表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
根暗な僕のスマホ履歴が、女神の神託を呪詛に変える  作者: 輝久実


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/12

深淵の賢者と特定凸の恐怖

魔王城の入り口。そこに鎮座していたのは、数千年の時を生きたという魔王軍最古の四天王、深淵のゼノンであった。


「ククク……よくぞ来た。だが、私に肉体的な攻撃は通じぬ。私はお前の魂を覗き、最も忌まわしい『過去』を具現化させよう……」


ゼノンの瞳が怪しく光る。


その瞬間、阿久津の周囲に「最悪の光景」が広がった。


それは、阿久津がかつて大好きだったアニメの、『あまりに酷すぎてファン全員が絶望した、原作改変の最終回』の再現映像だった。


「……あ、あぁ……。やめろ、それは……。作画崩壊してる上に、ヒロインがポッと出のキャラと結婚して、主人公が孤独死する伝説のクソ回……っ!」


阿久津は頭を抱え、膝をついた。根暗なオタクにとって、物理的な痛みより「愛した作品の汚辱」は何よりも堪える。


「ハハハ! 絶望しろ、勇者よ! これこそがお前の心の闇――」


「(……いや、待てよ。……よく見たら、こいつ、俺のトラウマを…コンテンツ(こんてんつ)にして小馬鹿こばかにしてる……。……【と】……【トラウマ】を……【と】……【特定とくてい】して……【と】……【とつ】るぞ……)」


阿久津の中で、悲しみは急速に「粘着質な殺意」へと変わった。


阿久津は怒りに震える指で、スマホを叩いた。


(……人の心の傷を面白おかしく演出プロデュースしやがって。……作者でもないくせに……解釈違い(かいしゃくちがい)なんだよ……)


「神託ですわ!」 ルミナスが、阿久津のドス黒いオーラを感じ取って叫ぶ。


「『【と】特定とくてい完了よ! 【と】とつげきして、 【と】トドメをしなさい!』」


「特定!? 何を……っ!?」


ゼノンが動揺する。阿久津の神託を受けたシオンが、ゼノンの魔法の「発動元(IPアドレス的な魔力源)」を瞬時に逆探知した。


「……見つけたぞ。深淵の賢者。貴殿の本体は、その豪華なローブの中にはない。……地下三階の、さらに奥にある、『趣味のポエム日記』が詰まった隠し部屋に繋がっているな」


「なっ、なぜそこを!? 誰にも見せていない秘匿領域だぞ!」


阿久津は立ち上がり、メガネをクイッと上げた(メガネはしていないが、そんな気分だった)。


「(……お前の……【こ】……【個人こじん情報じょうほう……全部、【こ】……【公表こうひょう】だ。……【あ】……【あか】ごと消えろ。……【あ】……【悪質あくしつ】な……【あ】……【アンチ】が……【あ】……【】らしに行くぞ……)」


「追加神託! 『【こ】公開こうかい処刑しょけいよ! 【あ】らしくし、 【あ】垢消あかけしなさい!』」


「や、やめろ! 私のポエムは、三千年前の若気の至りなんだぁぁ!」


セレナの魔法が空にゼノンの「黒歴史ポエム日記」を投影し始めた。


『闇は私の心、魔王様は私の太陽……(自作の挿絵付き)』


「おお、これは『不浄』だな。徹底的に洗浄(焼却)しなければ」


シオンが影を通じて、ゼノンの隠し部屋に猛毒(除菌剤)を流し込む。


「(……さらに……【え】……【炎上えんじょう】しろ。……【え】……【永久えいきゅう】に……【え】……【閲覧えつらん】されろ……)」


「トドメの神託! 『【え】炎上えんじょうよ! 【え】永遠えいえんの、 【え】閲覧えつらん注意ちゅういよ!!』」


「ぎゃああああ! 恥ずかしい! 死ぬより恥ずかしい! 魔法が、魔法が霧散していくぅぅ!」


自らの黒歴史を全世界に「実況」されたゼノンは、精神的な防御が崩壊。具現化していたトラウマ映像も消え去り、彼は恥ずかしさのあまり自分のローブに火をつけて灰になった(精神的自爆)。


「……ふぅ。……俺のトラウマを弄んだ罪は重い。……あ、今のデータ、クラウドにバックアップしとこ。……【ふ】……【復讐ふくしゅう】完了……」


「神託! 『復讐ふくしゅう完了よ!』」


阿久津は、静かになった魔王城の入り口で、満充電のスマホをポケットにしまった。


四天王、全滅。


残るは、このすべての元凶――魔王のみ。


(阿久津の心境:ゼノン……お前のポエム、意外とリズム感あったけど……絶許。……次は魔王の『検索履歴』を世界に公開して、魔王軍を組織崩壊させてやる……)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