最終話
「なんで謝るんだ? 悪いのはこっちなのに」
結局俺は、この子が保健室の隣の教室に戻ってきてからすぐに先生を呼ばれたので、この子の体は一瞬しか見れなかったのだが、それでも立派な被害者だ。
「だって、わたしのせいで、皆に変な目で見られちゃうから……」
「君のせいなんかじゃないさ。俺のせい」
この子じゃなかったとしても、着替えをする教室に男がいたら誰だって先生を呼ぶはずだ。この子は何も悪くない。
「でも、私のせいで、太郎君、校長先生に」
「別に退学になるわけでもないし、なんとかなるさ」
「それでもやっぱり、わたし申し訳なくて、だから!」
「だから?」
「太郎君が望むこと、なんでもしてあげる!!」
☆
目が覚めると、隣で女の子が寝ていた。同じクラスの明日田マナちゃんだ。
「俺、幼女で童貞卒業できたんだな……」
ただ、この空虚な気持ちはなんだろう。
気持ちよくなんてなかった。手でやっていた今までの方が、よっぽど気持ち良かった。
固執していた幼女での童貞卒業をして、俺は何を得たのだろう。
マナちゃんは行為中、ずっと泣いていた。
俺は、そんな涙を見るために、幼女に固執していたのか?
「やっと起きたわね」
「ロリーヌ、か?」
「そ。分かった? 幼女とのセックスなんて、何にも良いことじゃないの」
「ああ、そうだったみたいだ」
俺はもう、幼女とセックスしたいだなんて思わない。
「分かってくれて嬉しいわ」
ニコリとロリーヌが微笑む。
その笑顔を見た後、俺に大きな眠気が襲ってきた。
「おやすみ太郎。今度は、"大人になった私"と会いましょう」
☆☆
「被験体、第一実験が完了したようです」
「第一の実験は成功したか?」
「はい。彼の脳に、以前のような女児への異常な性欲は見られません」
「よし。では第二実験に移れ」
「はい」
「これが成功すれば、世の中から"ロリコン"を消すことができる。我々が、日本を救うのだ」
西暦2560年
"ロリコン"は、増加の一途を辿っていた。アニメやゲームや漫画などで、少女を可愛く描きすぎたことが主な原因だ。
今では、日本人の成人男性の約三分の一が、ロリコンである。
ロリコン達は、常日頃から幼い少女にばかり欲情し、大人の女性と全く関わろうとしなかった。
そのため、結婚をせず、子を産まず、人口は激減。日本人は、絶滅の危機が迫っていた。
そこで、この状況を打破するため、学者達は二つの"世界"を作った。
一つ目の世界は、【幼女とセックスが出来るバーチャル世界】だ。
その世界では、ロリコンにわざと幼女とセックスをさせて、全く気持ちよくないままセックスを終わらせる。
『幼女とセックスしても気持ちよくなんて無い』という情報を、ロリコンに植え付けるのだ。
新たな情報を植え付けた後、ロリコン達を、今度は学者が作った二つ目の世界【大人とセックスができるバーチャル世界】へと送る。
その世界で、ロリコンだった男達に、大人の女性ととことん気持ち良いセックスをさせる。
今まで味わったことの無い快感を、大人とのセックスで味わってもらう。
二つの世界でのセックスを終えた彼等は、きっとすぐに大人の女性を求めるだろう。
日本は、そうして絶滅から逃れるのだ。ロリコンだらけの、この日本は。
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