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ACT ARME  作者: 平内丈
3/10

3 失くしたものと落としたもの

ACT ARME第三話です。

ぬるりと楽しんでいってください。(`・ω・´)

男は、必死に逃げていた。

誰から、何から逃げているのかもわからないのに。

自分が、何者なのかもわからないのに。

「はぁ・・・・はぁ・・・・。」

息が切れる。肩が上がる。体力などすでに限界を切っている。

それでも、必死に逃げ続けていた。

「いたぞ!こっちだ!」

「くっ・・・・!」

どこか、休める場所は?休息がほしい。

だが、その希望はかなわず、男は闇夜に紛れて、ただひたすらに逃げ続けるしかなかった。







「い~や~。のどかだねぇ。」

「・・・・・・・・。」

「この陽だまりの温かさも、もうすぐ終わってしまうのかと思うと、悲しいものがあるよね?」

「・・・・・・・・。」

「でもまあ、そしたら今度は別の楽しみを見つければいい話だけどさ。」

「・・・・・・・・。」

「レックもそう思わない?」

名指しで呼ばれ、それまで無視を決め込んでいたレックが、ついに反応した。

「あのさあ、感慨にふけるのはそっちの勝手だけど、その前にまず掃除を手伝ってくれないかなあ?」

季節は晩春、もうすぐ梅雨に入ろうかとしている時、こちらはすでにじめじめと湿った空気が漂っていた・・・。


「どうしたの?そんなジトってした声を出して。そんな話し方まで梅雨に備える必要はないと思うよ?」

「だったら今すぐ掃除手伝って。」

ほんわかと話すルインと、どんよりと話すレックは、実に対照的で絵になる。

「まさか、ここの家の持ち主がここまでグータラだとは思わなかった。ここに引っ越してから一度も掃除してないとかどんだけなんだよ。挙句そのすべてをボクに押し付けてくるし。」

頭に付けた三角巾が激しく揺れる。

「おまけにこの家、本当に広いから毎日掃除しなければいけないし、確かに家賃はタダだったけど、水道光熱費はきっちり払わないといけないからここで別のバイト探す羽目になったし、家主は見ての通りグータラだし!」

このまま無限ループしそうなレックの愚痴を、ルインが宥めて抑える。

「まあまあ、そんなに愚痴ばっかり言ってると、幸せが逃げるよ?それに、水道光熱費のことはともかく、掃除やその他家事についてはやってくれって一言も言ってないよ?」

「ま、まあそれはそうだけど・・・。」

「レックが来てもこの家は使ってない部屋たくさんあるからさ。掃除は別にしなくてもいいって考えてるんだよね。だからレックも別に無理して掃除する必要なんてないよ?」

一応宥めているつもりらしい。しかし。

「それでもボクは気になるんだよ。ルインは埃だらけの家で生活してて平気なの?」

「うん、全然平気。」

「あっそう。」

性格の違いを理解するというのは、なかなかに難しいことである。


「とりあえず・・・。はい。」

と、レックは手にしていた雑巾を先端に付けた棒(早い話がクイッ○ルワ○パー)と、頭に着けていた三角巾を突き出す。

「えっと・・・・、これは?」

「ボクは今から特売に行ってくるから、代わりに掃除お願い。」

「え~~~~~?」

不貞腐れるルインを一喝。

「え~~~~~?じゃない!ボクのバイト代だけで切り盛りできるほど世の中は甘くない!」

「いや、本業の方だってちゃんとやってるじゃん。」

ぐちぐちと反抗するが、効果はないようだ。

「本業の収入って、ボクのバイト代の4分の1しかないってこと、知ってる?」

「え?まじで?」

「まじで。まず依頼者が来る回数が少ない。加えて依頼料が出鱈目だから一度に入る収入も少ない。こうなるのは当然だと思うけど。とにかく、ボクが帰ってくるまででいいから掃除お願い。」

レックの必死な説得に、しぶしぶながらも応じる。

「は~~~~~~い。」

「返事は短く!」

「はーい。」

「全くもう。」

ため息をつきつつ、出かける支度をするレック。その背中は、齢16にして、すでに苦労を背負い込んでいた。



「重い・・・・。」

両手だけでなく、首からも買い物袋を提げているレック(良い子のみんなは真似しちゃダメダメ)が呻く。

これは決して無駄な買い物をしているわけではない。家にあるものを調べて、必要最低限の物を買いそろえた結果こうなっている。

「なんだって、こんな、大変な目に、あって、いるのさ?ボクは。」

近くに誰もいないのだが、こういう時は一人でも愚痴りたくなるものである。

「なんか、本当にものすごい貧乏くじ引いたような気がするなあ。そういえば、ボクがあそこに住むって決めたときに、アコとツェリライはお通夜の参拝者みたいな目をしたたっけ。あれってこういうことになるってわかってたからなのかなぁ・・・。」

