a-2.下準備
2話目ー、なんとなくで思いついたことから話にしていきます〜。
超越者の朝は早い
今朝は起きて、というよりも昨夜から朝まで起きて我が家、愛しの天空城を増設している。増設といっても大したものではない、空間術式を入念に重ね、私の城の余剰スペースの内部に膨大な空間を用意しているだけだ。ウラノス様の指示の一部である。
建設?には2日ほどかけた、これほどの結界ならば、おそらく神様でもなければ、正攻法にて結界を突破するのは半月は掛かるだろう。まぁ神によって全く結界に対する得意不得意は大きいが。これでいいのだろうかと正直味気なく思うが、現状はこれで良いらしい。
なにせ、ここは世界を渡ってくる異世界人、プレイヤー達の牢獄となるのだ。正直どの程度を想定したものかと当初は頭を悩ませたが、この世界に渡ってきてすぐである彼らに空間への干渉などできるわけがないということで、随分と短い工期で済んだ。
空間を分割し、拡張し、歪め、繋いで、内装も整えていく。僅かながらの娯楽と生活スペース、地上と少し繋げた最低限の食事の用意、牢獄内でも多少私有できる土地も作っておくそうだ。牢獄内での資本主義とはこれいかにと思うが、これもプレイヤーへの配慮というものらしい。
久しぶりに行う建築作業というのは味のするものだ。やはり布団で引きこもるのは心に良くないな。たまには忙しないからこそ生きているというものだろうか。まったく私も老後も老後だ。活発的な感情が息をしていなかった。作業はそのままに思考は躍る。
しばらくして、一息つき、間もなく工事も終わるな、最後の項目はなんだったかと思い、図面を確認すると、比較的面倒な内容が目についた。
『一部特殊刑執行用設備について』
拷問用魔獣、装置、魔道具等の用意が必要ときた。
適当に設備は用意するとして、追加で裁判所まで作らなければいけない、形式上牢獄とは別の場所にせねばいけないそうだから、もう一室造り替えるとしよう。
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こんなに大規模な建築は久しぶりだ。これぞDIYといった感じがする。昔は城を丸ごと作ったというのだから、昔の私は大層暇だったのか、やる気があったのか、、、いやいいか、別に私に懐古趣味はない。
建築は終わったし、次は何をしたものか、今はちょうど夕暮れ、特に日時が私の作業に影響を及ぼすことはないのだが、外の景色、私の城のある地域の様子を監視魔法が映し出しているのを確認する。
さてどうしたものか。手を付けたいことは多いが片端から片づけるにはいささか多いしすべきことをすべき場所が散らばっているのだ。
決めた、一度やることリストをまとめて、その後効率よく物事を進めよう、私はあまりこの方式が好きではないが、今回は私の極端な人生においてはかなり珍しい。猶予がそれなりに長いが時間ごとにすべきタスクの数が異次元に多いという事態だ。まるで子どものようだが、初心もとい童心に返り、計画性を思い出すのも必要だろう。
箇条書きにしていこう。
まず大事なのは関係各所への連絡だ。この世界の人々にも、私と同じように異なる世界から渡るこちができるものがいると伝えなければいけないだろう。
突然現れたある1人が変な振る舞いをして、世界中の人々が異世界人を嫌うなんてことがあっては神々の計画もズタボロである。
伝えるべきはどこだろうか、やはり主要国家の最高権力者のもとは欠かせないだろう。異世界人は中央大陸にしかしばらくは存在できないようだし、それだけ意識すれば良いか。
南の広大な王国、南西の公国、中央の皇国、北の果ての世界樹の亜人連盟、東の共和国、西の神聖教国家、ここらにするとしよう。
内容はそうだな。
異世界人の来訪、その対応、公務への追加事項、異世界人関連であれば神々とその代行者が諸問題の解決をいくらでも行う。くらいにしておくのが適当か。
この世界は超越者たる私の存在もあり、基本的に個人の信仰心がどうであれ、神々という存在とその影響だけはしっかりと認識されている。まぁ、超常存在がいて、それが自分だけを祝福してるだなんてご都合主義がすぎるのだから、異世界くらい、事前に伝えれば大して驚かないだろう。
そんな頭スカスカな想定をするのはあの国だけで良いし、信じないという国は存在しないのだから良いことだ。他の世界をみて思うが、よくもまぁこの世界はこういう時に都合のいい世界だな。だからこそ神々もここを選んだのだろう。こんなにも寛容的な価値観にしてしまったには半分ほど私のせいだがそこは気にしない。
よし、やるべきことと順序は数刻ほどでまとまった。あとは奔走するのみといえる。全く忙しいとは不思議なものだ。ヒモは数年は卒業だろう、次の仕事をするとしよう。
職人の夜は遅い
〈主人公のメモ〉(ちょーおーざっぱ、多分このキャラ頭良いからもっと細かい)
◯関係各所への連絡
→王国、皇国、公国、連盟、共和国、極端教へ
・神託→異世界人来訪、対応、神々の意向