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根暗な僕のスマホ履歴が、女神の神託を呪詛に変える  作者: 輝久実


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3/12

承認欲求お嬢様

魔王軍との初戦を(勘違いで)終えた一行は、次なる仲間を求めて魔導公爵家を訪れていた。


そこで待っていたのは、煌びやかなドレスに身を包み、縦ロールを揺らす高慢な美少女――セレナである。


「おーっほっほ! 私こそがこの国最強の魔導師、セレナ・フォン・ローゼンバーグですわ! 勇者様、私の魔法を見れば、貴方の『予測変換』とやらも絶賛の言葉で埋め尽くされるはずですわよ!」


彼女は自信満々に、庭園の巨大な標的に向かって極大火炎魔法を放った。


「見なさい! この美しく、える爆炎を!」


轟音と共に標的が消し飛ぶ。だが、阿久津はスマホの画面を見たまま、死んだ魚のような目でボソボソと呟いた。


「(……あー。エフェクトは派手だけど、溜めが長すぎて実用性ないわ。こういうキャラ、ゲームだと【こ】……【コスパ(こすぱ)】悪いんだよな。【こ】……【固定資産こていしさん】みたいな動きしやがって……)」


女神ルミナスが、阿久津の指の動きを敏感に察知し、高らかに叫ぶ。


「神託です! 『【こ】降臨こうりんせよ、【こ】ゴミ! 殺意さついが足りない、このモブ!』」


「…………ゴ、ゴミ!? モ、モブ……っ!?」


セレナの顔から血の気が引いた。


公爵令嬢として、そして天才魔導師として「最高評価」以外を受けたことのない彼女にとって、それは呪詛に等しかった。


「いや、違うんだ。今の『こ』はコスパが悪……」


阿久津が言いかけるが、セレナはすでにガタガタと震えながら彼に詰め寄っていた。


「ま、待ちなさい! 今の私の魔法、何がダメだったというの!? 演出? 属性の解釈!? それとも私の『キャラ設定』が弱いの!? 教えて、エゴサしても出てこない『神の視点』を持つ勇者様!」


「(……うわ、食いついてきた。このタイプ、一番めんどくさい……。【あ】……【アンチ(あんち)】スルーできないタイプか……。【あ】……【垢消せ(あかけせ)】、マジで)」


女神ルミナスが追い打ちをかける。


「追記の神託! 『【あ】圧倒的あっとうてきなアンチよ! 【あ】垢抜あかぬけないゴミは、消えなさい!』」


「垢抜けない……っ! 私のセンスが、古臭いというのですかぁぁぁ!!」


セレナは絶望のあまり地面に膝をつき、むせび泣いた。


しかし、ここからが彼女の異常なところだった。


彼女は涙を拭うと、狂気を孕んだ目で阿久津を見上げた。


「……分かりましたわ。勇者様、貴方はあえて私を貶めることで、私を更なる高みへ導こうとしているのですわね!? 貴方の予測変換が『尊い』『神回』に染まるまで、私は貴方に粘着……いえ、同行して差し上げますわ!」


「(……えぇ、嫌だ。絶対粘着される。【ぜ】……【絶許ぜっきょ】)」


「神託! 『【ぜ】全裸ぜんらで【ぜ】前進ぜんしんしなさい!』」


「全裸で前進!? それが次世代のトレンド……新しい私なのですわね!?」


「待てルミナス!! 今のは『絶許』だ! あとセレナ、脱ごうとするな! 落ち着け!」


阿久津の必死のツッコミも虚しく、こうして「阿久津のアンチコメントを神の指導と受け取る魔導師」が仲間に加わった。


阿久津は暗い顔で、さらに減ったバッテリー(85%)を見つめた。


(セレナ……さっき俺のスマホに指紋つけたな。忘れない。お前の魔法詠唱、全部予測変換で『ポエム』に変えてやるからな……)


彼の復讐リストに、新たな名前が刻まれた瞬間だった。

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