そう独り言を呟きながら歩いていると、なにやらよくわからない物体が。

「なんだろう?これ。」

貧乏くじを引くものというのは、往々にして自分から首を突っ込んでしまうものなのである。ご多分にもれず、レックもまたその一人だった。

近づいて確かめてみる。それは、服だった。袖から腕が覗いている。脚もある。あと、遠くからでは分からなかったが、頭もある。

間違いなく倒れている人だ。

「これって・・・」

腕がわずかに動く。生きているようだ。だが、服がびしょ濡れだ。そういえば、昨日は土砂降りだったような・・・。

「ってことは、昨日からここで倒れっぱなし!?ちょっと大丈夫ですか!!?」

倒れている人は、呼びかけてもピクリとしかしなかった。



「あー、掃除は、めんどいな~♪」

と、ルインは適当な替え歌を歌いながらも、のんびりと掃除をしていた。

「んー、レック遅いな。どこで油売ってるんだか。中途半端に掃除して、残りは押し付けようと思ってたのに、もう終わるよ。全く。」

何が全くだ。

と、ここでレックが帰ってきた。

「あ、レックお帰り。遅い――――――。」

続けざま文句を言おうと思っていたルインの言葉が止まる。

それもその筈、レックは両手と首に買い物袋を下げ、背中に男を乗せた状態で帰ってきたのだ。

当然、両手は買い物袋でふさがっているから、おんぶをすることはできない。だから体を完全に直角に折り曲げて、無理やり背中に乗っけている状態になっている。

はたから見れば、苦行をやっているようにしか見えない。

「―――――時にレック君。その背中に乗っけているものはどこで買ってきたのかな?」

「ジョークは、い、いいから、なん、とか、お願い。」

この言葉を最後に、レックは力尽きた。

「レックゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」

ルインの叫びにも、レックは答えなかった――――。



「・・・・これで、しばらく安静にしておけば大丈夫でしょう。二人とも。」

「そう、よかった~。」

十数分後、ルイン宅にいつものメンバーが集まる。

「で?なんでこんな状況になってるんだよ?てか、一体こいつは誰なんだ?」

グロウの最もな疑問に答えられるのは、只今熟睡中なので、誰も答えることができない。

「パッと見、行き倒れの人みたいだけど・・・。」

「やれやれ、レックは拾いもの症候群だったんだね。」

「とりあえず、どちらかが目を覚まさない限り、事態は進展しないですね。」

「そうだね。事情が事情なら、レックみたいに居候させてあげてもいいんだけどね。」

ぱっと聞いただけでは、善行に思えること言葉も、ルインが言うと話が変わってくる。

そんなことは分かり切っているグロウが目敏く突っ込む。

「・・・てめぇ、また自分の奴隷を増やすつもりか?」

「奴隷とは失礼な!ただ僕はレックの負担を減らそうとだね・・・。」

ルインは弁解になっているようで弁解になってない弁解を言い出す。そうこうしているうちに、レックが目を覚ました。

「お?お目覚めだね。気分はどうだい?この指は何本に見える?」

まるで長い間意識不明だった患者に対する医者のようである。いや、本当の医者が実際にこんなことするのかは知らないが。

「指は五本。気分は中の下。   それより、あの人は・・・。」

ルインの質問に、律義に答えて、あたりを見回すレック。そして、自分が助けた行き倒れが、自分のすぐ横で寝ていることに気づく。

「・・・・・・・・・。」

無言のレックに、アコが槍を突き刺す。

「なんか、同性愛みたいね。」








それから、凹んだレックを復帰させるのに数分かかり、ようやく事情を聴けることになった。

「――――――って訳で、思わずここに運んできたのさ。」

事情を聴き終え、とりあえず納得する四人。

「なるほどねぇ、やっぱレックは拾いもの症候群なんだねぇ。」

「何それ?聞いたことないんだけど。」

「当然だよ。いま僕が考えたんだし。     ――――お?」

と、ルインの視界の端で、行き倒れの目がうっすらと開けられるのが写る。

「ああ、やっと目覚めたね。調子は――――」

さっきレックにやったことと同じことを繰り返そうとする。だが。

「うわああああああぁぁぁ!!」

突然がばっと跳ね起き、暴れだす。

「わわわわわっ!!何々!!?」

「ちょっと、そんなに暴れたら・・・    あゴっ!!!」

「うわああああ!やめて、来るなああああ!!」

目を覚ました生き倒れは、完全に錯乱している。

たまらずグロウが抑えにかかる。

「おいルイン!そっち押さえろ!」

「ら、らじゃー!!」

どっすんバッタンぼかスカと、かくも激しい騒動が続き、やっと収まったころには、全員どっかこっか絆創膏やらなんやら張っている状態だった。

余談だが、この時レックは、暴れている行き倒れのすぐ横にいたため、顎に華麗なる痛恨の一撃をもらい、再び暗闇の渦へと落ちて行った。



「すいません、本当にすいません。」

正気に戻った行き倒れが、ぜんまい仕掛けの人形のように頭を下げ続ける。

「ほんとよ全く。おかげで無駄なとこ怪我しちゃったじゃない。」

アコは色々と怪我をして、ご機嫌斜めなようで、それがまた行き倒れの無限ループに拍車をかける。

「まあ、謝罪はこれぐらいでいいよ。それで?君が道端で倒れていたのはそこで伸びているのに聞いたけど、なんでまたそんなことに?」

「ええっと、それは・・・」

その質問に言いよどむ行き倒れ。

何やら事情があって話せないことなのかと思い、とりあえず落ち着くまで休んでていいと言おうと思ったのだが・・・。

「いいから話しなさいよ。」

そういうことを全く気にしないのが一人いたことを忘れていた。

「さすがアコちゃん。素晴らしいぐらい空気よまないね。」

「何よ。事情聞かなきゃ何もできないじゃない。」

「いやまあ、そうだけどさ・・・。」

「それで、あなたに何があったの?」

「えっと・・・。」

それでもやっぱり言いよどむ行き倒れ。

「心配しなくていいから。ここ、相談すれば何でもやってくれる万能屋なんだから。」

アコがそこまで後押しして、やっと口を開いた。

「はい・・・・。でも、それが・・・」

だが、まだ言い淀んでいる。

「気にしなくて大丈夫だって。秘密はちゃんと守るわよ?」

「いや・・・   そうじゃなくて・・・。」

「何よ?」

行き倒れは、重い口を何とか動かして答えた。

「何も・・・・覚えていないんです。」




しばらくして目を覚ましたレックに事情を話し、五人は頭を悩ませる。

「記憶喪失者ですか。これは参りましたね。」

「そうだねぇ。何とかしようにも、その何とかしなきゃならないことが分かんないんじゃねえ・・・。」

と、グロウが上から見下ろすような形で行き倒れに質問する。

「おい、記憶喪失といったが、本当に何も覚えてねえんだな?」

「どういうことさ?グロウ。」

レックの疑問にわかりやすく答えた。

「記憶が無えってのは、嘘じゃねえんだろうなってことだよ。」

「つまり、疑ってるってこと?」

「そういうことだ。」

その無情な言葉に、レックが憤慨して言い返す。

「なんてこと言うのさ!この人は道端で衰弱してたんだよ!」

だがグロウは、依然変わらぬ状態で言葉を返す。

「それも演技じゃねえとは言い切れねえ。何か狙いがあって行き倒れのふりをしていることもある。」

「なんでそんなこと・・・」

「甘えんだよ、てめぇは。この世に存在する人が、全員聖人君子だとでも思ってんのか?」

グロウの冷たい断罪に、言葉を詰まらせながらもなお言い返そうとする。

「そんなこと・・・。 でも、演技だとしたらなんでここに来るのさ!?理由なんて・・・。」

言い争いになりかけている二人に、ルインが割って入る。

「はいはい、二人とも熱くならない。まあ、グロウの言っていることも百パーセントあり得ないとは言えないんだよねえ。レックはここに来たばかりだから知らなくて当然だけど、多分僕らは色んなところで恨み買っててもおかしくないから。」

しみじみと語るルインのその姿に、レックはジトッした眼で聞く。

「今まで、何やってきたのさ?」

「それは御想像にお任せします。でもま、この人が演技している可能性は低いと思うよ。」

「なんで?」

疑問を漏らすアコ君に、ルイン先生が解説してあげる。

「レック、この人を見つけたのは狭い道端の端で、一目見ただけじゃ、ぶっちゃけ倒れている人には見えなかったんだよね?」

「うん、最初は何かの塊にしか見えなかったよ。」

「もしどこかの何かが、僕らを潰そうと画策してこの人を送り込んだとしたら、もう少し目立つ場所にしない?だって、もしあの時レックが見過ごしてたら、この人正真正銘の行き倒れになるよ?」

「まあ、確かにね。」

さらに、ツェリライ教授が続ける。

「もうひとつ加えますと、この人が目を覚ました時に起こした錯乱は、演技には見えませんでした。それに、全身がびしょ濡れで衰弱していた。レックさんが気づかなかった場合、この人は間違いなく死んでいたでしょうね。」

