日は授業はありませんのでこれでおしまいです。明日は身体測定ですので、絶対に休まないでくださいね」
「「「はーい!」」」
クラスの皆が可愛く元気に挨拶した。
うへへ、身体測定だってよ、楽しみだぜ。
この小学校は、身体測定男女一緒なのかな? 俺の学校は確か四年生から男女別々だったが。
男女一緒でありますように。男女一緒でありますように。男女一緒でありますように。
あ、でも待てよ? ひょっとして、そもそも身体測定は体操着でやるんじゃ?
それだけは絶対にやめて欲しい。身体測定はパンツ一枚、当然でしょ!
「では皆さん、さようなら」
「「「せんせいさよーならー」」」
小学生恒例の挨拶をして、学校初日が終わった。
この挨拶、可愛いよね。いかにも小学生って感じ。中学にあがった途端、面倒くさそうな挨拶の仕方になるんだもん、あれは可愛くない。
先生が出て行った途端、教室中がざわつき始めた。
むむむ、もう既に仲良しグループが出来ている……。
去年も同じクラスだった子と一緒にいたりとかなんかな。いきなり四年生になってしまった俺は、そういうのがいないから普通にこの空気がキツい。
さっさと帰るかぁ。
こういう一番最初に作られているグループというのは、一時的なものに過ぎないことが多い。学年の終わりの頃には、きっと全く別のグループになっていることだろう。
だからここで、ああ、もう一年間俺はぼっちなんだぁと思ってはいけない。まだ学校生活は始まったばかりだ。
さてさて、車はどこに止めたっけか……って、違う! 俺は今大人じゃないんだ。車なんて当然持っていない。
あれ? というかそもそも――俺の帰る場所ってどこだ?
ここは異世界だ。俺の実家に戻るなんてのは多分出来ない。
やっべえ、超やっべえ。
行く当てもなく、流されるように校門へと歩いていく。
まさか、俺ホームレス!?
「待っておったぞ、太郎」
「おわっ、びっくりしたぁ」
とぼとぼと歩いていた俺の前に、魔女みたいな恰好をしたロリっ娘が立ちふさがった。
「お前は、あの時の!」
俺をこの異世界へと連れてきたロリっ娘じゃないか! 相変わらず天使のように可愛い!!
「ふむ。どうやら忘れてはおらんようだな」
「忘れるわけないだろ、こんな可愛い子」
俺の実家には数えきれないほどのジュニアアイドルのDVDがあるが、ここまで可愛い子はいなかった。多分、百年に一人とかのレベルの可愛さじゃないかな、この子。
「そ、そうか。可愛いと言われ慣れておらんくて、ちと恥ずかしいな」
恥ずかしがるリアクションも、超可愛い! 完璧美少女!
「で、待ってたってどういうことだ?」
「ふむ。お主の住む場所に一緒に向かおうと思ってな」
「ふぅ、俺の住む場所はちゃんと用意されているのね。良かった、ホームレスにならなくて」
お金も何も無いのに、いきなりホームレス生活が始まったらどうしようかと。ホームレス小学生なんてしていたら普通に通報されそうだ。
「安心せい。立派な家が用意してあるぞ、着いてこい」