「だってさ、グロウ。この人は十中八九本物の行き倒れだよ。残念だけど。」

そう言ってにやにや笑いをしてくるルインに、さもうざったそうな顔をするグロウである。

「何、俺がこいつを偽物に仕立て上げようとしてるようないいかたすんだよ?別に俺はただ警戒しただけだっつの。」

ルインの言葉に、少し苦い虫をなめてしまったような顔で反応するグロウ。それを見るとからかいたくなるのはルインの性なのか。

「お?何々?オトコのツンデレですか?味はあるけど、需要は少ないと思うよ?」

「てめぇ今すぐスクラップにしてやるからじっとしとけ。」



さて、

ルインが半分くらいスクラップにされたところで、改めてこれからどうするかを考える。

「まあ、あんまりオススメはできないけど、やっぱりルイン家で預かるしかないんじゃない?」

「そう、ですね。最良の選択が選べない以上、それしか手段がありませんか。」

「そうだね。まあ、安心してよ。この人の世話はボクがするから。」

「それだったら安心だけど、大丈夫?今でさえ大変なのに。」

「んー。まあ、この人を連れてきたのはボクだし、何とかするよ。」

アコの心配に、レックは困った笑顔を浮かべつつも、しっかりと答えた。

「決まりだな。オイ、そこの半スクラップ。こいつはてめぇん家に預けることになったからな。」

半スクラップは、何も答えない。

話の中心人物であるはずの行き倒れは、一切会話に入り込む隙を与えられなかった。



こうして、ルイン達五人に、また新たな仲間が加わったのでした。

めでたしめでたし。













と、言いたいところだが、まだ話は終わらない。

突然、ドアが激しく開け放たれ、そこからわらわらと治安部隊の面々が押し入ってきたのだ。

「ちょ、ちょっと!なんなのよあんたたち!」

「一般人の家に訪問するにしては、随分と騒がしいですね。」

「てめぇら何の用だ?」

半スクラップは、何も話せない。

「騒がしくて申し訳ないな。だが、お前たちには用はないんだ。」

そういって姿を現したのは、第一話のラストあたりで登場したキブ治安部隊実働係係長、ヒネギム係長だった。

「ああ、お久しぶりですね。先日の件はどうもお世話になりました。」

「ん?ああ、まあ気にするな。あの程度なら書類だけでどうにでもできる。」

と、漢らしいことを言ってくれるヒネギムだが、グロウはあまりお気に召さないらしい。

「その書類の量が半端じゃなかったけどな。てめぇ、モブのくせにまた出てくんのかよ。」

実にいやなところを突いてくる奴である。

「モブいうな。ヒネギムというれっきとした名前がある。」

言い返すヒネギムに、アコが太い刺を指す。

「でも、そのれっきとした名前を思い出すために、作者は一話を読み返したそうだけど?」

言っておくが、アコは相手を傷つけようとしてこんな発言をしているわけではない。

ただたんに、その場の空気を読む読解力が著しく劣っているだけである。

アコの無邪気な茨付きの刺を喰らい、しばし黙り込んでいたヒネギム係長だったが、気を取り直して続ける。

「まあ、俺がモブかどうかは今はどうでもいいんだ。用があるのは・・・」

そういって、視線を行き倒れの方に向ける。係長と行き倒れの視線がぶつかる。すると、ついさっきやっと平静を取り戻した行き倒れが、再び錯乱しだしたのだ。

「ああ!もう!せっかく収まったのにまたぶり返しちゃったじゃないの!」

と、もう一度なだめようとするアコだったが、

「うわあああああ!こ、こいつがぁぁ!」

完全に我をなくしている行き倒れには全く効果がなかった。

「ああ、うるせえ。」

とグロウが鳩尾に一発。今度は誰も怪我せずに終わった。

レック以外はね。




「なるほど、記憶喪失か。それで俺たちを見て錯乱したのか。騒がせてすまなかったな。」

「まあ、知らなかったんだし、しょうがなかったということでいいよ。」

やっと、半スクラップ状態というステータス異常から回復したルインが、係長に尋ねる。

「それで?さっきの状況を見る限り、双方ともお初にお目にかかったわけじゃなさそうだったけど、お二人はどういう関係でいらっしゃるのかな?」

だが、係長は非常に言いにくそうにしている。

「やはり、彼はお尋ね者なのですか?」

というツェリライの質問には答えてくれた。

「ん、まあ。そういったところだ。」

「ま、そんなところだろうとは思ってたけどね。で?なんの罪を犯してるのかな?」

だが、このルインの質問には答えず、代わりに警告をしてきた。

「お前たちがこの男と関わりを持ってしまった以上、最低限のことは話した。これ以上は首を突っ込むな。」

その口調は、あの時とは違い、底知れなさを感じる。

だが、ルインも負けない。

「この記憶喪失の行き倒れが犯罪者だったという情報だけで最低限とはねえ。少し不親切すぎないかな?」

「これ以上、話せることはない。あの男はウチでしょっぴく。」

「それはまあ構わないんだけど。どうも納得いかないんだよねえ。」


ルインの怪しげな目に、係長も真っ向から応じる。

「ほう。何が納得いかない?話してみろ。」

「僕ってこう見えても結構勤勉家でね。毎朝のニュースは見てるし、暇なときは新聞も読んでいるんだよ。」

「なかなか感心なことだな。つまり、お前はその新聞記事にこの件が掲載されていなかったことが気にかかっていると言いたいのか?」

「さすがヒネギム係長。敏腕中間管理職だけあって察しいいね。」

話が二人だけで進んでいく中、グロウが待ったをかける。

「別に不思議なことじゃねえんじゃねえのか?この町で起こる事件の全部がニュースに出るわけじゃねえだろ。」

意外とまともだった突っ込みである。


「ま、普通ならそうだね。何でもかんでも新聞に載るわけじゃない。でもさ、一人の男のためにこうやって実働係のトップが直々に訪ねてきてるわけだよ?それって、普通の事件じゃないよね。」

このキブは、あまり治安部隊の隊員数が多くない。故に、誰かを何かを捜索するときには、決まって住民に情報が渡るようになっているのである。

そのこともルインの疑問の後押しをしていた。

「実働係の頭が出張るようなヤマだが、市民には伝えられてねえ事件ってことか。確かに臭うな。」

「という結論に至っているわけだけど、どうかな?」

にらみ合う両者。やがて係長の方がため息をついた。

「全く、カンが鋭い奴らを相手にするのは骨が折れるな。」

「係長!」

驚く部下を制する。

「こいつらに半端な嘘言ったところで解決はしない。」

「さすが、よくわかってるね。」

「一応貶したつもりなんだが。とにかく、お前らがいくら駄々こねようと、こちらは答えるつもりはない。これ以上抵抗するようなら、お前らも公務執行妨害で捕らえる必要性が出てくる。大人しく引き渡せ。」

まるで説得しているようである。それだけルイン達のことを知っているのだ。

「まあ、治安部隊の仕事の邪魔をするつもりはないからね。これ以上余計な詮索はするつもりはないんだけどさ・・・。」

また、ルインの目が鋭くなった。

「あの人がここに運び込まれてきた時、孔技(孔を用いた技のこと)を受けた痕が結構な数あったんだよね。それもだいぶ新しいやつが。つまり、追跡中に攻撃したって事だよね。」

係長は反論しない。

「痕があった場所は、一歩違えば死んでいてもおかしくないところだった。問答無用で、おそらく逃走しかしていない相手に対して殺しても厭わない。でも市民には知らせない。おかしくない?」

係長は依然何も言わず、話についていくことを諦めてお茶係になったアコが出したコーヒーを静かに飲む。

「死体回収でもOKな程手段を選ばないぐらい危険な犯罪者なら、どうして住民に警告を出さないのかな?」




「・・・・・・。」

話を最後まで聞いた係長は、丁寧にコーヒーを最後まで飲むと、淹れてくれたアコにお礼を言って、最後にあと一回だけ尋ねる。

「それは、こちらの要求に対してNOと言うつもりか?」

「そう聞かれたら、YESと答えるしかないね。もし、そちらの面々が、権力に塗れた汚い手で街を汚すというなら、住人は嫌がるのが普通でしょ?」

それを聞いた係長は、やれやれと小さなため息をつき、部下に命令を下した。

「ここに居る物を全員捕まえろ。生死は問わん。全力でかかれ。」

その言葉で、後ろにいた部下が一斉に構えを取った。

「生死問わずとは、随分と穏やかじゃないね。」

「その穏やかではない選択を選ばせたのは、自分自身だということを自覚して欲しいんだがな。」

また溜息をつく。

「お前の言うとおり、これは治安部隊の組織内ですら規制がかかっているほどのトップシークレットの案件だ。だから、ここで実働部隊が動いていることも市民は知らない。ここでお前らが死んだ場合も、市民には知らされない。行方不明で片付けられるだけだ。悪く思わないでくれ。」



話が終わると同時に一人の部隊員が襲いかかった。普段鍛えられているだけあり、やはり動きが洗礼されている。

だが、攻撃が当たるよりも早く、ルインが刀を抜き、防御した。

ガキィ!と鈍い音が響く。

「なるほど。それは確かに道理だ。でもそれってつまり、ひっくり返して考えたら、そっちにも同じことが言えるんじゃないかな?」

と、突然ルインが身を引いた。力の押し合いになっていたところに、突如支えがなくなった部隊員は、バランスを崩す。

その隙にルインは刀を振るった。

うめき声を上げて倒れる隊員を前に、恐怖を感じる凄みを加えた笑みでまっすぐ睨んだ。

「仮に、ここで全員死んだとしても、同じく上でもみ消されるってことだよね。」

そこから放たれる言葉、視線、威圧。泣き止む程度では済まない恐ろしさがある。

相手を見据えたまま、ルインは後ろの三人にお願いする。

「皆、そこで寝てるレックと行き倒れを連れてどっかに逃げて。僕も後で追うから。」

「わかった。」

「しゃーねーな。」

「了解です。」

そして、グロウが二人を抱え、裏から脱出。残ったのはルイン一人となった。

「一人で全員倒すつもりか。蛮勇は褒め言葉ではないぞ?」

相手の忠告ともとれる挑発に、ルインも負けじと言い返す。

「一応勝算はあるんだけどな。気付いていないのなら戦う仕事についている身としては致命的だよ?」

そして、再び襲いかかってくる部隊員。だが、難なくルインに倒される。

続けざま攻撃が来たが、同じようにルインに倒された。

「複数でこれたらよかったのにね。」

そう、ここは室内である。故に一人ずつしか襲いかかれる広さしかない。

「さて、そろそろ僕もずらかろうかな。みんなに追いつけなくなるし。」

それを聞いた残りの隊員は、そうはさせないと銃を抜く。

だが、引き金を引く前に、ボンッ!という音と共に、一瞬にしてルインの体が煙に包まれた。

全くのノーモーションで起きた出来事であったため、部隊の対応が遅れた。

煙が晴れた時には既にルインの姿はなかった。





「なるほど。そういうことになっていたんだ。」

復活し、これまでの事情を聞いたレックが、若干落ち込み気味に納得した。

「結局、彼がどのような罪を犯したのかはわからずじまいでした。ですが、状況からして並大抵のことではないのでしょう。」

「うん、確かにそうだね・・・。」

どんどん声が小さくなっていくレックを見たグロウが、チッと舌打ちを鳴らす。

「おいコラ、何一人勝手に沈んでんだよ?」

「い、いや。別に落ち込んでるわけじゃ。」

レックの反論には耳を貸さず、一人言いたいことをまくしたてる。

「テメェが何で沈んでんのかは知ったこっちゃねーが、自分が今の事態を招いたなんて考え持ってんならとっとと捨てろ。目障りなんだよ。」

どうやら図星だったようだ。レックがグッと言葉に詰まっている。

「てめぇがその考えを持ってたところで事態が良くなるわけでもねえ。むしろこっちがそんなことでテメェを恨んでいる小さい奴だって、レッテル貼りつけてるようなもんだ。」

レックは俯いたまま黙っている。

「周りを気にしてんなら、そんな面倒くせえ迷惑かけんな。わかったな?」

そんなグロウの話が終わっても、暫くは俯いたままだったが、やがて顔を上げ、

「ありがとう、グロウ。励ましてくれて。」

とさっきまでよりも晴れやかな笑顔を見せた。

それを見て聞いたグロウの背中に虫唾が走る。

「気色悪ぃ。こちとら加害妄想者を見るのに腹を立ててるだけだ。ざーとらしく礼なんか言ってんじゃねえよ。」

と、グロウはそっぽを向いたが、周りの連中がそれを許さず、暫しグロウはいじられ続けた。

治安部隊の眼を忍んで逃げている身だというのに、呑気なことである。



「でも、なんであたしたち逃げてきたの?この人が犯罪者だったなら、庇いだてする必要なんてないじゃない?」

と、素朴な疑問を漏らすアコだったが、周囲の反応は若干呆れ気味だった。

「やっぱ分かってねえのか。」

「まあ、初めから会話に参加することを放棄して、お茶係になっていましたからね。いいですか、アコさん。理屈を話し出すと理解できない恐れがあるので、結論だけ言いますが・・・。」

真剣な眼差しのツェリライに、つられて真剣な表情になるアコ。

「彼は、犯罪者ではない可能性が十分に考えられるのです。」


「な、なんですってーー!?」

素直で良いリアクションに、満足げな表情を浮かべるツェリライ。気分も良くなったのか、そのまま説明を続ける。

「今回の事件は、実動係の頭が自ら動くような事態でありながら、一般市民には詳細どころか、事件の存在すら知らされていません。これは余りにも妙な事であるということは、わかりますよね?」

これには、アコもすぐに頷いた。

「うん。確かに、普通のことじゃないわね。」

「では何故、そのような普通ではないことが、起こっているのだと思いますか?」

この質問に、アコは笑顔のまま黙って両手を肩の位置まで上げ、その状態のまま首を左右に振った。

それを見て、はぁ・・・と深く小さな溜息をついたツェリライは、根気強く話す。

「アコさんは、何か隠し事をしていますか?」

「うえっ!?べ、べべ別に何も隠していないわよ。」

わかり安すぎるリアクション。ニヤニヤ笑いをしそうになるのをこらえ、話を続ける。

「そうですか。それは残念です。では、アコさんは何か僕たちに隠し事をしていると想像してください。アコさんは、なぜそれを隠そうとしているのですか?」

「え、えっと・・・。やっぱり、知られたくないから・・・。」

「そうですよね。基本、何かを隠している理由とは、周りに知られたくないからです。そして、なぜ知られたくないのか。個人なら基本的に羞恥心が入り込んでしまうからというような理由が最も多いと考えられますが、それが組織単位となると、考えられる可能性は・・・。」



「自分たちにとって都合が悪いことをもみ消そうとしているから。そのためにその人を犯罪者という生贄に仕立て上げ、全て有耶無耶にして誤魔化そうと画策しているということだよ。」

突然上から声が聞こえ、見ると、ルインが建物の屋根から飛び降りてくるところだった。

「よっと。  わかった?つまり、この生き倒れは、犯罪者じゃなく、被害者である可能性すらあるんだよ。」

ようやくルインの意図と、ことの状況がわかってきたアコである。

となると、さらにまた疑問がわくのは当然なわけで・・・

「まあ、そうなってるかも知れないってことはわかったわよ。でも、そうだったら何を隠しているのかしら?」

それに関しては全員が首を横に振る。

「知らない。今起こっている現状と状況証拠から推測してるだけだからね。確証を持つには情報が少ないんだよ。」

「ふ~ん。       ・・・あれ?ってことは、もしかして今言ったルインの話はただの感違いなのかもしれないということ?」

「ピンポーン!大正解!」

いい笑顔である。その笑顔を見たアコは急速に不安に襲われる。

「・・・あたし、帰るわ。」

「なんで?」

「なんでじゃないでしょーが!勘違いで治安部隊を敵にまわしちゃったりしちゃったら大変だって事ぐらいは、あたしにだってわかるわよ!」

「まあ、確かにそうだね。でも、帰るのは絶対にお勧めしないよ。」

「なんでよ?」

「さっきみんなで逃げ出した段階で、アコちゃんも捕縛対象になってるはずだから。家に帰ったら即お縄だよ?」

何か言い返したい。この状況を覆したいという激しい思いに駆られる。だが、現実は非情である。

「あの人が、何とかしてくれないかしら・・・?」

「いやぁ、僕も係長は信頼してるけどね。でもそこは中間管理職のジレンマというか、上に自分の我儘は通せないし、なんかやらかしたら部下にまで被害及ぶしで、どうしようもないんじゃないかな。ほんと、頭の茂り具合が心配だよ。」

正論だが、お前にだけは絶対に言われたくないランキング堂々の一位を獲得できる台詞を吐き、ポムッとアコの肩に手を置いた。

「ドンマイ!」

親指をグッと立てつつ、素晴らしくさわやかな笑顔を向けるルインに、アコは心から思った。




殴りたい、この笑顔





因みに、アコは思ったことはすぐに実行するアグレッシブなタイプである。






顔面が陥没しているルインを余所に、作戦会議が開始される。

「それで、これからどうするのさ?」

「本来なら僕が情報収集をするのですが、ここではしょうがありませんしねえ・・・。」

ここは裏路地、いきなり逃げろと言われても、普通に逃げたのでは間違いなく足がついて追いつかれてしまうし、かといってこれといった隠れ家があるわけでもない。

というわけで、少し奥に入り込んだ裏路地に逃げ込んだのだ。

「困ったわね。」

「困りました。」

「どうしようか・・・。」

頭を悩ませていると、遠くから指示が飛ぶ声が聞こえる。どうやら治安部隊の足がここまで伸びてきているらしい。

「全く、ここの治安部隊は優秀だね。」

「ここも長居はできないね。」

一行は、再び歩き出す。



「あの・・・・」

と、不意にグロウが担いでいる行き倒れが声を出した。どうやらやっと目覚めたらしい。

「何?」

「なぜ、こんなことをしているのですか?」

「と、言うと?」

「あなたたちは道端で倒れている俺を拾った。ただそれだけで、治安部隊を敵に回してまで俺を連れて逃げる必要なんてないのに。」

確かに、ルインたちのこの行き倒れはもとより何の縁もゆかりもない。常識的に考えれば、ここまでの危険を冒して自分を庇い立てする理由など、どこにもないのだ。

そんな行き倒れの疑問に、ルインは適当に返す。

「ん~、ここで会ったのも何かの縁。ってとこかな?」

あまりにもお座なりな返答に驚く。

「・・・それだけ?」

「まあ別に、僕はこの状況が死ぬほど危険というふうには認識してないし、それに、なんか癪じゃん?お偉いさんの言いなりになるのって。」

「そんな理由だけでこんな大騒動を起こせるのはすごいと思うけどね。」

となりでレックがぼやく。

「でもレックだって納得いかないでしょう?もし僕が立てた仮説が本当だった場合、この人濡れ衣きせられて、最悪死刑だよ?」

「・・・それは。」

そうなったらやっぱりレックだって納得がいかない。隠していることが何にせよ、隠し通すために人の命を平然と餌にするやり方など、認められるはずがない。

「ま、そういうことだよ。僕は、お偉いさんが無駄に偉そうにふんぞり返ってるのを見ると、どうもその鼻をあかして引きずり下ろしてやりたいって気にさせられるんだよね。というわけで、今僕が動いているのは、僕自身のわがままだから。さして気に病む必要はないよ。」

強引な理論ではある。というか、理論がどうかすら怪しい。でも、その言葉で行き倒れが安心したのもまた事実だ。

「まあ、ルインはやるって言ったら周りを巻き込んでもやり通すからね。色んな意味ですごいわよ、ほんと。」

「ま、それが僕の一番の美点だと自覚してるからね~。・・・と。」

のんきに話している最中に、周囲から気配を感じる。これは、明らかにこちらを狙っている獣の気配だ。

「やれやれ、今日は千客万来だね。   もうこっちは気付いているから不意打ちは無駄だよ。隠れてないで出てきたらどうだい?」



ルインの声に誘われて、周囲から人影が姿を現した。その数は5人。

「見たところ、治安部隊じゃないね。悪いけど、自己紹介願えるかな。」

ルインの話には聞く耳を持たず、各々が武器を手にし始めた。

「やれやれ、遥か昔の武士は、戦う前に自分の名を名乗ってたっていうのにねえ。向こうがその気ならしょうがないか。グロウ、レック。手伝って。」

「おう。」

「わかった。」

「アコとツェルは護衛お願いね。」

「了解しました。」

「は~い。」

「でもどうするのさ?向こうの方が数が多いけど。」

不安そうになるレックの質問に、まだお気楽さを崩さないルインが答える。

「ん~、まあ僕とグロウが二人相手するから、レックは一人お願い。」

そう言うや否や、ルインは刀を抜き、目に付いた二人に飛びかかっていった。


「大丈夫かしら?あの三人。」

戦闘が始まり、とりあえず行き倒れの片方を固めているアコが疑問を漏らす。

「まあ、相手の実力にもよりますが、なんとかなるでしょう。少なくとも、ルインさんはきちんと相性のいい相手と立ち向かっていますし。」

「そうなの?」

ルインが相手にしているのは、剣使いと双剣使いという、剣剣対決である。

「同じような武器なら、こちらもだいたい攻撃方法がわかります。相性がいいというほどではありませんが、とりあえず適切ですね。」

「ふ~ん。」

「レックさんも、徒手空拳の方を相手にしています。リーチ的に有利だというのは、わかるでしょう?」

「なるほど。」

ここまでツェリライは軽快に説明していたが、グロウのところで眉をひそめる。

「問題は、グロウさんですね。」

「何か問題あるの?」

「ええ。グロウさんが相手にしているのは、一人は徒手空拳ですが、もう一人は仕込み針ですね。グロウさんにとってあれは難敵だというのは、大体予想がつくでしょう?」

「まあ、確かにそうね。グロウがあいつの相手をするのは大変かも。」

グロウはもともと、雑魚を一掃する戦いが向いている。だから一撃が大きい分、隙も大きい。

それ故に、あんなふうにちょこまか動きながら、小さいけれども、確実にダメージを与えてくる相手は不得手なのである。

加えて、拳法を使ってくる相方との連携も優れている。

仕込み針を飛ばし、隙ができたところを消して逃さず一撃を叩き込む。そしてグロウが反撃をする前に確実にその場を離れている。

このヒット&アウェイ戦法は、グロウの体力を確実にそいでいった。



「ちっ、ちょこまかウザってえ。」

先程から自分の攻撃が空振りを続け、イライラし始めている。

また仕込み針が、今度は左上から飛んできた。咄嗟に腕でかばうが、利き腕でかばってしまったため(グロウの利き腕は左)、攻撃の出が鈍くなってしまった。

その隙にまた一撃。いや、好機だと思ったのだろう、連撃を繰り出した来た。

ハンマーを振るうにも、距離が近すぎて却って当たらない。

それでもかろうじて防御に回っていたが、鳩尾に一発喰らってしまった。

「グッ・・!」

ここでできた隙を逃すはずもない。止めの一撃。

「破壊拳!!」

拳に孔を溜めた会心の一撃。これをグロウはモロに喰らった。

そして、もう片方の相手もグロウの首筋に向けて大量の仕込み針を放った。

当たれば一巻の終わり。だが

「あめえよ。」

そう言うと、拳を叩き込んできたやつの腕を取り、針が自分に突き刺さる前にそいつを盾にした。

「ガハッ・・・・!?」

致命的な攻撃を受けて、よもやこれほどの力が出せると思っていなかったのだろう。抵抗する間もなく、飛んできた針をすべて受け止めることになってしまった。

グロウは動かなくなった敵を放り投げ、地面にハンマーを叩き込んだ。

地割(じかつ)!」

技を叫ぶと同時に地面が割れ、大きな亀裂が走った。それも、ちょうど跳んでいる相手の着地地点となる場所に。

「!!」

地面に降りかけている時に、急な動作変更などできるはずもない。そのまま亀裂に落ちる形ではまってしまった。

抜け出す暇もなく、既に目の前にはグロウが仁王立ちしていた。

「よお。今まで散々うぜえ攻撃かましてくれたなあ。礼替わりだ。きついのをくらっとけ。」

そして構える。

「場外」

大きく振りかぶる。

「ホームラン・・・!」

ハンマーに孔を溜める。

「ハンマーーーーーー!!!」

そしてそれを大きく振り放った。

まともにくらった相手は、悲鳴を上げる間もなく、青空に輝く一つの星へと変わった。



「さて、こちらもそろそろ決着つけようかね?」

グロウの決着を見たルインが、こちらも負けじと攻めかける。二対一、剣の数で言えば三対一である。相手もかなりの実力者だ。普通なら追い込まれて当然なのだが・・・。

二方向からの同時攻撃。それに対しルインは刀を鞘に収め、深く腰を入れたあと、一気に引き抜いた。

廻閃(かいせん)!!」

ルインの体とともに、一回転した斬撃は、二人の相手を同時に飛ばした。

すぐに体制を整え、反撃に出ようとするが、その時には既にルインが頭上に迫っていた。

「ジ・エンド。」

そして刈閃(げせん)を放つ。とっさの防御も、ルインの技の攻撃力の前には無力だった。

「さて、あと一人 ――――――――――!」

一人撃退し、ルインが振り返った瞬間、もう一人は既に眼前まで迫っていた。

振り下ろされる双剣。ルインの防御は間に合った。だが―――

「タトールワルス!」

そこから繰り出される鮮やかな双剣の連撃に、ルインも若干押され気味になり始める。

「甘い!」

剣撃ばかり注意を払っていたルインに蹴りが放たれる。流石に防御できず、喰らってしまったため、後ろに下がり、隙ができる。

そこを逃さず、二本の剣をまるで一本の剣であるかように束ねてもち、跳躍からの落下の勢いと、自らの孔を込めた強烈な一撃を放った。

「ソウツイ!!」

ッガッギィィ!!

と、金属が激しくぶつかる音が鳴る。吹っ飛ばされたルインはそのまま壁に衝突した。

止めを刺さんとばかりに飛びかかろうとした双剣使いだが、その瞬間に感じた異様なほど大きな孔に、すぐに動きを止め、警戒するような構えを取った。

ルインは、刀を再び鞘に収め、深く腰を落とし、力と孔を大きく溜め、それを一撃のもとに解き放った。

破断閃(はだんせん)!!」

放たれた必殺の居合斬り、防御も回避も無意味だった。本来なら決して届くはずのないルインの間合いから、完全に離れた場所で警戒していたのだ。

だが、それでもルインの斬撃は、過たず双剣使いを一刀の元に斬り伏せた。



「うん、やっぱ強いわね。ルインたちは。」

「そうですね。今の一撃も、なかなか洗礼されたものでした。さて、残るは一人。レックさんだけですが―――」

と、レックが最後の一人と対決している方に目をやると、ちょうどレックが片膝をついて息を荒げているところだった。

「―――なんか、どう見ても押されまくっているように見えるんだけど?」

「そのようですね。」

「一対一なのに、なんで押されてんのよ?」

その質問に、若干苦笑気味で答える。

「相手の戦術を見誤ったためといいますか、まあ見ていればわかりますよ。」


「ぬん!」

敵が拳を地面に叩き込む。するとレックの足元の地面が急に勢いよく突き出し、レックを大きく上に飛ばした。

それを見た敵は、腰を落とし、両腕を腰にやったまるで「押忍!」と言った時によくやるようなポーズをとる。

するとその手に握りこぶし大の岩が出現した。それをレックに思い切り投げつける。

レックは空中で体制を整え、飛んできた岩を叩き落とす。そして棒の先に炎を灯し、落下とともにそれを突き出す。

だが、その行動は読まれていた。敵は既にその手に岩を纏わせ、文字通りのイシツブテで攻撃を放つ。

岩砕(がんさい)(けん)!!」

炎と岩の衝突。だが、パワーの差でレックが負けた。

「もしかしなくても、あいつアトリネーターってこと?」

「そうですね。おそらく土の属性使いなのでしょう。炎と土、相性は五分五分ですが、何分、パワーとリーチの差で圧倒的に負けていますから、手ごわい相手です。」

ツェリライも眉をひそめる。レックに勝機があるとすれば、それは相手が完全にノーガードになった時だ。だが、その状況を作り出すのは至難の業である。レックはどう立ち向かうのか。

「興味深いですね。」

そう一人呟くツェリライの言葉は、アコの耳には入らなかったようだ。


焔弾(フレイガン)!」

レックが先に灯した炎を飛ばす。だが、敵は自分の目の前に岩を出現させ、防御した。

と、そのままその岩を両手に抱え、頭上に持ち上げた。

大土陥(だいどかん)!!」

飛ばされてきた大岩を、なんとか回避する。だが、再び足元の地面が突き出してくる。

「ガッ!」

さっきの一撃とは違い、回避後の隙を突いた攻撃だったため、ダメージを受ける。だが、レックは建物の壁を蹴り、さらに上へと高く跳んだ。

その頂点から棒の両端に炎を灯し、火炎弾の連撃を放つ。

焔連弾(フレイバルカン)!!」

再び岩で防御。そして今度こそ大土陥(だいどかん)を食らわせようと持ち上げたのだが・・・

もう既に地面に降り立っているはずのレックがいない。驚いて周囲を探す。

「こっちだ。」

上から声が聞こえ、弾かれるように見ると、レックは自分の得物を建物に突き刺し、それに掴まることで落下を止めていた。

相手が反応するより早くレックが動いた。

壁を蹴り、大きく跳躍すると敵の真後ろに立ち棒を大きく後ろに構えた状態で炎を灯した。

相手は止めの一撃とばかりに大岩を抱えているため、反応することはできない。

紅蓮鉤爪(レッドニードル)!!」

高速移動からの火炎斬り。一閃した炎は、さながら鉤爪で抉ったかのような弧を描いた。



「やれやれ、なんとか勝てた。」

「ごめんね、レック。一応楽させようと思って一人相手をさせたんだけど、まさかそいつもアトリネーターだったとはねぇ。手間かけさせたね。全く、一人新ジャンルが出てきたら、こぞって色んな同じような奴が出てくるっていうのはストーリー的によくある話で困るよね。」

と、ルインのごちゃごちゃ五月蝿い謝罪に大丈夫と伝え、それよりもと、自分たちの手で倒した敵のことを心配する。

そんなレックに、残りの二人はやれやれと溜息をつき、さっきの止めは明らかに力抜いてただろと突っ込む。

そして、唯一話せる状態にある土のアトリネーターに近づき、拷問、じゃなくて尋問を始めた。

「さて、とりあえず質問。どうして僕たちを襲ったのかな?やっぱあそこにいる男が目当てなのかな?」

相手はそっぽを向いて答えない。

「答えて欲しいんだけどなあ。」

もう一度要求してもやはり答えるつもりはないようだ。

そんな相手の様子に、ルインがハァ…とため息をついた。と思った次の瞬間、その一瞬で相手の首のすぐ真横に刀を突き立てた。

「仏の三度目。僕結構短気でね。今の状態じゃあ孔で防御することもできないでしょ?頭と体が分離されたくなかったらとっとと答えて。」

ルインはやるときはやる人種である。それはすなわち、容赦しないときは一切の容赦をしないのだ。恐らく、ここでもう一度回答を拒否すれば、ルインは本気で刀を動かすだろう。有無を言わさずそう確信が持てる説得力がある。



ルインがそう言う奴であるということを理解している三人は割と平然としていたが(でもアコは結構動揺していた)、レックは驚き、言葉に詰まった。

「ちょ・・・・」

続けてなにか言おうとするレックを遮る。

「ああ、そっか。レックはこう言う教育によろしくない描写は嫌いなんだっけ。でも悪いね。レックにこだわりがあるように、僕にも、こだわりじゃないけど、似たようなものがあるんだよね。」

そして再び視線を下ろす。

「というわけで、僕は僕や僕の仲間を襲ってくるような奴らに容赦できる寛容な器は持ってないし、有言実行をモットーにしてるんだよね。でも殺生は好きじゃないから、答えてくれることを祈るよ。」

その目は、誰が見ても冷酷そのものである。

それを理解した相手は、悔しそうな表情をしながらも切り出した。

「お前らは、その連れている相手が誰なのかを理解しているのか?」

その言葉にルインは、答えてくれたからなのか、やっと行き倒れの身元がわかると思ったからか、表情を崩した。

「あ、あの人ね。あの人は今朝、お前を倒した彼が道端で倒れていたのを拾ってきてね。記憶喪失起こしてたから困ってたんだよ。で?この人は一体何者なのかな?」

ルインの話に、相手は少し驚き、それから喉の奥で笑った。

「なるほど。道理でそんな間抜けな面をしているわけだ。」

「一人納得して笑ってないで、とっとと教える。」

強引に促す。今度は素直に話しだした。

「その男はな、どこにも所属していない、金の契約で依頼をこなすデータ泥棒。早い話が、フリーのスパイだ。」



「・・・マジで?」

普通に驚く。

「嘘じゃないさ。俺たちが依頼したんだからな。この町のある情報を盗めとな。」

それを聞いたルインが、恐る恐る周囲に聞いた。

「てことは、僕たちは正真正銘の犯罪者を擁護していたってことになるってことでおk?・・・」

「・・・・・・そう、なりますね。」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・ヤバくねぇか?」

うん、やばい。めっちゃヤバイ。多分このままいけばルインたちはこの町の第一級犯罪者として、世間に知られることなく葬られることになる。

全員が青ざめる。いや、一人だけ青ざめながらもなんとかポジティブに考えようとするものがいた。

「で、でもっ。大ジョブよ。こいつら突き出して、ちゃんと謝ればら許してもらえるんじゃないの?」

うん、いいポジティブシンキングだ。

だが、悲しいほど的外れだ。

「アコさん。この一件は、大きな事件であるのに住民には知らされていないということは、覚えていますよね?」

「うん。」

「昨今において情報とは、武力などとはとても比較できないほど大きな力を持つケースがあるんです。それこそ、この町を一瞬にして壊滅させてしまうほどの力をね。」

「・・・・そうなの?」

情報の重さを知らない人間の問いかけに、その重さを知っている面子は頷く。

「一般市民には知らされないほどの情報。それどころか、ヒネギム係長は、部隊内ですらごく一部しか知らされていないトップシークレットの情報です。彼が盗んだ情報は、それほどの重さがあるということになります。」

「で、それをあたし達が庇っちゃったと。」

「そういうことになります。」

ようやく、事の重さが理解できたようだ。

「どーすんのよルイン!!!あんたが変な勘違いしたおかげで、ドえらいことになっちゃったじゃないの!!!!」

全くもってその通りである。

ルインは激しく揺さぶられながらも、一筋の希望を示す。

「オアオウ・・・お、落ち着いて。まだ助かる道はあるよ。」

「ほんと!?何?」

解放され、息を整えた後、答えた。

「簡単な話だよ。行き倒れに記憶を思い出してもらえばいいんだよ。そして、盗んだ情報をどこにやったのか吐かせればいい。」

「そして、その情報を返却すれば・・・!」

「助かることができる・・・!おお、ルイン冴えてる!」

と、アコは手放しに褒め称えるが、アコ以外は全員が思いついていた。



「じゃあ、なんとか記憶思い出させて・・・・」

と、振り返った先に、行き倒れがいない。

「・・・・・・・」

「何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!?」

一同パニック。

「いない、いないっ!前後上下左右どこ見渡してもどこにもいない!!!」

「どどどどどっどーすんのよ!?」

そう聞かれるが、そんなの決まっている。

「探す!全力で!!!」

「時間的に、まだそんなに遠くへは行ってねえはずだ!」

グロウが激を飛ばす。

「でも何で逃げたのさ!?」

レックが最もな疑問を漏らす。

「今の話を聞いて記憶が戻ったのか、殺されるという恐怖に怯えたのか、色々考えられますね。」

冷静に推測するツェリライに、グロウがキレる。

「んなこたァどーだっていいんだよ!とっとと探すぞ!!」

「グロウとアコちゃんはこいつらを束ねといて!!残りは大至急全力全開で捜索!!」

「ラジャー!!!」





自分が国際級の犯罪者だと知ったとき、男は恐怖を覚えた。

自分の命が狙われると思ったからではない。記憶を失う前の自分のしてきた所業に恐怖したのだ。

以前の自分は、どういう気持ちで罪を犯していたのだろう?罪悪感は感じていなかったのだろうか?金のためならなんでもする人間だったのだろうか?

自分のことであるはずなのに、全くわからない。まるで前世の自分に無理やり問いかけようとしているようだった。

それなら、いっそ追いかけられていた時に殺されておけばよかった。きっとそれは、今からでも遅くない。

その一歩を、踏み出そうとした。





「ストォォーーーーーーーーーップ!!」

ビルの屋上から飛び降りようとしている自分を、全力で止めようとする者の絶叫が響いた。いや・・・・

「セイヤッ!」

「ごフゥっ!!?」

強烈な一撃を入れられた。

「ぎ、ぎりぎりセーフ・・・」

ルインたちは、膝に手を付き、肩で息をする。そして開口一番

「何をしようとしてるんだね?あんたは。バカじゃないのかね?」

呆れた口調でそう罵られた。

「まさか自殺を図ろうとしていたとは、予想外でした・・・。」

見るからに体育会系ではないツェリライとアコは座り込んでいる。

「迷惑かけてすいません。」

「全くだよ、ほんともう。あー疲れた。」

「なんで、自殺なんかしようとしたのさ?」

訳を聞かれ、行き倒れは俯きつつ答える。

「自分が重罪人だと知った時、自分自身が怖くなったんです。」

「で?それで、罪滅しか現実逃避のつもりでここから落ちようとしていたわけですか。カンベンしてよ。死ぬくらいなら治安部隊に出頭してくれ。」

「でも・・・」

「でももクソもへったくりもない。記憶を失う前のあんたは、確かに極悪人だったんだろうね。まあ、そんなことをやっていた理由にもよるけどさ。」

「理由・・・?」

訳がわからないという風に聞き返す。

「あんたが記憶を失う前に受けていた依頼。この町のなんかとんでもない情報を盗んで来るっていうものだったみたいだけど、それって多分、かなり報酬弾んだんじゃないの?あんた、その金どうするつもりだったんだよ?」

「どうするつもり・・・?」

「その報酬使って何をするつもりだったのかってこと。」

未だ先の見えない話に、困惑顔が晴れない行き倒れに、なぜか少しがっかりそうな顔をして、ルインは続けた。

「うーん、せっかくスパイだって言うから、少し抽象的な言葉で会話してみたかったんだけどな。まあつまりは、いくら記憶を失くしたからって、そこまで性格は変わるものなのかなっていう疑問を感じているんだよ。」

「記憶をなくす前の、自分の性格。」

「まあ、記憶をなくした不安で、挙動不審になって大人しげな感じになるのはわかるとしても、自分の過去の所業を知ったからって、自殺しようなんて大それたことはしないと思うんだよね。普通なら、体に染み付いた本能的な感じで、どこかに逃げ隠れるものだと思うよ。それをしなかったっていうのは、あんた、記憶なくす前も結構生真面目な性格してたんじゃないの?」

「俺が・・・生真面目?」

「スパイやってた理由も、何かに追い詰められて泣く泣くとか。それにしてはやること大胆だけど。まあそこは色々と大げさにやってしまう性格だったということで。」

「でも、そうじゃないかもしれない。ただ記憶を失ったショックで、こんな人格になっただけで、本当は正真正銘の極悪犯罪者だったということも・・・」

「考えられるね。でもわかんないじゃん、そんなの。あんたが記憶戻さない限りさ。だから、そう言うのも含めて、治安部隊のお世話になったらどうかって提言してるんだよ。」

ルインの説得に、心を動かされつつあったが、それでもまだ俯き、悩んでいる行き倒れに、ルインがしびれを切らした。

「あーーーーっ、もう。なんでこんなのはスパッと割り切れないかね全く。とにかく、そんなに罪悪感を感じているんだったら、僕らのためにも大人しく捕まってくれ。でないと僕らの明日が真っ暗になるんだから。」

さっきまでの諭すような説得口調から、一気に砕けてズカズカした物言いに変わった。多分、いや、間違いなくこっちが地であり本音である。

あまりに豹変した物言いに、行き倒れは目を丸くする。やがて小さく吹き出した。

「わかりました。なら俺は、死ではなく、治安部隊に罪をさばいてもらいます。」

「うん。そうして。頼むから。」

そして、その数分後に駆けつけた治安部隊に行き倒れ、テンダルは五人と共に連行されていった。




その後、テンダルの服の中に例の情報が入っていると思われるデータチップを発見、厳重に破棄された。そしてテンダル自身の希望で、懲役を受けながら、精神病院による記憶の回復を目指している。


そして、今回派手にやらかしてしまった五人はというと・・・

「あ゛~~~~~~...やっと解放された・・・。」

「三日も拘束されたよ・・・。」

「あたし、当分字は書かないわよ。」

今の会話から推察されるとおり、たっぷりと絞られたようである。まあ当然だろう。いくら情状酌量の余地があった(のか?・・・いや、きっとあった)とはいえ、治安部隊の命令に思いっきり反抗し、勘違いで国際級犯罪者の庇い立て、逃走を図り、裏をてんやわんやさせてしまったのだ。

本来ならこの程度ですむ方が奇跡なのである。

ただ、そのことに気づき、奇跡を起こしたのはあの係長なのだろうなと思いを張り巡らしたのは、レックとツェリライだけだっただろうが。

ヒネギム係長。お疲れ様でした。






どうも。もしも、このストーリーを楽しみにしているという方がいましたら、泣いて咽び喜べます。作者です。

毎度毎度、書き終わって読み返すたびに思う事なんですが・・・

ど~も、オチが弱くないかなと。

あと、何か自分の小説って、話のほとんどが会話で占められていて、小説ならではの表現とか描写が全然ないなと、若干悩んでいます。

まあ両方とも、ボキャブラリー不足がたたってこんなことになっているのは明白なんですけどね。

でも、もうちょっとうまく。プロの小説家が書いてる感じに、別に将来小説家を目指そうとしているわけではありませんが、そんな感じに近づけないかなあと思っています。

誰かにアドバイスをもらえたらいいのですが、回りにこんなインドア文系な趣味持っている人いないですし、こういうのは多分感覚でやるものだと思いますしねえ・・・。

どうしたものでしょうか?いや、読者の方に聞いてもしょうがないですが(沙*・ω・)。

なんかえらく愚痴っぽくなってしまいましたが、これからも、たとえ閲覧数が0になっても、細々まったりと続けていこうと思っています。

ご精読、ありがとうございました。m( __ __ )m


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